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すずめの戸締りが閉じた世界
戸締りの旅と日本神話プロローグ
今では誰も近寄らなくなった廃墟。かつて盛況を呈した温泉街の中央のドームにはひっそりと佇む一枚の扉。
この物語は、主人公の、岩戸鈴芽の扉との出会いから始まる。
現代の神話をもう一度新たに紡ぐ物語。
そこに描かれる姿は、鈴芽という一人の少女の焦心苦慮に留まらない。
現代の人間が世界と対峙し調和を目指す、現代人への示唆が込められている。
本作は母を失った少女の岩戸鈴
砂の女[し:シーフードヌードル]
「心配しないで、私は海に帰るだけだから」
彼女はそういって病院のベッドで眠った。
そうして二度と目覚めなかった。
長い間手入れされずに伸びた髪は彼女を繭のように包み込んでいた。
30年という短い人生のうち3年間を彼女はこの病室で過ごした。
彼女は生前、宝石を集めるのが趣味だった。
病室の本棚には集めた宝石を円形に並べて配置していた。
そのとき、眠る彼女の耳からはさらさらとした砂が流れ
胎児の炎[こ:固形燃料]
ッシュボ……
シュボッシュボ……
そこここで炎が上がる
「よっし!こんなもんだろ」
ケイスケは満足気に言った
「ホントにやるの?」
怯えた顔のミツオはメガネを押す指すら震えていた
「当たり前だろ?これをやらずに夏を終えれるかよ。去年は海水浴行った先でやる予定だったのに、色々あってできなかったからな」
中学生の僕らは夏休みの最終週、百物語をすることで現実から目を背ける最後のあがきに入
[ゲームセンター]雨の日のタイムマシン
高校三年の夏、
近づく台風のお陰で学校は午後から休校になった。
空は雲ひとつなくて、学校の慌ただしさが嘘みたいだ。
でも、高校に入ってから伸ばし始めた長い髪がわずかにパサついて雨がもうすぐ来ることを密かに教えていた。
帰りに紗矢がゲームセンターに誘ってきた。どうせ家は近いし台風が来るまでには帰れるだろう。折角休校なのになにもしないなんてもったいない。私は喜んでOKした。
私たちはいつもの