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ここは出版社じゃなかった。私の中で巻き起こる、当たり前のアップデート

「そんな本、出していたんですね」

ここ数ヶ月、社内で違う部署の人と話すたびにそんな言葉を耳にした。
そのたびに、「そうだった。ここは出版社じゃなかったわ。もっとうちで本をつくっていることを知ってもらわないと」と反省する。

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前職の出版社からLIFULLに転職して2年半。
住宅情報誌(ムック本)により自社サービスの認知や集客に寄与することをメインのミッションとして働いていたが、昨年の秋から、ムック本を活用した新しいプロジェクトにチャレンジしている。

今まで社内で関わってきたのは、サービスの担当者や自部署内で連携するSNS等の担当者が中心。
ムック本に理解が深いわけではないけれど、その存在は知っていてくれていて、集客に貢献することも少なからずわかってくれている人たちだった。

それが、新しいプロジェクトでは営業部署の担当者など、今まで接点のなかった人とも関わることに。
ムック本の貢献度はおろか、冒頭のような「そんな本、出していたんだ」程度の認識の担当者も多い。

Webサービスを中心に展開するLIFULLでは、数あるマーケティング施策もWebに紐づいたものがほとんど。テレビCMなどもあるけれど、CMほどのインパクトがあるわけでもない。
本を使った施策があることを、忙しい他部署の人が知らなくてもおかしくはないのだ。

そう、LIFULLではムック本づくりは「数あるマーケティング施策」の一つ。
私はその視点がふと抜け落ちていたりする。


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新卒から、ずっと編集という仕事をしている。
それも前職の2社では、雑誌と書籍、ジャンルは違えど一貫して紙媒体の編集者だった。

こう人に話すと、「いいねえ」「本をつくれるなんてすごいじゃん」などと言ってもらうことも多い。

確かに、本をつくるってすごくワクワクするし、私も大好きだ。

ただ、これからの時代、紙の本をつくれるだけでは生きていけない。
本の新たな役割を見いだせるようにならなくては。

斜陽産業、書店閉店…などネガティブワードばかりが耳に入る業界に身を置いていることに焦りを感じ、タイミングよく紙媒体の経験者を募集していたLIFULLに入社した。

※転職の経緯はこちらにまとめています。


「紙媒体の知見のない会社で、今までのキャリアを集客やブランディングに活用する」
ーそんな体のよいミッションに胸を躍らせて入社したけれど、自分はこのミッションの意味を、実はきちんと咀嚼できていなかったなと思う。

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出版社では、本は「つくって当たり前」のもの。
当然だ、会社の主力商品なのだから。

私が勤めた2社は量産型の出版社だったこともあり、月に1冊、2冊とコンスタントに担当本を発売するスタイル。常に締切と隣り合わせで、目の前の制作業務に追われていた。

だから、「いかに売れる本や企画にするか」はたくさん考えてきたけれど、「本をどういうふうに知ってもらうか」とか「本をつくる意義」などを深く切り込んで考えたことは正直なかった。

ただ、出版社には本に対する熱意や理解のある人たちが集まっている。
周りの担当者や営業、プロモーション等他部署の関係者も含め、出版社では皆が本を売ること、販売数を伸ばすことが仕事だ。
本さえつくれれば会話が成り立つから、自分はとにかく本づくり。

今思えば、自分はある種環境に甘えてしまっていた。

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けれど先にも挙げたように、LIFULLでは「本の出版=数あるマーケティング施策」であり、「時に知らない人すらいる施策」。

集客やブランディングに活用する意義を明確にするために、「本の施策としての有用性」や「本のリーチによる事業貢献度」を根拠や数字をもって示すことが求められる。
実際に集客への貢献度は数字で示されているので、LIFULLでここ何年か続く施策になっているけれど、決して”本をつくること=マスト”ではない。

だからこそ、本の価値、存在意義を自ら社内も含めて知らしめていかなくてはならない。「本を集客やブランディングに活かす」というのはそうしたことも含めての意味なのだ。

※LIFULLでの本づくりや活用についてはこちらにまとめています。

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こんなふうに、LIFULLに入社してから私の中では幾度となく自分の働くうえでの”当たり前”が覆されていて、そのたびにアップデートをしているような感覚がある。

いや、アップデートしているつもりが、いまだ”出版業界の当たり前”のほうが強く染みついていて、意識していないとそちらの思考に戻ってしまうというほうが正しいかもしれない。
新卒から7年半、出版業界にどっぷり浸かって仕事をしてきたことの代償は大きい。

たぶん、同じ職種で様々な業界を渡り歩いている方や、規模の小さな会社で1人担当をされている方などは、もっとこうしたアップデートや、自分の業務を周囲に理解してもらう業務を繰り返されているのだろう。
すごい。心から尊敬します。

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私は文章の締めを考えるのが苦手だ。
途中まですらすら書いていたのに、最後に何を言ったらいいのかよくわからなくて記事が作成し終わらないことがよくある(お得意な方、教えてほしいです)。

ただ今回は、ちょうど1週間後が担当するムック本の発売日。せっかくの機会なので、宣伝して締めようと思います。

「本の存在を知らしめること」も私の役割だから。


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