寝苦しい夜のご活躍

寝苦しい夜の苦悶の息遣い

寝返りを打っては

あっちへゴロゴロ

こっちへゴロゴロ

具合が良い場所を探すが見つかる訳もなく

彷徨う肉体はゾンビの様

求めても敵わない快楽夢の園

開け放った窓からは風は一陣も吹き込んでこない

理不尽な仕打ち

熱い夜

どこかでわっとパトカーの

サイレンが鳴り響いた

誰かがやらかした不正を取り締まる為に働く

人々の夜のご活躍のおかげで余計に眠れない

つまり僕の眠気は彼らによってさらに遠のいた

と言っても過言じゃない

可哀想な僕

彼らの動向を夜の闇の波打ち際で

感じとりながら僕は悶々

眠れない夜の底で訪れない夢の尻尾を

待つ様に焦がれる様に

寝返りゴロゴロゴロゴロ

遠のいていくサイレンの音

暗闇を波立たせていた

不穏な気配はゆっくり

静まり返っていき

やがてはまた何事も無く

平坦に平べったく広がる暗闇

寝苦しい夜なのだ

頭の中がザワザワと騒がしく揺れる夜なのだ

言葉とも映像とも言えない

くちゃくちゃした何かが

しきりに僕を寝かせまいと語りかけてくる

眠れる筈もなく

願っても叶う筈もない

耳元で聞こえるざらざらと

流れる音は認めたくはないが

紛れもなく僕の体から

発せられている雑音

自分の心拍音が今日はなんだか

ひどく煩わしくて気になってしまう

ゴロゴロゴロゴロと

寝返り右に左に揺らしては

振り解きせめて心拍だけでも

なんとかならないものだろうか

いつかは疲れて寝られるかしら

誰にも分からない

僕にも分からない

分からないから気になり眠れない

負のスパイラルに陥った僕は一人夜の底

回る球の底面で繰り返す

夜更けの悶々僕の葛藤

未だに眠れない