ユーラシア史―②壁の向こうの世界
壁の向こうにいる敵
漫画『進撃の巨人』は、壁に囲まれた世界から物語が始まる。100年以上も破られていなかった壁が、ある日突然巨人によって突破される。物語が進むにつれて、巨人の謎、壁の秘密、壁の外の世界が徐々に明らかになっていく。そして、物語も終盤に差し掛かった頃、いきなり語り手の視点が壁の外側へと移る。あまりの切り替わりの唐突さに、別の作品かと錯覚してしまうほどだ。そこには、壁の中とは異なる歴史観を持つ人々がくらしていた。壁の中に住む自分たちのことを、まったく異なる文脈で捉