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映画・ドラマ感想

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感情が大きく動いた作品しか感想書いていないので、そのときの心情が強く出てる気がする
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記事一覧

最悪な自分も認めて生きていく〜映画「わたしは最悪。」感想〜

最悪な自分も認めて生きていく〜映画「わたしは最悪。」感想〜

洋画の日本語タイトル失敗例として、いくつかのパターンがあると思う。
①タイトルまんま直訳で、日本語にすると映画の内容がよくわからない。
②日本人ウケを狙って、テレビドラマっぽいキャッチーなタイトルをつけたけど、本編と全然テイストが違う。
③ウケ狙いで突飛なタイトルつけたけど、普通にスベる。
だいたいこのパターンだ。

「わたしは最悪。」は、原題は「世界で1番最悪な人間」的な意味らしい。上のパターン

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愛おしい日常と愛おしい人間〜映画「窓辺にて」感想〜

愛おしい日常と愛おしい人間〜映画「窓辺にて」感想〜

映画好きを名乗るには、答えられなきゃいけない気がする質問、「好きな映画監督は?」今ならパッと、今泉力哉と答えられることが嬉しい。

今泉力哉作品の中では、大それた出来事は起こらない。むしろ、その何気なさやなんてことのない会話や実人生の日常の延長線のよう。だからこそ、映画と現実との境目が曖昧になるくらい、映画の中の出来事が自分の人生の経験として数えたくなるほど、愛おしく、大切に思える。

今回の「窓

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20代ゲイ、SATCにハマる

20代ゲイ、SATCにハマる

最近の日々の癒しが、「セックス・アンド・ザ・シティ(SATC)」を観ること。流行りのネトフリのドラマも良いけれど、なにせ最近のドラマは1話が長い。そしてストーリーもドラマチックすぎる。毎日消耗しきった状態でみるには、少し重すぎる。

その点、SATCは本当にバカバカしくて最高。流石に20年前の作品ということもあり、映像は古さを感じるが、その当時のアメリカと現在の日本を比べても、ジェンダー観や女性の

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「楽しいの、だめなんだけどなぁ。」

「楽しいの、だめなんだけどなぁ。」

この台詞を聞いて、今期は「日曜の夜ぐらいは…」を継続して観ようと思った。

前クールでハマった「ブラッシュアップライフ」も女性の友情ドラマだったけど、今作は少しテイストが違う。かなり痛いし、リアル。日曜の夜に観るのには、あまりにも切実すぎて、ちょっとキツいくらいかも。

メインキャラクターの3人は、あまりやりがいのない日々生活していくために仕事をしている人たち。特に、主人公のサチは、車いす生活の母

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キャリー・ブラッドショーになりたい

キャリー・ブラッドショーになりたい

「AND JUST LIKE THAT…」のシーズン2の配信が始まった。昨年末からSATCにどハマりし、6シーズンと映画2本を完走した僕。ど新規のファンだけど、新章となる今シリーズも、キャリーたちの加齢や時代、環境に伴う変化をとても楽しみながら観ている。

今シリーズでは、サマンサが登場しないこともあり(シーズン2ではワンシーンだけ出演とのことらしいが)、「サマンサのいないSATCなんてもはや別物

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改めて「セックス・エデュケーション」について真面目に語る

改めて「セックス・エデュケーション」について真面目に語る

ネトフリのドラマ、「セックス・エデュケーション」のシーズン4を観終わった。これでシリーズ完結、らしい。

約1年半前、シーズン2まで観た僕が書いた記事がこちら。

このドラマが、僕の性に対する価値観、自分の性的指向を少しずつこのnoteで話したり、人にオープンにするようになるきっかけになったと言っても過言ではない。実際、この記事を書いた1年半前と、僕の心境や性に対する考え方、人との付き合い方が大き

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この欲は異常ですか?〜「正欲」感想〜

この欲は異常ですか?〜「正欲」感想〜

観てから1週間以上経つのに、うまく感想を言語化できなくて、一度書いた記事を全部白紙して書き直した。それくらい、他人事とは思えない内容で、色々感情が派生して、とっ散らかりそうなので、出来るだけ作品の内容から離れないように努めようと思う。

結論から映画の評価を言うと、生涯ベスト級に入るくらい、自分にとっては特別な作品となったんだけど、原作を読んでない人からすれば分かりづらい部分もあるかもと思ったので

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最近観た映画〜「バービー」「ほつれる」「逆転のトライアングル」

最近、予定のない休日は自堕落に過ごしてしまって自己嫌悪に陥るというパターンが多く、むしろ仕事をしている日の方がちゃんと人間らしい営みをしていて自己肯定感が上がるという、そんな日々を過ごしている。

ちなみに今日唯一有意義に使えたと思える時間はコメダで2時間読書をしたことであり、何も買わずにイオンモールをぶらぶらした1時間、マッチングアプリを眺め続けた2時間、YouTubeをダラダラ観した4時間は何

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すり傷作ってこそ人生〜「哀れなるものたち」感想〜

すり傷作ってこそ人生〜「哀れなるものたち」感想〜

エマ・ストーンが結構好き。
「ラ・ラ・ランド」とか「アメイジング・スパイダーマン」とかでわりと日本人にも名の知られたスターになったイメージだけど、僕は「ヘルプ〜心がつなぐストーリー〜」で初めて観た時からいい女優だなーと思っていた(と古参アピールをしてみる)。

「女王陛下のお気に入り」では、さっぱりと明るい快活なイメージを覆すような、したたかで腹黒い役を演じていて、すごく印象的だった。今回の「哀れ

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平和な日常への絶望と甘え〜「デッドデッドデーモンズデデデデデストラクション 前章」感想〜

平和な日常への絶望と甘え〜「デッドデッドデーモンズデデデデデストラクション 前章」感想〜

些細な日常の出来事を面白おかしく描いた作品が好き。自分事として共感しやすいし、日常での密かなイライラや絶望も、こうすれば一種のエンタメかも、という視点をくれる作品たちは、生きる糧となる。

一方で、そういった「日常系」と呼ばれる作品たちに宿る欺瞞もあるなあと思っている。多くの作品では、彼らの日常を揺るがす事件は起きない。変わらない日常を、同じ面子で永遠と繰り返していて、これは実はとんでもなくフィク

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