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童話集

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こいぬのカイくん、こぐまのルディくん、野ねずみさん、リスさん、トカゲさんとそのおともだちによるお話集です。
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#童話

影絵

影絵

「公園で影絵のショーをやるんだって!」

日がかげりはじめた刻に、ふさふさしっぽのいぬのカイくんはぴょんぴょん跳ねながら言いました。

こぐまのルディくんはそれは面白そうだと思い、カイくんと一緒に公園へ向かいました。

公園ではアライグマさんがせっせと舞台の準備をしていました。

黒いテーブルの上に3mほどの長さの白い幕を張り、アライグマさんは周囲を見回すとにっこり笑いました。

集まった観衆は公

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音楽の授業

音楽の授業

「昔、音楽と数学は同じ教科だったんだ。」

風が春の匂いを連れてきた、そんな午後。カワウソの先生は音楽室を見わたすとそう言いました。

「昔は0という概念がなかったから同じ音でも1度と数えた。」

陽光が校庭の奥にある池の水面をきらきら輝かせます。

はじめて音楽というものを認めた時、ぼくらのご先祖さんはどれほどの感動をおぼえたのだろうか。

野ねずみさんはそんなことを考えました。

最初は木の棒

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ユートピア

ユートピア

その国はサイがおさめていました。サイのツノは「ケラチン」という毛の成分でできています。毛の成分でできているから、やっぱり伸び続けるのです。

サイは周りが森で囲まれた草原でひなたぼっこをしていました。

空がふたつに割れました。空と空の間から星々が煌めく宇宙がみえます。そこから色とりどりの花がたくさんふってきます。

サイのツノにもふりそそぎます。見るとツノはピカピカに湿っていました。花によって潤

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星空のワンピース

星空のワンピース

うさぎさんは小さい頃、かわいいものが大好きでした。
特に赤いリボンがお気に入りで、いつも片耳にちょうちょ結びをしてつけていました。
そうすると、うさぎさんは自分がおとぎ話の主人公になったような気がして、しあわせだったのです。

うさぎさんはまた、ファッション雑誌を読むのが好きでした。
モデルさんが着ているかわいい服はいつだって憧れでした。
いつかこういうお洋服を着て、たくさんおでかけするんだ。

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セピア色のフィルター

セピア色のフィルター

「ぼくもうずっと寝てたいな。寝てたいよぉ」
トカゲさんは目を細めてひなたぼっこをしていました。
トカゲさんの日課は、木のはりだした根と根の間のお家から、太陽の匂いのする土の上を草をかき分けながらすすんでいき、階段をよいしょよいしょとのぼって、景色がひらけた場所でおひるねをすることです。

「この小石はさっきのよりぴかぴかだぞ。こっちのはざらざらだ。」
キジバトさんの日課は並木道の小石をつつくことで

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くまの床屋さん

くまの床屋さん

くまの床屋さん、はじまるよ。
開店は朝の8時。くまさんの朝は早いのです。
くまさん、くまさん。いらっしゃいな。
ここで待っているのは熟練のくま理容師さん。くまカットならなんでもお手のもの。

さあ、看板を出そう。

〈メニュー〉
くまカット    500えん
こぐまカット    300えん
※シャンプー、ブローはりょうきんいただきません

ひとりめのご来店。けむくらじゃらのくまさんがやってきました

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遊園地

遊園地

野ねずみさんとリスさんは遊園地にやってきました。
入ってきた瞬間、その景色、匂いに圧倒されます。

「すごくにぎわっているねぇ。何に乗る?」
「まずはメリーゴーランドに乗ろうよ!」

とてもよく晴れた空。
いろとりどりの風船。ポップな赤、青、黄、たくさんの色が浮かんでいます。

遊園地そのものがなんだか大きな風船みたい。
ふくらんでいる、とリスさんは思いました。

野ねずみさんとリスさんはメリーゴ

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文鳥さんの学校生活

文鳥さんの学校生活

ブンチョウさんは桜小学校に通っていました。

ランドセルには授業のための教科書、ノート、
そしてブンチョウさんがだいすきな物理の本が、その日の授業に関係なく毎日はいっていました。

たくさんの鳥たちが校舎に入っていきます。

分子の動きと鳥たちの動きにちがいはない。

建物にすいこまれていく鳥たちをみつめながらブンチョウさんはそう思っていました。

ブンチョウさんが教室にはいり、席につきます。

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ひかりのトンネル

ひかりのトンネル

今夜は甘いにおいがする。
誘われている。暗闇のむこうでだれかが、ぼくらを手まねきしながらのぞいている。

「ほら、お薬もらってきたよー」
「ありがとう!」

こぐまのルディくんは風邪をひいていました。
心配したこいぬのカイくんはお薬をとどけにルディくんのお家にやってきたのです。

「咳はだいぶおちついてきたんだよ。カイくんがお薬をとどけてくれるおかげで」
「それはよかった!最近急にさむくなってきた

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うわの空

うわの空

チェス盤の上で、ぼくたち駒になったみたいだね。

野ねずみさんとこいぬのカイくんは落ち葉のベッドの上でチェスをしていました。
「ルークがうごくよ」
「ビショップは僧侶でも、象でもあるんだ」
駒のとりあい、カチカチした音と跳ねるひかりの粒たち。
ふたりの間を通りぬける乾いた風で、目の前のカラタチバナの実がゆらゆら揺れています。
「ぼくきづいちゃったんだ。このままルークをうごかせば、ビショップがとれる

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空の上のペダル屋さん

空の上のペダル屋さん

遊ぼうよ。ぼくら楽しいから、ペダルをふむんだよ。
ペダルをふんで、はじめよう。
このはしごをのぼって、あのおうちに行けばペダルは手に入るよ。

息をするように遊ぼうよ。
きみだけのペダル、手に入るよ。

緑の絨毯。春草の匂い。風にまかせ、ちょうちょがひらひらとんでいきます。
澄んだあおぞらの下、どこまでも広がる野原の上で、ひつじさんはおひるねをしていました。
そんな夢をみていたひつじさんの鼻先に、

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リハーサル

リハーサル

「せーのっ、で跳ぶよ!!」

「せーのっ!!」

 空は青い。なんでかは分からない。
リスさんはそんなことを考えながら、木の実をかじっていました。木の実からは太陽の匂いがします。
 太陽の一部が表面に宿った。表面はそう思えるような温かみを帯びていました。

 そうだ、夏だ。もうすぐ、夏だ。南中の角度が高まっていくうちに、受け入れていかなきゃいけない夏。
 なんだかぼくは夏が苦手だ。そう思ってリスさ

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おいかけっこ

おいかけっこ

ここはとある市街地の川沿い。
「今日は何かいいことあったっけ」
ぼくが川べりに座ってぼうっとしていると、目の前を、四つの足をバタバタさせながら、トカゲさんが急いで走り過ぎていきました。
「なんですか、なんですか。ぼく食べたっておいしくはないですよ」
うしろからねこさんもやっていきます。どうやらトカゲさんを、ねこさんがおいかけているようです。
「食べようとしているんじゃあないよ。おもしろいからおいか

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ひかりのオコジョ【前編】

ひかりのオコジョ【前編】

Ⅰ.プロローグ

こいぬのしっぽのようなすすきが、ゆらゆら揺れていました。
こぐまのルディくんはぼうっと、木陰に立ちすくんでいました。
視界の端っこを、金色のひかりが通りすぎたような気がします。
太陽は少し斜めに傾いで、濡れたような空気をぼんやり照らしていました。
待ち合わせをしていたこいぬのカイくんが、小走りでこちらに向かって来るのが見えます。

連日のように、ふたりはとある噂を耳にしていました

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