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書いている小説

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書いている小説をまとめました。 こちらはホラー小説です。 https://note.com/maki0806/m/m6453eb5d2608
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#作品

君と見たい景色、君に見せたい景色

君と見たい景色、君に見せたい景色

君と見たい景色

 君と見たい景色がある。
 君に見せたい景色がある。

 駅のホームに緑色の電車が停車した。すぐに車両に乗り込み、端の空いていた座席に僕らは座った。それから僕は鞄から本を取り出し、母さんは手に持っていた電話の画面に視線を落とした。この電車に乗るのも、もう何度目だろうか?物心つく前からだから正確な回数は知らないけど、きっといっぱい、うんと沢山なはず。
 僕は本を開く前に、少し車内を

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君に見せたい景色

君に見せたい景色

 ホスピタルアートの小説です。

以前書いた小説の原点となる話です。今回の話から読んでもわかりますが、前回書いた2つの小説も読んでいただけたら嬉しいです。

続きになります。

 君に見せたい景色

 あの日から自分の人生は大きく変わった。それまで望んでいた未来ではないが、この今の人生で良いと心から思う。

 あの日、待望の我が子が生まれた。二人で幸せに浸ったが、喜びはつかの間、すぐに終わってしま

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今夜はほろ酔いだ 小説

今夜はほろ酔いだ 小説

 昼はまだ夏の暑さの名残りがあるものの、夜になると秋らしい過ごしやすい気温になってしまっている。元々秋は好きだから、いつもなら秋を両手を広げて歓迎するのに、今年はまだ夏であって欲しいと思ってしまう自分がいた。それはきっと僕だけじゃないはず。

 この夏、一体どれくらい僕は楽しい事をしたのだろう。何回、休みの日を楽しんだのだろう。片手で数えられてしまうのが悲しい。みんなはどうなのだろうか。楽しめたの

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ヒハマタノボリクリカエス 1

ヒハマタノボリクリカエス 1

 何故生きるのか? 心が疲れてしまった女子高生の、再生の物語です。僕たちの10代の数年を、ある事実とある視点を交えて、フィクションとして書きました。 初めて書いた小説を、加筆修正して載せていきます。

 雨だ。
 音は聞こえないけど、外はひどい雨だ。
 ああ、帰るのもうっとうしい。
 畠山美保は、数学の授業を軽く受け流しながら、頭では全く違う事を考えていた。高校三年の夏休み前といえば、たいていの受

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