見出し画像

日曜日の夜の音

日曜日の夜だというのに眠れない

真っ暗な部屋がざわざと落ち着かない

それもそのはず

横になっていると

突然夜の闇が割れるように

サイレンが鳴り出したのだ

パトカーのサイレン

何かを見張っていたのか

その何かが現れたからなのか

まるではじめから

闇夜に隠れていたかの様に

当たり前のように唸り出して

獣の様に走っていく音が聞こえた

闇が震えた

びりびりと静寂が

音を立てて崩れた

異質で恐ろしい何かが

起きたのだ

想像はつかない

いくら考えたって

それが果たして現実なのか

もしかしたら

僕はいつのまにか

寝ていてひどくリアルな悪夢にでも

うなされていただけなのか、、

いや確かに

僕は横にはなっているが

今日は嫌に暑苦しくて

寝苦しく寝返りを何度も繰り返していて

ついに諦めて暗闇の向こうの

天井をみていたのだ

そんな時に静寂を切り裂いて

響き渡ったパトカーのサイレン

唸りながら走っていってるのだろう

徐々に間延びして離れていってる筈なのに

未だにすぐそばから聞こえてくるようだ

暗闇よりも異質で

悪夢よりも悪夢らしい

酷く現実的で

見向きも見聞きもしたくないサイレンの音、、

何かが夜の街のどこかで発生したのだ

ろくでもない事が

ろくでもないものを引き寄せて

ろくでもない二つのものが

走り回っている夜の街、、

ろくでもない想像の産物だ

やれやれ

小さなアパートの一室に

いきなり恐怖の種が

投げ込まれてきたのだ

それは暴力的なまでに

一方的で無差別なまでに

理不尽でまったくもって

騒々しい

響くサイレンの音は

穏やかさとは掛け離れた

高鳴りとなって僕の眠りを遠ざけていく

眠れない

まだ聞こえる

何かが起きてる

僕には計り知れない何かが

僕とは関係ない場所で生まれて

いま僕を取り囲む闇を空気を

怪しくざわざわと

落ち着きなく震わせている

眠れない

夢を見るにはあまりにもパトカーの

サイレンは相性が悪い

まだ聞こえる

寝返って耳を塞いで

闇の向こうの静寂さを探す為に

僕はぎゅっと目を瞑る

闇の向こうの孤独感が

今は堪らなく今は恋しい

ゆっくりと溶けていく

イメージを頭の中で描きながら

僕は今眠りたいと深く望んでいる

不安が薄まる頃には

眠気も顔を出すはずだ

そうなるにはもう少し時間が

かかるかもしれない

何せ今日は暑苦しくて

眠れないのだ

僕はぎゅっと目を閉じて

その時が来るのを待っている

この記事が参加している募集

私の作品紹介

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?