ささやかな聲

足りない足りない
乾いてゆく地面が

足りない足りない
雨が降らない

曇り空の下で
虚ろな水琴窟の
細やかな聲がないている

横たわっても
聴こえない
清音は
体の奥から響くのね

言葉を為さないせせらぎが
自分の奥に消えてゆく

このおもてを沁み出でて
溶かした氷よ
零れておいで

何が痛みか忘れる前に
愛しい想いがしおれる前に
愛することを怖れぬ前に

あなたに逢いたい 逢いたいのです
砂漠の薔薇をあなたと共に
探してみたいと思うのです

©2016  緋月 燈

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