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理想的な一本の線

両の目でしっかり見た筈なのに

脳みそに忘れないように

刻み込んだ景色の筈なのに

いざ筆を取って

記憶に沿って

輪郭をなぞった筈なのに

描きだそうとすると 

あら不思議

見た筈の景色は

打って変わって

まったく別の代物

色も形も質感も表情も

似てる様で全く別の代物

個性と呼ぶには

それはあまりにもポジティブだし

お粗末な見方

下手くそだろうとも

気に入ってもらえても

内心は納得できず

正直見たままを

描き表したかったのに

どうしてか上手く

いかないことが

悔しくて悔しくて

思い出そうとすると

あんなに幸せだった気持ちが

だんだん辛くなって

きてしまう不思議

何度も消して

書き直して

削りとり付け足しては

そぐわなくて

あぁ

ますます変わっていって

しまう色形

荒む感情

あの日の夕焼け

いろいろを付け足しても

時には引き裂いて

削り落とし

次第にめちゃくちゃ

納得して受け入れるには

なかなかに僕は未熟者だから

未だに思考を錯誤

それでもなお

繰り返してしまう自問自答

探しているのはあの日に結びつく

理想的な一本の線

輝く景色をなぞる事の

出来る理想の線

あぁ目を閉じれば

今もはっきりと見える

あの日の夕焼け

再びこの目でみたいのに

叶えたい気持ちが

指先にまで

まだ伝わっていないのか

辛抱強く繰り返しながら

僕は僕の納得のできる

形を目指して筆先を

走らせていく

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