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momoro66
冬の寒さよおかえりなさい
有終の美を飾るかの様に
最後の力を振り絞って
冬の冷たさが際立って
感じられた土曜日の寒さ
吹きつけてくる寒風に
小雪が混じり
車のフロントガラスに
跳ねては弾けては
濡れては飛んでいく
空には重たそうな灰色の雲
あそこから溢れた雪の精霊が
今僕の住む街に
舞い降りてきているんだ
道路の脇に並ぶ街路樹が
ゆっさゆっさとその身をゆすっては
冬を焚きつけるものだから
それに応える様に
冷たい風が
びゅーびゅーと
興奮して吹き抜けていく
運転してる車のハンドルを
ぎゅっと握らないことには
危ないったらありゃしない
ふとすると横に流されて
中央線からはみ出してしまうから
ハラハラしてしまう
風が強い
三月に入り
もう冬も終わり
今年ももう雪は降らないだろう
結局スタッドレスタイヤに
今年も変えなかったなあと
思ってた矢先の事だったのに
季節が逆行したかの様に
春は薄まり冬は高笑い
暖かさは失われて
ビュービューと寒風吹き荒み
寒くて寒くてたまらない
だから
おかえりなさいとは
素直には言えない
だからってさよならと
言ったところで
思い通りにはいかない
亀の様にたてたコートの襟に
首を引っ込めて歩く人の姿
あぁ春の兆しが
吹き飛ばされた街の気配
すっかりまた世の中は
冬の装い
鼻を啜るのが
日常の景色よ
おかえりなさい
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