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出会いが間違い

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#叶わぬ恋

真実とは?

真実とは?

「全然捕まらないですね。タクシー。」

「だね。さっき店で呼んでもらえばよかったね。まぁ、このあたりのこの時間ってこんなもんだよね。きっと。」

「だね。私、タクシー呼ぼうか?」

「いや、歩こう!」

「え?うん、はい・・。どこか目的地はあるの?」

「いや、ない。笑 なんか、久々に会うから、テキパキできない。ごめん。笑」

「あ、いや。こちらこそ。」

「れいちゃん、大人になったね。って、当た

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消したい過去

ほんの数十秒、何も言えず立ち尽くしていただけなのに、

その時間が長く感じた。

知らないふりをしていいのか、

どちらかが沈黙を破らないといけないのか。

私は、徐々にあきとさんから目線を外し、その場から立ち去ろうとした。

「れいちゃん、待ってよ!」

久々にあきとさんに名前を呼ばれて、あの時の記憶が鮮明に蘇る。

悲しみと、苦しみと、憎しみと、愛おしさ。涙を瞳に止めておくのが大変だった。

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不意再会

不意再会

「れいちゃん、覚悟できてる?」

「・・・うん」

「じゃあ…、見る?」

「・・・うん。」

「「はっ・・・」」

「れいちゃんーーーーー!!!やったね!やったね!!!!おめでとう!!!!」

そう、今日は、第一志望の難関私立大学の合格発表日。

あれから、本当に死に物狂いで勉強に励み、私は無事合格した。

母が涙を流して喜び、私もホッと力が抜けた。

いろいろあった高校生活だったけど、これでよ

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消したい記憶

消したい記憶

あれから、あきとさんとは、週に1〜2度会っていた。

あきとさんの自宅のときもあれば、

外で食事をしたり、映画を見に行ったり。

私なりに幸せで。どんどん、あきとさんが好きになっていった。

そして、1ヶ月。

毎日続いていたメール。

週に3度はしていた電話。

その日はどちらもこなかった。

ーーー仕事忙しいのかな?

そう思って、邪魔をしないように、私からも特に連絡しなかった。

それから

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ダブルの歓喜

ダブルの歓喜

あれから二週間。

私は高校受験よりも勉強に励んでいた。

高校受験より必死だった。

絶対に這い上がる、と。

そして、夏休みを迎える。

今年もまた暑いらしい。

あー、また玄関前に生きてるか死んでるか分からないセミが転がってて、立ち往生する季節だなー。

周りの友人が夏休みを満喫している頃、

私は全ての誘いを家族旅行と言って断り、

勉強に明け暮れた。

そして、編入試験当日。

3つの公

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初めての助手席

初めての助手席

「ただいま」

「おかえり!ご飯は?もう食べる?」

「うん。ありがとう。その後少し期末試験の勉強するね」

「あら!頑張って!」

「ごちそうさま!ママ、ありがとう。美味しかったよ!」

「じゃあ、勉強、頑張ってね。夜食欲しかったら言って!」

「うん。ありがとう。」

ーーバンドマン、か。

そんなことを、ふと考えつつも、

私は期末試験の勉強に励んだ。絶対に負けない。負けてたまるか、と。

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