言葉が出てこない夜は

言葉が出てこない夜には白色に悩まされる

真っ白な世界を埋める術を持たない僕は

ただ見上げる事しかできない

雲一つない、空と呼ぶには途方もない世界

空と大地の境目なんて白くて見えない

球体的な丸みもなければ

平坦的な退屈さすらも感じられない

真っ白な世界には言葉もなく感情もなく

昔話も未来への展望もない

空っぽの僕だけが唯一の色となって

浮かび上がっている

何も生み出せない僕の頭は

だけどもその実

中では色々とぐちゃぐちゃに

思い悩み尽き果てないご様子

悩んで腫らして

潰しては悪化させて生まれては消えていき

閃いては萎んでいくイメージの花々

言葉にしようとすると途端にその形を失い

結末は放り出されて真っ白な世界へと

消えていってしまう

僕だけが一人取り残されて

真っ白な世界にも溶け込めず

頭の中のぐちゃぐちゃは

さらに混沌を極めて、、

白い世界はただいつまでも真っ白なまま

僕の頭の中の事なんてお構いなく白のまま

あぁ何も考えずに白い世界に身を委ねられたら

楽なのだろうな

溶けてしまえたら欲張らずに済むのに

球体を転がす術に思い悩まずに済むのに

諦められない僕にできるのは

ただ白い世界を睨む事しかできない

言葉はまだ生まれてはこない

イメージはバラバラのまま

頭の中で生まれては消えていくばかりだ