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聖書本文・古代訳・正典関連

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記事一覧

『異端反駁』第5巻 第30章(エイレナイオス)



そうなっており、そしてこの数字[黙示録13:18]は最も認められ古代のものである[黙示録の]写本群からも見つかっており、またヨハネを顔と顔を合わせて見た人たちも[それについて]証言を持っているからには、そして理性で考えても、このように結論できる。つまり獣の名の数字は、[名が]含む諸々の文字をギリシア語の計算方法に従えば、六百六十六になるのである。これは、十の個数が百の[個数]に等しく、百の個

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マルコの福音書16章に関する古代教父の引用

マルコによる福音書の最終章16章は、バチカン写本(B, AD 4c)、シナイ写本(ℵ, AD 4c)、写本304(AD 12c)の三つのギリシア語写本において16章8節で終わっている。バチカン写本とシナイ写本は今日の聖書本文批評において極めて高い評価を得ているため、これら二つの証言を他の1600以上の写本よりも重視し、「マルコによる福音書16章9−20節はマルコによる福音書原本には含まれない、後世

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『ナザレ人福音書』 断片

より。英語訳からの重訳。

正典に収められず失われた福音書型文書がいくつか存在する。その一つに、紀元2世紀から4世紀までの頃、主にシリア・パレスチナやエジプトの、ユダヤ人を多く含むキリスト教セクトにおいて重視されていた福音書(Jewish-Christian Gospel(s))があり、教会教父らの著作に断片的な引用が残っている。教父たちは明確な分類をしていないが、現代はこのユダヤ人の福音書を以下

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『ヘブライ人福音書』断片

:::::以下訳文:::::

ヘブライ人の福音書のうちにはこう書かれている。
「キリストが地に臨んで人々のところに来たいと望んだ時、善き父は天における力強い権能を呼び出した。それはミカエルと呼ばれた。そして[父は]その保護のもとにキリストを託した。そしてその権能は世界のうちに来て、マリアと呼ばれた。そしてキリストは彼女の胎内に七ヶ月あった。」
(エルサレムのキュリロス Discourse on

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『エビオン派福音書』断片

より。英語訳からの重訳。

紀元2世紀から4世紀ころまで教父たちが言及しているパレスチナの派閥であるエビオン派は、独自の福音書を持っていたと言われ、サラミスのエピファニオスによって数節の引用が残されている。

エビオン派は菜食主義であったため、洗礼者ヨハネがいなごを食べていたという記述を改変したとされる。

また、処女懐胎を否定するため、該当箇所が無く、洗礼者ヨハネの活動から始まっている。

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旧約リスト オリゲネス(c. AD 230)

http://www.newadvent.org/fathers/250106.htm

より。英訳からの重訳。

アレクサンドリアのオリゲネスは、アレクサンドリア学派の源流とも言える神学者であり、前ニケーア教父の最重要人物の一人である。

彼の旧約聖書リストが、カイサリアのエウセビオスの引用によって残されている。(『教会史』ⅵ.25)

ネヘミヤ書はエズラ書の第二に対応すると思われる。
なぜか十

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旧新約リスト 第三カルタゴ教会会議(AD 397)

http://www.bible-researcher.com/carthage.html

より。英訳からの重訳。

北アフリカのカルタゴでは教会史の初期から記録に残った多くの教会会議がもたれている。第三カルタゴ教会会議(AD 397)について明示的に確認された正典のリストが残っている。当時の西方教会を代表する見解であると思われる。(同じ北アフリカでも、アレクサンドリアはギリシア語圏であり、より

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新約リスト ムラトリ断片(c. AD 2c)

http://www.earlychristianwritings.com/text/muratorian-greek.html

http://www.earlychristianwritings.com/text/muratorian2.html

より。基本的に英訳からの重訳。

ムラトリ断片は紀元200年ころに西方(おそらくローマ)で、また原文はギリシア語で、書かれたと考えられている。現存

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旧約リスト サルディスのメリトン(AD 2c)

http://www.earlychristianwritings.com/text/melito.html

http://www.newadvent.org/fathers/250104.htm

より。英訳からの重訳。

サルディス司教メリトンは、AD 170頃まで活躍し、世代的に使徒教父と思われる。メリトンはパレスチナ方面へ行って旧約文書の目録を調査した。メリトンの報告はカイサリアのエ

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エチミアジン写本229におけるマルコ16章エピローグへの付記

上記リンク先の22番目の画像がエチミアジン写本229(Matenadaran 2374)のファクシミリである。

アルメニア語聖書は始めシリア語聖書から訳されたが、5世紀前半にコンスタンティノープルから得たギリシア語写本をもとに改訂が行われた。

エチミアジン写本229(Matenadaran 2374)は989年に、5世紀の写本から写されたと考えられている。

そのマルコの福音書16章8節と9節

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[メモ]メド=ペルシア連合の王名の対応

キュロス王(キュロス2世)から聖書中で表舞台に現れるメド=ペルシア帝国(≒アケメネス朝ペルシア)の王名はマソラ本文(MT)と七十人訳(LXX)で若干の対応の違いがある。順番に見ていく。テオドチオン訳を(Th)で示す。七十人訳では、エズラ記に対応する文書が二つある。第1エズラ記を(LXX第1)、第2エズラ記を(LXX第2)で示す。

重大な違いを太字で示す。

【ダニエル書】

6:1 メディア人ダ

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七十人訳 歴代誌上 4章

https://www.ellopos.net/elpenor/greek-texts/septuagint/chapter.asp?book=13&page=4

(1-20)
そしてユダの子ら: パ'レス, {アルソーン}[A: エスローム]とカ'ルミとオール', スーバルと彼の子レ'ィア: そしてスーバルはイェト'を生んだ, そしてイェト'はアキ'ミとラァドとを生んだ: これらがサラ'テ'ィ

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七十人訳 歴代誌上 3章

https://www.ellopos.net/elpenor/greek-texts/septuagint/chapter.asp?book=13&page=3

(1-9)
そしてこれらがダウィドの子らで彼へのケ'ブローンにおいての子供たちである: 長子はアムノーンでイェズラエール人アキ'ナァムに[生まれた子], 第二子はダニエールでカル'メール人アビガヤに, 第三子はアベッサロームでゲドスー

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