【蔵出し編】昔出会った器をゴソゴソと⑨
両手のひらの間から生まれた土のたまご。
私を含めてよく、手にフィットする形、
という表現をすると思いますが。
今回の作品は逆なんじゃないかと。
やわらかく両手のひらを合わせ、
その間からするんと生まれ落ちた形。
そんな気がします。
わかりやすく言えば下ぶくれの卵型。
けれどそんな簡単な形ではなく。
見る人、使う人、そして手にした人、
すべての人が「そうだよね」と
自然に納得できるようなフォルム。
当たり前のように受け入れられる形。
なんだかそんな安心感を与えてくれます。
見た瞬間、いい形だなぁと思いました。
そして連れて帰ろうと思いました。
きれいだとか整っているとか、
そういう感じとは少し違う。
心に訴えかけるものって、
そういう力があるんだと思います。
奇をてらわない、真っ直ぐな釉薬と焼色。
4〜5年ぐらい前かな?
益子でお会いしたんだと思います。
相変わらずのうろ覚えですけれど。
かつては小山、今は那須鳥山に窯を
構えていらっしゃるようで。
今回の作家さん、南雲英則さんとおっしゃいます。
何やら最近大きな賞を受賞されたようで、
おめでとうございます!
そりゃそうだわなぁと思いつつ、
私も結構見る目あるじゃんとも。w
作陶を始めたのは大学卒業後。
つまり遅咲きだということ。
なので修行と作陶を同時に進めつつ、
わずか2年ほどで独立。
それからもほぼ独学に近い形で作陶を続け、
現在に至る、ということのようです。
おそらく真面目な努力家、なんでしょうね。
真っすぐで外連味がない。
釉薬や焼味も、奇をてらうことなく
自然の味わいそのもののような印象が。
いやいや、こだわりにこだわっているからこその
この形であり、この自然の釉薬。
そういう風に言えるのかもしれません。
今回の受賞を期に、なにか新しい
チャレンジを始めるのか、
=つまり何かを変えるのか
それともこのまままっすぐ
内なる声に耳を傾け、こだわり続けるのか。
今後の展開が楽しみな作家さんですね。
長ーく愛される、誰からも愛される器を。
器の高さは約95mm。
毎日ガブガブと日本茶を飲む私にとっては、
素晴らしく使い勝手の良い器です。
それはつまり長く相棒にできそうだなー、
ということでもあります。
安定感や手馴染みの良さは
もう言うまでもないことで。
うわすぼまりの形は、熱々のお茶も
氷を浮かべた焼酎も、これまた長く
美味しい温度を保ってくれそうです。
そういえばアクセントにもなっている
この陶印、なんの略なんでしょうね?
南雲の「南」?それとも
窯名である吉兵衛窯の「吉」?
今度お会いしたときには
そんなお話も伺えればと。
そして今後、どんな方向に
どう踏み出していかれるのか、
そんなお話も聞かせていただければと。
あ、ワンちゃんの画像はほどほどにね。w
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