祖母の思い出 僕の思い出
ある日、母から施設にいる祖母に
竹島の写真を渡したいから
プリントできないかとメールが来た
祖母の故郷である蒲郡
長さ387メートルの竹島橋が
繋ぐ蒲郡のシンボル
竹島
島の入り口には
白い大きな鳥居がある
鳥居より先は神域であり
竹島全域が八百富神社の
境内にあたる
僕が生まれるよりも前
祖母がまだ子どもの頃から
この場所には数多くの人々が
お詣りに来ていたのだ
祖母もまた僕のように
波打ち際でカニやヒトデと
戯れていたのかな
打ち寄せる波飛沫に
足を濡らしながら
楽しそうに笑っていたのかな
空は僕が見上げているような青い色で
蒲郡の海は今よりも綺麗だったのかな
海鳥たちは変わらずに
ニャーニャーと鳴きながら
観光客にエサをせがみ
竹島にしげる樹木に
しがみついたセミのはちきれんばかりの声
夏の日差し
賑やかな波打ち際
キラキラと跳ねるように
何もかもがエネルギーに
満ち溢れていたあの頃、、
祖母の中の竹島や蒲郡の
景色や匂いが
僕が撮らえた写真の中に
わずかでも含まれていたなら
嬉しいなあ
写真をみて思い出して
懐かしんで楽しそうに
祖母が笑ってくれたのならば
僕は幸せだ
僕の思い出の蒲郡と
祖母の思い出の蒲郡が
溶け合って
蒲郡の海がより一層
輝きまして大切な場所に
なっていく
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