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慎吾ちゃんが一番伝えたかったこと

弱気は最大の敵  津田恒美 広島東洋カープ 1982年

What if they say I'm no good?
We'll never get a chance to play in front of anybody.
もし周りから受け入れられなかったらどうしよう
人前でやれるようになるなんて絶対に無理だ
Marty McFly ‘Back to the Future’ 1985

「もともと僕は、部屋の隅でひとりでラジオドラマを聴いているような目立たない少年でした。足も速くないし、水泳も得意ではなく、コンプレックスもありました。」 TAKAHIRO/上野隆博  UR PRESS vol.64   2021

「みんながすばらしいことしているの見ると、あ、自分はかなわないな、やっぱりオレ負けてるわって落ち込んじゃう。ボクなんか、まだ先が見えないからマジに悩むようになってきて、ホント、泣き言言って寝れないこともあるんだ。いま何をすればいいのかわかんなくて、すっごく、いますっごくアセッてます!」   風見慎吾 1983年夏  歌手デビュー直後  shueisha  1983

ブレイクダンスが日本に上陸したのは1983年。前年の1982年にデビューした慎吾ちゃんは既に全国に名が知れた有名人でした。

タレントの慎吾ちゃんにとってブレイクダンスは、たまにディスコで踊りを挑まれたりすることはあったものの、バトルのためではなくステージング、つまりショービジネスのためのものでした。

ショーであるかぎり、見る人に伝えなければならないわけです。何かを。

何かを

「ブレイクダンスを普及、っていうか、みんなで楽しく踊ろうよと、そういう意志の伝達をやりたいんですよ。」
「やろうと思ったら、もっとすごい技ができるんですよ。でも、あえてそれをやってないのは、自慢げにすごいことを見せるよりも、簡単でもみんなで踊ればこんなに楽しいんだよ、っていうのをわかってほしいんです。」
風見慎吾 BP New Year 1985

慎吾ちゃんが日本に広めたのはブレイクダンス。でも、人々に伝えたのはダンスの楽しさ、踊る喜び

でもでも、もっと伝えたかったことは。一番大事なことは。

踊ることは生きている証。ダンスは命の表現。生命は強さに憧れる。その「強さ」とは。

技の高度さでもなく、相手に勝つことでもなく、敵を倒すことでもなく、人を見下すことでもない。

技が出来ない誰かをあざ笑うことでもない。相手の立場が弱くなるのを願ったり、誰かの不幸不運を茶化したりすることでも決してない。

ビフ・タネンのように。岡村隆史のように。  

慎吾ちゃんは知っていた。強さとはそんなものではないということを。

人間はそれほど柔ではない。なんど打ちのめされても起き上がり、明日に向かって歩き出す生物ではないだろうか。
那須正幹 『ヒロシマ めぐりくる夏』 あとがきより    ポプラ社   2011年

僕は広島の人間だから

Be Men for Others, with Others  Hiroshima Gakuin 
他者のために他者とともに生きる人になりなさい

挑むのは未知なる自分。どこまで自分を高めることができるのか。その姿を見せることによって、まっすぐに突き進む情熱が連鎖する。

「ボクは初めて大将にさからった。“やりたいことがあるんです、やらせてください”って、みんなといっしょに大将の前に行って、ブレイクダンスを見せたんだ。以前、“踊って歌うの10年早い” って言われていたし、大将がなんて言うかなって、正直言って不安だったよ。そしたら、ひとこと。」
shueisha  1985

“ スゴイねー、慎吾ちゃん。やってみたら。”

不安なときもあったんですけどね、チャレンジしますよ。やります!
ポケーッと見てないで、キミもやってみたら?
 20 years on
挑戦してみよう。砕け散ってもいいから。



キミもやってみたら
Take a chance !

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TBS  1985



挑戦してみよう 砕け散ってもいいから

「いくらできないと分かっていても、せいいっぱいやれ。踊りなんかヘタでいいから、とにかく汗をかくんだ。気を入れてやっていればお客は絶対に分かってくれるし、それは5年後10年後に花が咲き実になるんだ。」 
萩本欽一の言 TBS「週刊欽曜日」稽古  1982年頃  magazine h 1984

☆彡

あれから36年の月日が経ちましたが、私たちの脳裏には今でも、慎吾ちゃんが息を切らし汗を飛び散らせながら必死に踊る姿があります。あのとき少年少女だった私たちは皆、それぞれの人生でそのような場面を迎えることになるのです。

命が舞う 情熱が連鎖する

「これは見た目ほど難しくない。特に先生についたわけじゃないから、キミだって絶対できるよ。」   風見慎吾 shueisha  1985

「今まで何をやってもダメだった自分が、やったらできた。これは何だってできるのではないかって。」     TAKAHIRO/上野隆博   UR PRESS vol.64  2021

If you put your mind to it, you can accomplish anything.
本気で向き合えば、何だってできるよ
Back to the Future’ 1985

直球勝負 津田恒美 笑顔と闘志を忘れないために  広島市民球場  1991年