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サラリーマンの傍ら、日々言葉と戯れる変態紳士。 TwitterとInstagramで5…

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サラリーマンの傍ら、日々言葉と戯れる変態紳士。 TwitterとInstagramで54字の物語を、ショートショートガーデンで400字の超短編を不定期に投稿しております……。

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半生文 ~2022新作落語台本発表会~

makihide00と申します。不惑を過ぎたサラリーマンの身ながら2022年の落語協会主催の新作落語台本発表会において佳作に選ばれるという栄誉を頂戴いたしました。せっかくの出来事ですので、少しだけ自分語りさせてくださいませ……(と言いつつ7800字以上あるのはすいません)。 私が落語研究会に入ったのは、決して落語をやりたかったからではなかった。 2000年4月。人生で一度は都に住んでみたい、その一心で鳥取の片田舎から大学進学のため上京した私は、学生時代だからこそできるなに

    • デジタルバレンタイン (410字) 〜毎週ショートショートnote参加作品〜

      「バレンタイン……お会いできませんか?」 みちゅからのDMに俺の心は躍った。 暫く前から彼女とはSNSを通じて親交を深めていた。なんとなくお互いに好意を持っていることもわかっていた。だから、向こうからのアプローチにすぐ返信した。 「ぜひ!」 渋谷で待ち合わせた。みちゅはアイコン通り美人でスタイル抜群だった。俺のほうはちょっとイメージと違ったよう。だが、ふたりの間ではもはやそんなことは大した問題ではなかった。 「この世界だからチョコはないですけど……ツキあってください

      • ツノがある東館 (410字) 〜毎週ショートショートnote参加作品〜

        「結婚⁉」 クリスマスの夜、アヤメは心底驚いた。 クラブ『ツノがある』。若手中心の西館に比べ、東館は人気のクラブ嬢が多数在籍する。 このクラブの特徴、それは徹底した塩対応。水割りすら客自身で作らせ、挙句の果てになにかしら説教される。常に嬢が不機嫌、これが店名『ツノがある』の由来だ。こんなクラブ駄目だろうと思いきや意外や意外、盛況。やはり嬢に叱られたい御仁は一定数いる。そして、いつかアイツをデレさせてやるという欲求が店に足を運ばせるのだ。 そんな『ツノがある東館』のナン

        • 新春龍漫才 【干支漫才2024】

          キン「オレ達、キングギドラ!……キンでーす!」 グギ「グギでーす!」 ドラ「三波春夫でございます」 キン「おい、令和やぞ!堂々とレツゴー三匹師匠パクりやがって!」 ドラ「ドラでーす!三匹合わせてキングギドラ、よろしくお願いしまーす!」 キン「まぁ、三匹というか一匹というかね……皆さんご存知の通り、ひとつの体に三つの頭でやらせてもらってるわけなんですけども」 グギ「今年は龍年ということで、より一層頑張っていかなあかんねぇ」 ドラ「ちょっと待って……オレら龍という扱

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        半生文 ~2022新作落語台本発表会~

          第2回「54字の宴」参加します!【お題 ハロウィン 落ち葉】

          まつりには参加したい人間です……! 第2回「54字の宴」、投稿させていただきます。 お題【ハロウィン】 タイトル「かそう」 お題【落ち葉】 タイトル「あきがきた」 お読みいただきありがとうございました!

          第2回「54字の宴」参加します!【お題 ハロウィン 落ち葉】

          【新作落語台本】当たるも八卦

          こちら、2023年新作落語台本募集の落選作品です。昨年、勢いのままにコントっぽい感じで書いて結果が出たので今年も……と思いましたが、読み返すと勢いだけだったかもしれません(笑) また来年、精進します! ・・・・・・・・・・ 男1「あー、暇だな……人はたくさん通るのに誰も見向きもしねぇ。なんか楽して儲かる仕事ないかなと思って、パッと浮かんだのが占い師。だって適当に相手の話聞いてさ、適当にもっともらしいこと言ってさ、それでお金もらえちゃうんだから。で、早速商店街の片隅に机と

          【新作落語台本】当たるも八卦

          メガネ初恋 (410字) 〜毎週ショートショートnote参加作品〜

          私、メガネ。 さっきまでは、他の子達と一緒に店頭に並んでいた。でも、今は違う。愛するご主人様のおメガネに叶ったの。 ただのフレームだった私のボンヤリした視界に、急にフレームインしてきたご主人様。一目惚れ、そして、初恋だった。 そう、メガネだって恋をするのよ。 迷っているご主人様がピントを合わせてくれるように、私、精一杯フレームを輝せてみせた。勇気を出してコンタクトをとったの、メガネだけど。 そしたらご主人様、私を手にとってくれた。まだレンズ入ってないけどはっきりわか

          メガネ初恋 (410字) 〜毎週ショートショートnote参加作品〜

          アルプス笑点かい? (410字) 〜裏・毎週ショートショートnote参加作品〜

          山王亭アルプス。珍しい高座名は趣味の登山からとられたもの。同じく噺家である私の長年のライバルだ。 『笑点、新メンバー加入決定!』 年末にもたらされた大ニュース。新メンバーは既に内定しているが、来年2月の放送までは箝口令が敷かれているらしい。 さすがは国民的長寿番組、メディアの予想合戦は熾烈を極めた。その中で本命視されていたのが、アルプスだった。 「2月からアルプス笑点かい?」 私は何度もカマをかけたが、本人は笑ってはぐらかすばかり。 そして、放送日。 「どーも、

          アルプス笑点かい? (410字) 〜裏・毎週ショートショートnote参加作品〜

          ヘルプ商店街 (410字) 〜毎週ショートショートnote参加作品〜

          全身の痛みに耐えかね目を開けると、丸顔の中年が俺の顔を覗いていた。 「気がついたかね」 「……ここは?」 「私の営む八百屋の2階だ。市場へ行った帰り、倒れている君を見つけてね」 記憶が蘇ってきた。俺は魔王を倒す冒険の途中、手下の怪物と戦い痛恨の一撃を浴びたのだ。 「行かなくては……イタタ」 「その怪我ではまだ無理だ」 「しかし、これ以上甘えるわけには」 「なぁに、昔からこの商店街は、君のように傷ついた冒険者を迎え入れ癒やしてきた……そしていつしか、ヘルプ商店街

          ヘルプ商店街 (410字) 〜毎週ショートショートnote参加作品〜

          草食系男子に教えられたこと (410字) 〜毎週ショートショートnote参加作品〜

          「ルミ、また別れたの?」 社食で同期のサクラの問いかけに頷く私。 「うーん、ルミみたいな肉食系には草食系のほうがいいんじゃない?たとえば……」 サクラの視線の先には、窓際でパンを貪る後輩の田中。おいおい、田中なんて眼中にないっつーの――。 ところが、なぜかその後から田中の姿が妙に目につく。オフィス、駅前、帰りのホーム……とにかく私の視界に田中がいるのだ。え、私、もしかして意識しちゃってる……? そんなことを考えていたら白線をはみ出していたみたい。響く電車の警笛。

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          くれないの?豚 〜くれたのは鶏〜 (だら子様リクエスト)

          「で、どういうわけで豚肉を?」 「まぁ、いろいろあって……」 私はとある地方新聞の女性記者。養護施設へ定期的に豚肉を寄付する青年がいると聞きつけ、取材にやってきた。 「施設の方が謝礼を渡そうとしたら『飛べない豚は、ただの豚だ』と言い残して受け取らずに帰っていったなんて話も聞いてるんですが……」 少し間があってから、青年が口を開いた。 「……記者さんは、空を飛ぶ豚、って聞いたことありますか?」 「え?」 「頭のおかしいヤツだと思われるかもしれませんが、探してるんで

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          名探偵ボディビルディング (410字) 〜毎週ショートショートnote参加作品〜

          路地裏にあった『名探偵ボディビルディング』という看板に惹かれたのが間違いだった。 僕は探偵に憧れている。なんなら職業にしたいくらい。でも、目の前に立っている白のタンクトップにホットパンツ姿のマッチョは、どう考えても僕の目指す方向性ではない。 「探偵……なんですか?」 「ああ。名探偵ボディビルディングこと細井だ」 「……自分で名探偵と?」 「そのぐらいの自信がないとやっていけないよ。もちろん肉体においてもそうさ。筋肉という鎧を纏うことが自信に繋がる」 「はぁ」 「

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          2012年秋、マツダスタジアム(過去のブログより)

          ※この文章は約10年前にブログに投稿したものです。「野球が好き」のハッシュタグを見て思い出し、久々に読んだらいろいろ懐かしかったのでnoteに転載することにしました。あの頃の僕はまだ独身で、時々こうして気ままな一人旅とくだらない妄想をしておりました……。 現実というのは、時に残酷である。 「計画を練っている時が一番楽しい」 よく聞く言葉ではあるが、その通りだと思う。計画の際に想像していた未来は、平然と僕を裏切る。しかも、大抵は悪い方向に――。 1ヶ月前、僕はあることを

          2012年秋、マツダスタジアム(過去のブログより)

          噛ませ犬ごはん (410字) 〜毎週ショートショートnote参加作品〜

          「つまり、最初から勝敗は決まっている、と?」 「……そうです」 開店前の店のテーブルで、ディレクターは一瞬間をおいてそう答えた。 『ごはんの達人』。毎週、様々な料理人が「達人」と呼ばれるレジェンドと料理で対決する人気番組だ。 独立して自分のフレンチの店を持って2年。細々とやってきたが、正直言って経営は苦しい。そんな折に舞い込んだ番組出演の話。これはビッグチャンスだ。しかし……。 「私も料理人の端くれ、負けが決まっている中で料理を作るのは……」 「視聴者は強い達人を

          噛ませ犬ごはん (410字) 〜毎週ショートショートnote参加作品〜

          失恋墓地 (410字) 〜毎週ショートショートnote参加作品〜

          「なにしてるの?ベッドからいなくなったと思ったら」 午前二時、私の照らす懐中電灯に浮かび上がったのは、フィアンセの姿だった。 「ごめん、どうしても気になってさ」 「そんなに気になる?私の過去の恋愛遍歴」 ここは失恋墓地。過去に成就することのなかった恋愛が葬られている場所だ。 「そりゃ気になるよ……君はとっても美人だから、今までハイスペックな男達とツキあってきたはずだ。それがなんで冴えない僕なんかと……」 「あなたが好きだからよ」 「本当かい?僕の父親が社長だから

          失恋墓地 (410字) 〜毎週ショートショートnote参加作品〜

          新春兎漫才 【干支漫才2023】

          「どーもー、アンゴラでーす」 「レックスでーす」 「ふたりあわせて、二兎タッチズザウォールズでーす」 「よろしくお願いしまーす」 「いやー、今年はウサギ年ということでね、われわれの年なんで頑張っていかなあかんなぁと思ってるわけなんですけれども……」 「悔しい!」 「急にどないしたんや、レックス君」 「ウサギとカメの童話あるやろ……あれで負けたやん、どこの馬の骨ともわからんしょうもないウサギが!」 「まぁ、少なくともウサギの骨やろうけどね」 「アイツのせいで、

          新春兎漫才 【干支漫才2023】