『ヘブライ人福音書』断片


:::::以下訳文:::::

ヘブライ人の福音書のうちにはこう書かれている。
キリストが地に臨んで人々のところに来たいと望んだ時、善き父は天における力強い権能を呼び出した。それはミカエルと呼ばれた。そして[父は]その保護のもとにキリストを託した。そしてその権能は世界のうちに来て、マリアと呼ばれた。そしてキリストは彼女の胎内に七ヶ月あった。
(エルサレムのキュリロス Discourse on Mary Theotokos 12a)


ヘブライ語の話し言葉で書かれた福音書、つまりナザレ派の者たちが読むものによれば、聖霊の泉全体が彼に降った。…さらにそのまさに我々が言及した福音書にはこう書かれていることを見出した。主が水から上り来た際に次のことが起こった。聖霊の泉全体が彼に降った。そして彼の上に安らぎ、彼にこう言った。「私の子よ、全ての預言者たちにおいて私はあなたを待っていた。つまり、あなたが来るはずであるということ、私があなたのうちに安らぐことができるということを。というのも、あなたは私の安息である。あなたは私の第一に生まれし子であり、永遠に統治する者である。」
(ヒエロニムス イザヤ書注解 4 イザヤ11:4)


そしてもし誰かヘブライ人福音書を受け入れるならば、ここで救助者はこう言っている。「それでも私の母は、聖霊は、私の髪一本を掴んで私を大いなるタボル山へと運び去った。
(オリゲネス ヨハネ福音書注解 2.18.87 ヨハネ 1:3)


またヘブライ人福音書においてこう書かれて確かにある。「驚嘆する者が統治するだろう。そして統治した者は安らぐだろう。
(アレクサンドリアのクレメンス ストロマテイス 2.9.45.5)

これらの言葉[プラトン ティマイオス90]について、以下が等価である。
尋ね求めてきた者は、見出すまで安らぐことがない。そして見出した者は驚嘆するだろう。そして驚嘆した者が統治するだろう。そして統治した者は安らぐだろう。
(アレクサンドリアのクレメンス ストロマテイス 5.14.96.3)


ヘブライ人福音書において我々は主が彼の弟子たちにこう言っているのを読んだ。「あなたの兄弟を愛を以って見る際を置いて他に、あなたは決して喜びに満ちてはいけない。
(ヒエロニムス エフェソ人への手紙注解 3 エフェソ 5:4)


ヘブライ人による福音書、つまりナザレ派が常習的に読むものにおいては、最も重大な諸々の違反の中にこれが挙げられている。「自分の兄弟の霊を悼んだ者
(ヒエロニムス エゼキエル書注解 6 エゼキエル 18:7)


最近私によってギリシア語とラテン語に翻訳された「ヘブライ人による」と呼ばれる福音書は、オリゲネスも頻繁に用いる者であるが、救助者の復活の後を記録している。
そして主が亜麻の衣を祭司のしもべに与えた際、彼はヤコブのところへ行き彼に現れた。というのもヤコブは彼が主の杯を飲んだその時刻から、眠っている者たちの間から彼が起きるのを見るまで、パンを食べないと誓っていたのである。そしてその後少しして主は言った。「食卓とパンを持ってきなさい。」そして直ちに以下が続いた。つまり彼はパンを取り、それを祝福して、それを裂き、ヤコブ・ユスト[義人ヤコブ]に与えてこう言った。「私の兄弟よ、あなたのパンを食べなさい。というのも人の子は眠っている者たちの中から起きたのである。」
(ヒエロニムス De viris inlustribus 2)

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