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松谷信司@キリスト新聞
2019年4月26日 17:35
宣(戦)隊ヒーローの一員として、決して見逃せないテレビドラマが放映された。その名も『トクサツガガガ』(NHK総合・毎週金曜夜10時)。主人公である商社勤めのOLは、特撮をこよなく愛する隠れオタク(隠れオタ)でありながら、職場の同僚たちには一切その秘密を明かしていない。原作は2014年から『ビッグコミックスピリッツ』(小学館)で連載中の丹羽庭による漫画。同じ趣味を持つ仲間と出会い、友情を育み、成長
2019年4月14日 12:57
ヒ―ロ―とは孤独なものである。昔からそう決まっている。正体を隠しながら人助けをし、誰から褒められるでもなく、特段儲かるわけでもなく、時に理不尽な理由でなじられ、罵倒され、家族にも打ち明けられないような秘密を抱えることもある。我らが大先輩であるデビルマンは、自分が守ろうとしていた人間の本性に絶望してしまうし、スパイダーマンはヒーローとして生きるか、1人の人間として生きるか究極の選択に苦悩した。
2019年4月1日 12:16
「間に合っています」という表現がある。目下、必要としていないサービスや勧誘をやんわりと断ることのできる便利な日本語である。電話口や路上で押しの強い人に遭遇した際にも、このひと言さえ持っていればたやすく撃退できる。 教会への招きも同様に、このキラーワードで断られることが多い。「わたしは結婚していて家族もおり、衣食も足りて住む家もある。体は健康、仕事も順調。社会的にも成功を収め、今のところ依拠す
2019年3月26日 10:40
最小限のモノだけで合理的な生き方を実践する「ミニマリスト」が注目を浴び、昨年の流行語大賞にもノミネートされた。料理や掃除の手間を省く「時短」テクニックが、主婦層を中心に話題となったのも記憶に新しい。「できないこと」から解放され、快適なシンプルライフを提唱するハウツー本もよく読まれてきた。 何を隠そうこの我が輩も『やめたら、お家スッキリ!』(佐光紀子著、大和出版)にはいろいろ教えられた。ゴム手
2019年3月24日 18:33
諸君! 我が国のクリスチャン人口は「1%未満」と言われて久しい。にもかかわらず、昨今のテレビではかつてキリスト教を信奉した歴史上の人物が脚光を浴び、「キリスト教」を冠する書籍類が売り上げを伸ばしている。なぜか? 「本物はこっちにある」「どうせ間違いだらけ」だと? 何たる不甲斐なさ。そんな言い訳をしているから、クリスマスに留まらずイースターまでもが、「春の到来を祝うお祭り」などとして持っていか
2019年3月22日 13:03
「マジ神」「神回」「神ゲー」「神アプリ」「神対応」……。これらはいずれも、主にニコニコ動画(ニコ動)などで頻繁に使われているネットスラングである。それぞれの意味はさておき、何かよくわからないがとにかくスゴいものを表現するための形容詞として「神」が濫用されている。 同様に、それらを愛好するオタクたちは「信者」を自称する。ニコ動内で用いられる用語を解説した「ニコニコ大百科」によれば、「信者とは一
2019年3月20日 12:33
迫り来る魔の手からこの世を救い、地上において「神の国」を実現するためには、不断の努力が欠かせない。地の果てまでも福音を宣べ伝えよという命に準じるためにも、我々キョウカイジャーはありとあらゆる方面に日ごろからアンテナを張っておく必要がある。それがたとえ、バーチャルな世界であっても……。 わたしがこの地に舞い降りて間もない駆け出しのころ、インターネット上でキリスト教に関する情報を検索(我々は「巡
2019年3月17日 15:08
過労死の問題で批判にさらされた「ブラック企業」に続き「ブラックバイト」「ブラック部活」など、巷では何かと「ブラック」が横行しているらしい。世にはびこる「ブラック」は、アクの強いキョウカイブラックだけで十分だ。 「拘束時間が長い」「理不尽な要求が多い」「一度深みにハマると抜けにくい」などが共通点として挙げられる。一連の報道を見聞きしながら、既視感を覚えた牧師や信徒も少なくないのではないだろうか
2019年3月10日 16:45
かつて5月7日付本欄「続けるだけが能じゃない!」の回で、「時にはやめる勇気も持とう」と提言した。今回はその続編。 「仕分け」や「スリム化」が叫ばれて久しい。あらゆる場面で「コンプライアンス(法令遵守)」と「アカウンタビリティ(説明責任)」が求められる世知辛い世の中でもある。教会は長く、それら世俗的な「企業の論理」とは無縁の世界にあった。 信仰共同体としての教会が、効率や実益のみを最優先す
2019年3月6日 17:55
日本の牧師は奥ゆかしすぎる。個人を崇敬の対象とすることを極端に嫌うプロテスタント故なのか、あるいは謙遜を美徳とする国民性によるものかは知らないが、とにかく目立つことを避ける。 逆に少しでも「出る杭」があれば、寄ってたかって打ちまくる。そして、せっかく育ち始めた若い芽も根こそぎ引っこ抜かれ、荒涼とした不毛の地だけが残る。だから、賢い後進はますます表舞台に出たがらない。 傍若無人に出しゃばれ
2019年2月27日 19:13
日本の教会は議論がヘタクソである。いや教会に限らず、「和」を美徳とし、協調性を重んじる日本の学校教育を受け、過度な同調圧力にさらされてきた弊害なのかもしれないが、この国で会議と呼ばれるものの半分以上は不毛だと言っても過言ではない。 対等な立場でクリティカルな意見を交わし、論理的思考で結論を導き出す訓練ができていないからか、総じて議論はかみ合わず、ただ時間だけが過ぎていく。人間の能力的に、集中
2019年2月25日 17:31
受験シーズン真っ盛り。新年度を控え、それぞれ岐路に立たされている学生諸君も多いだろう。そこで今回は、小学校で定番の宿題「音読」の話から。 旧世代の学習法はとにかく「反復」が命。漢字にしても「ひたすら書いて覚える」が主流だった。しかし、同じ漢字を何回も繰り返し(しかも脈絡なく!)書かせたり、同じ単元の教材を毎日続けて音読させることが、果たしてどれだけ国語力の涵養に効果があるかについては、改めて
2019年2月22日 21:58
地域紛争や内戦の激化で、数十万人もの難民が母国を追われる中、教皇フランシスコは2015年9月、欧州の全教区、修道会共同体などに対し、希望と神のいつくしみのしるしとして、難民の家族一世帯を受け入れるよう求めた(CNS)。 国内では、難民の受け入れが遅々として進まず、先進諸国に比べても最低水準であることなどが問題視されているが、我々キョウカイジャーがとりわけ救いの手を差し伸べたいのは、目下急増中
2019年2月21日 12:19
「モーレツ社員」が高度経済成長を支えた60年代。テレビCMに「24時間戦えますか?」と鼓舞された80年代。牧師たちも年中無休365日、家庭を顧みず、休みなしで教会に仕えることが理想とされた時代があった。牧師家庭に育ち、家族旅行の記憶がないというPK(牧師の子ども)の嘆きを耳にしたのも一度や二度ではない。 先日、「牧師さんや神父さんも泣いたり怒ったりするんですね」というノンクリパンピー(信者で