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緋月 燈
2016年6月3日 01:25
今日は一日中、断続的な雨しとしと しとしと思い出したように降り続いた曇天の雲間にわずかに射す太陽も微笑むことなく行ってしまった重たい雲は目蓋を腫らして涙模様の街を見下ろしたぽつんと浮かぶ傘の色は悲しみめいたブルーみたいで後悔滲むパープルのようでじつは怒りにも似たマゼンタ気づけば雨はいなくなり人色ばかりが行き違う場違いな傘を畳みたいのに空はまだまだ晴れていない
2016年5月17日 01:54
隣にいる人すら意味を持たぬほどの寂しさがこぼれでるときがあるの紫いろの夜は差し伸べられる手すら厭わしくてすくいあげられることを望んでいない闇にも呑みこめない雫を熱く濡らしては絞りだせない声を滲ませる今夜は孤独なほど寂しくなくなるからどこまでも一人にして頂戴世界に別れを告げて一人 待ち侘びる雨音は月光の音色よりピアノらしく寂しく響くのでしょう透明にしすぎた寂し
2016年4月13日 14:24
大気に孕まれた水が空気の境を這い出してくる寸前空があついねずみ色を帯びるきっともう涙腺は限界なんだそれでも泣けない君の背を風があたたかく撫でてゆく生温い風はヒトの不快指数を上げるけど赤ん坊が泣くのは当然のように悲しみを抱えきれない涙が産声をあげるのだって当然じゃないか涙を拭ったりなんてしなくていいよただ 今は泣けばいいよ寄り添う腕はそこにあるからたくさんのものを見
2016年3月18日 04:57
足りない足りない乾いてゆく地面が足りない足りない雨が降らない曇り空の下で虚ろな水琴窟の細やかな聲がないている横たわっても聴こえない清音は体の奥から響くのね言葉を為さないせせらぎが自分の奥に消えてゆくこのおもてを沁み出でて溶かした氷よ零れておいで何が痛みか忘れる前に愛しい想いがしおれる前に愛することを怖れぬ前にあなたに逢いたい 逢いたいのです砂漠
2016年3月13日 18:45
臆病なままでも世界に触れる怖がりな冬を眠ってすごしたくなる時折訪れる春の陽気に少しだけ誘われてもみる一日一日が四季一時一時が季節心が揺れ動くままに雨が降り夜より昏い夕立が降る抜け殻より軽い中身の身体が風に飛ばされても石より重い心が陽射しに安らげなくても一日一日が四季一時一時が季節心が揺れ動くままに夜を思い月の光だけがやさしさになる燈火でありたい何を見失って
2016年3月7日 02:43
春の雨が近づけば空気もやさしくなるようだ雨の帳に包まれて微睡むベッドに横たわるとそっと揺られてゆりかごのよう雨が奏でる旋律にこの身をすべて預けたらたとえ体が冷えたってきっとあたたかいんだと願ってる雨のぬくもりに気づけたならどこか愛しい夜になれるね