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【蔵出し編】昔出会った器をゴソゴソと⑤

オーロラの夜空に浮かんだ赤い六連星。

ちょっと間が空きましたでしょうか。
公私ともに少し忙しくてね。
ジジイになっても忙しいのはありがたいことです。w

さて、今日の作品も非常に特徴的です。
黒にも近い濃紺の生地にうっすらと、
オーロラが垂れ込めるような白い釉薬が
上からたらーりと。
そしてその上に赤い突起が6つ。
まるで赤い連星のように並べられています。

パッとは見かわいいんですけれど、
造形は非常にシンボリックかつシンプル。
くるりと一周させ、一直線に留めた外側に、
高台のないフラットな底を
あえて無機質に、ぺたりと接着したようにセット。
全体を抽象的にデザインすることで、
甘すぎることなく仕上げられています。

日本画から独学で転身した作者の新境地。

すみません、正直この作者さんのこと、
はっきりとは覚えておりません。
でも笠間か益子、出会ったのは
どちらかだったのではと。
そこでいろいろ調べてみました。

今日の作家さんは長山六さん。
茨城に窯をお持ちなので、
やはりどちらかではなかったでしょうか。

で、ご経歴を見て面白かったのが、
この方、若い頃は日本画に携わっていたらしく、
岐阜で掛け軸なんかを描いていたそうで。

そこからどういう心境の変化があったのか、
私の地元にも近い信楽で陶芸を、
しかも誰かに師事することもなく
独学で始めたのだとか。
というか、そんなことできるんですね?w

日本画の心得があったせいか、
それともいい仲間に出会ったせいか、
おそらく両方なんでしょうね。
そこから今の個性的な作風に行き着いた、
ということのようです。

白黒の世界観の上に輝いた独自の個性。

器の高さは約65mm。
女性の手にも収まりやすい
やや小ぶりな仕上がりです。

しかもこの六連星が絶妙な配置で、
どこをどう握っても手に引っかかり、
使い勝手の良さもバッチリ。
単なるキッチュな意匠、ではないのです!

そして見逃しがちなのがこの器、
底の画像を見ればおわかりのとおり、
土には黒色の黒御影土を使用。
そうしておいて内側はもみ灰で真っ白に。

そう、まるで水墨画の掛け軸のように、
白と黒のコントラストがベースにあるんです。
日本画で磨いてきた世界観が、
こんなところに生きているのでしょうか。
だからこそ、可愛くて新しい、
独特の星空が描けているのかもしれません。

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