私だけの十戒

[第一戒]
私の存在の意味や目的をどんな特定個人にも特定事物にも託してはならない。《我の他に神無し》

[第二戒]
自他に関するどんな物語も無制限の解体に値する。《汝、偶像を拝すことなかれ》

[第三戒]
私に自他を断罪する権威はなく、自他を正当化する権威もない。《汝、虚無に神の名を用いることなかれ》

[第四戒]
自然性の傾斜に抗して立ち止まる瞬間のみが人間の自由の存する場である。《安息日を祝別せよ》

[第五戒]
全て自分の過去を責任主体として引き受けなくてはならない。《汝、祖を敬え》

[第六戒]
天地万有について、その個物としての尊厳を解体してはならない。《汝、殺すことなかれ》

[第七戒]
古い規範や約定は、その保護下にある弱者に配慮することなしに転覆してはならない。《汝、姦淫することなかれ》

[第八戒]
私が何事かを他人に要求する正当性は、いかなる時も在らず、また生じない。《汝、盗むことなかれ》

[第九戒]
価値判断においては現状変更を試みてはならない。《汝、裁きにおいて偽証することなかれ》

[第十戒]
生に私が受けるべきものとして存在する事物はない。《汝、他者の所有を欲することなかれ》

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