お月様が昇ってくる

地平線から

顔を出したばかりの

お月様は顔を

真っ赤かに染めて

ほっぺに何を詰めているのか

丸々と膨らんだ表情は

どこか秘密めいていて

それでいて楽しそう

何を詰めているのか

聞いてみたいけれど

きっと尋ねたところで

答えてはくれないだろうな

お月様は

ゆっくりゆっくり

時間をかけて夜空の天辺を

目指して昇っていく

星屑達もお月様の後ろを

ついていき

夜空に浮かびあがるは

神々の名前とその姿形

煌めく天体絵図とその瞬間

結べば形になって

語れば物語になり

継いでいけばやがては

そこに思い出が

出来上がっていく

お月様達の描く物語の中に

僕らの息遣いも一緒に

絡みつかせてもらい

まだ見ぬ未来に向かって

運んでいってもらいたい

明日も幸せでありますように

願いはいつだって

夜空に向かって手を合わせる

星の尻尾が

音も無く静かに揺れて

笑う様にお月様が

手を振っている