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【BL二次小説】 チャリデカ2《カジノ編》⑬


何DECKも繰り返し、順調にコインは増えていった。

 

現場のメンバーもだいぶ慣れ、インカムで世間話しながらでもプレイ出来るほどになっていた。

 

 

 

黒「仲間、やっぱ居ないみたいスね」

荒「あァ。予想通りピンだ」

 

荒北は最初から岸神小鞠をピンだと確信していたが、念のため仲間の存在のチェックも行った。

もし仲間がいるとしたら、小鞠が現れる前から場の様子を見に来ている筈だ。

しかしそれらしい人物は皆無だった。

 

 

 

荒「よォし野郎共、休憩だ。時間差をつけて従業員用食堂に集合。タキシード組は上着をクロークに預けて来るよォに」

 

荒北が号令をかけた。

みんな慣れないことをして疲れている筈である。
 

カジノは夕方に自然と客も入れ替わる。

本番は夜だ。

ゆっくり休ませることにした。

 

 

 

 

~従業員用食堂~

 

 

巨大なカジノホテルは従業員の数も半端ない。

その食堂もドームのような広大さであった。

 

 

荒「お疲れサン。みんなよくやってくれてらァ。期待以上だ」

 

荒北が全員を労う。

みんな蝶ネクタイを外し、首元を開襟して寛ぐ。

 

 

泉「大変ですけど、慣れたら流れ作業ですし会話する余裕も出てきてホッとしました」

東「まあ、オレ達は荒北に指示された通りに賭けてるだけだからな」

 

福「休む暇無く全てに目を配り一番神経を使っているのは荒北、オマエだ。オマエが一番休め」

荒「福ちゃん……。オレぁその分楽チンな格好してっから大丈夫だヨ。あ、そうだ福ちゃん、そういやMr.ピエールが同窓会をって……」

 

 

食事をしながら前半の反省会や後半の打ち合わせをする。

そのうち外は日が暮れてきた。

 

 

荒「どうした新開ィ。さっきからおとなしいじゃねェか。疲れたか?」

 

荒北は、あまり会話に入ってこない新開が気になって声を掛けた。

 

 

新「あ、いや、ちょっと考え事……」

荒「考え事ォ?おいおい、これから本番なんだぜ。なんだ、言ってみろや」

 

 

新開は席を立って言った。

 

新「次の集合時間までまだあるよな。オレちょっと控え室行ってシャワー浴びてくるよ……」

荒「え?オイ」

 

荒北は様子のおかしい新開が心配になり、部屋までついて行った。

 

 

 

 

 

~客室~

 

 

新開はシャワーを浴びている。

 

 

荒北は部屋の大きな窓から外を眺めた。

 

眼下には大きな噴水があり、音楽に合わせて水流が踊っている。

流れているのはブランク・シナトラの名曲ニューヨーク・ニューヨークだ。

 

そのうち花火が上がり出した。

 

「へっ。どこの国もラスベガスのパクりばっかだなァ」

 

荒北は苦笑いした。

 

 

 

カチャ。

 

バスルームから新開が出てきた。

 

ディーラーの制服を簡単に羽織り、ドライタオルで髪を拭いている。

 

荒北は早速話し掛けた。

 

 

荒「新開、本番前だから緊張すンのは解るが、オレがちゃんとモニターで見てっから安心して……」

新「ん?全然緊張なんかしてないよオレ。むしろディーラーの役、楽しいし」

 

新開はケロッとした顔で言う。

  

荒「えェ?じゃァなんなんだヨ考え事って。本番前に余計な事考えンな」

 

新「だって、気になる事あってさ」

荒「だからなんなんだヨ。さっさと解決して本番に集中してくれねェと困ンだよ」

 

荒北はイライラしている。

 

 

新開は人差し指を口の前で立てた。

 

荒「……!」

 

そして荒北の耳元と首元に手を伸ばし、インカムを剥がした。

 

少し離れた位置にあるテーブルにそのインカムを置く。

 

 

荒「……」




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