真っ直ぐに生ききる

昔は、憧れていたことに向かって
一直線に進むことが得意だった。


努力することが、全く苦じゃないし、
努力をすれば
報われることが多かった。

勉強とか、受験とか、
意外に努力時間と結果が比例してくれて。



好きなこと、実現したいこと、
手に入れたいこと、ものに対して
全力で愚直に駆け抜けていくことは、
人生において絶対的な
成功要因だと、確信していた。

でも、いつしかあっという間に
大人になって。

毎日毎日時間に
追われる日々になってしまった。


仕事に於いても、
恋愛に於いても、
家庭に於いても
どんなに努力しても、
自分の力だけではどうすることも
出来ないことが
どんどん増えてしまって。

全てが、思い通りに行かないことばかりで。

どんなに、話を合わせようとしても、
通じ合えない人がいて。


どんなに努力しても、
手の及ばない大人の決まり事があって。

どんなに大好きでも、
振り向いて貰えない異性がいて。

どんなに必死に願っても、
家族は思い通りの家庭環境ではなくなって。


そして、どんなに祈って応援しても、
必ずしも正義や、真実が
勝つ世の中ではないことに
気づいてしまった。

世界情勢もどんどん悪化していくのを、
ただ毎日のニュースを片耳で聞きながら
その日あった自分自身の
現実を受け入れることに精一杯で。

私は、この世界の為に
何もすることが出来ないのかと
何か、大きなことがしたくて、
小さな、ちっぽけな現実に嘆いていた。

大人の現実は、人の想い、駆け引き、
その他の何とも言えない事情が
複雑に絡み合った、
真っ暗な世界だと思い知ってしまった。

我武者羅に努力したら、
望み通りの成績を取れるのとは違う世界が
目の前に、永遠に広がっていて、
酷く絶望した。

これから、どうやって
生きていけば良いのかと
果てしない暗闇に迷い込んだ気分だった。

でも、それは、誰もがきっと
抱え込んでいる感情だったりするのかな。


世間の大きな流れや集団の感情には、
逆らうのが難しくて、
いつの間にか、
自分もその一部と化してしまう。


そんなことは、日常茶飯事で。　

誰もが、本当は、
深い大きな何かを抱えて
生きているのかな。

本当は、優しさや愛情だけを抱えて、
生きていきたい。

誰にも利用されず、
社会的な駆け引きの駒にもなる事もなく、
穏やかに、花のように香り高く。

せっかくなのだから、
素直に素敵に思いっきり
力強く生ききってみたくて。



だからこそ、理想が大きすぎて、
余計に苦しいのかも知れない。

でもどうしても、
この理想を現実のものにしたいと
諦め切ることが出来なくて。

現実を受け入れる、強さを手にしたい。

思い通りにいかないことも、
美しいのだと、
人生の醍醐味だと、

誰かと心から笑い合える日が来てくれたら。

思い通りにいかない全ての出来事を
心から愛おしく思える日の為に、

毎日を真っ直ぐに生ききってみよう。