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私がSNSに懐疑的なのは、ひとは「魅力的だから」という理由ではなく「側にいてくれるから」という事実によって愛されるべきだと思うからだ。
花を染める、あなたを彩る
4月の晴天好日。突如春めいた空の下を歩きたくなって、私と友人は花見へ出かけた。真っ直ぐに伸びる目黒川のそばでは「あぁ性急な春」とでも云わんばかりに、染井吉野がその花を眠たそうに開いている。
(無理もない。つい先日まであの寒さだったのだ。)
満開の桜の枝と、蕾のままの枝と。
同じ桜の木でも咲き具合はばらばらだ。
近くのベンチに腰掛けた私と彼女は、川の流れをぼんやりと眺めつつ、互
存在について(一如の雫)
子供時代の私は、ずっと窓の外を眺めていた。
特に好きだったのは土砂降りだ。地面を打つ雨のひと粒ひと粒にじっと目を凝らし、その水滴の瞬くような一生について、ひねもす想いを馳せていた。
空いちめんに鳴り響く『ザーザー』から、無数の『ぽた、』を聞き拾う。
(今思えば、紛うことなき愛の作業だ。)
名付けられることも個として認識されることもなく、一瞬で大地に融けていく雨。そのひと粒ひ