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楽天を辞めて田舎に移住して10年。「まちづくり」と様々な人に呼ばれる、幸福な暮らしと事業者の集積地づくりについて

はじめてのnoteを書いています。
兵庫県の山間部に位置する「丹波篠山市」の福住という旧宿場町で株式会社Local PR Planという会社を経営している、安達鷹矢と申します。

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今日は、表題のとおり安達が楽天をやめて田舎に引っ越してからの10年間でやってきたことと、そして今やっている地域での活動について、質問を頂くことが多くなったのでこうして(現代で言う)筆をとりました。

早速に逆説的で申し訳ないのですが、安達は「地域(まち)づくり」「地域(まち)おこし」という言葉が好きではなくて、その方が伝わりやすいだろうと思った時以外はあまり使わないようにしています。(つまり、伝える目的のハッシュタグ等には使いまくったりします)

すでに、地域はつくられているし、まちはおこっている

その上で、
つくられ、残されてきた豊かな部分と
社会的な変化で、経済的に選ばれなくなってきた部分にどう折り合いをつけるか、どういう方法があるか、を模索する事業をしています。

田舎のメリットを享受してデメリットを払拭するにはどうするか?

これは、田舎にいながら
都会的メリットだけを享受して、都会的なデメリットを取り入れない
ための仕組みづくりでもあります。

稚拙ではありますが、自己紹介から順番に参りたいと思います。
(今回利用する資料は、兵庫県のプロジェクトに呼ばれた時に作った資料です)

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1.自己紹介とLocal PR Planの事業について

まずは、改めまして自己紹介から
1987年大阪府高槻市生まれ(現在33歳)
大学まで関西、新卒で楽天に入社して少しだけ東京→大阪支社配属→2011年丹波篠山へ

中学生の時に戦国時代好きをこじらせて兵法書を読んでたり、高校生の時は大学受験したくなくて推薦をとるためにどうするか3年間計画たてて実行したり、大学時代はフリーペーパー作ったりイベントやったり、PR会社でバイトしたりしてました。

大学時代に「100%のオレンジジュース」をつくっているおじさんと出会って、地域にある魅力的で希少なものを伝えたり、時代と逆行しているような面白い事業者さんを応援したいと思うようになりました。大学2年生の2008年、地方の事業で採算をとろうと思ったらITでの情報発信しかない、と思い楽天に入社することになります。大学の専攻は社会学のマスコミ専攻でした。

その後の経歴はこんな感じです

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この間いろーいろとありまして、
貯金がどんどん無くなっていく恐怖に耐え切れず「所持金と預金残高を寄付」したり、生活のためのコストを極限まで絞って、好きなことしかやらない暮らしをしてみたり、日本酒BARを開業して2週間で予約制にして閉めたり、大阪でもBARを立ち上げて2週間でやめたり、してました。(色んな方に多大なご迷惑とご心配をおかけして現在を生きております、はい。)

大阪の友人が、その辺をyoutubeで面白おかしく紹介してくれているので、ご興味ある方はこちらを覗いてみてください。

具体的に、今何の仕事をしているかと言うと大きく分けて3つあります。
全て、Local(エリア)のPR(パブリックリレーションズ)をPlan(企画から実行まで)する仕事です。


1つめは行政関係のお仕事で、
丹波市移住相談有限事業組合という長い名前のLLPの共同代表をしております。
それから、兵庫県庁の「戦略的移住モデル推進地域」というこれまた長い名前のプロジェクトで住んでいる福住地区の「移住コーディネーター」という仕事をしています。

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基本的には、移住者の数を増やすためのWEBサイトをつくったり、PR冊子をつくったり、プレスリリースを作成したり、視察対応をしたり、そんな感じです。

ただ、個人的には移住者の「数」は全く追っていなくて、
移住した人が生み出す「価値(プロダクト)」の総量を追っています。
後述しますが「GAP(Gross Area Products) 」と呼んでいます。

エリアへのインバウンド(まちに外資<人材・資産>を流入させる)事業です。


2つめは、地域の事業者さんたちのプロダクトを発信して外貨獲得のお手伝いをすること

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スライド左側は、兵庫県三田市のお水のメーカーさん。
この会社のベトナム進出をリモートでサポートしています。浄水器の事業で、WEB、パンフレット、プレゼン資料等、PR全般のツールをつくって日本から送ります。(ちなみに、今年はコロナで行けないですが安達も毎年冬に2~3週間滞在して、暖かいベトナムのリゾートでワーケーションしながら実地ニーズの調査などしています)

スライド右側は、丹波篠山市の伝統文化「丹波焼(立杭焼)」の作家さんたちのグループ「TANBASTYLE」
日本六古窯に数えられる丹波焼の新しいスタンダードの形をつくるためのプロジェクトに2020年から参加させて頂いていて、これをどうやって売っていくか一緒に取り組み始めたところです。

エリアからのアウトバウンド(エリア内企業の外貨獲得をお手伝いする)事業です。


3つめは、自社事業としての地域PR事業

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旧郵便局をリノベーションした建物で、セレクトショップ「Littleaf」を経営しています。
丹波市のアーティストで、ビジネスパートナーである「にいろ」さんの草花の柄を中心にして
丹波エリアの様々な良い製品を販売したり、リデザインしてパッケージをリニューアルして売ったりすることもしています。
2階のスペースでは、嫁さんが野草を発酵させたものでリラクゼーションをやってくれています。

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こちらは、丹波篠山市の「後川」という集落の奥の奥、里山の原風景が色濃く残る場所で、棚田を眺望できる一棟貸し宿「NIPPONIA 後川 天空農園」を2020年にOPENしました。Litteleafで扱う自然素材の石鹸やシャンプー、福住のアーティストの吹きガラスのペンダントライト、もちろん丹波焼や福住のオーガニックコーヒーのロースターのコーヒーをエスプレッソマシーンで飲めたりするようにしています。

さらに、基本自炊ではありますが朝食用の食材をご提供していて、集落の棚田のお米・黒豆味噌・平飼いの卵、他にも丹波篠山産のものを楽しんでもらえるようにご準備していて、基本的に集落の産品はJA等の卸価格の約2倍~3倍くらいの値段で買い取っています。この集落の景観こそが価値だと思っているので、それを守ってきた集落の人たちと一緒に所得を上げていく試みをしているのです。

株式会社NOTEからの委託で、福住と後川のエリアマネージャーとしてのお仕事も頂いています。

これが、エリアPR Plan(エリア内の価値を再定義、事業化する)事業です。


安達は、かなりパラレルワーカーだと思います。逆に弊害として「プロフェッショナルなスキル」を何も持っていない、と20代の後半に思っていました。
29歳まで本当に色々な仕事をしてきていて、どの分野もその道を極めにかかっている同世代のプロには到底敵いません。ですが、色々と事業をやってみたくなるのは自分の特性で、逆に個性なのかなとも思いました。

色々とやりたい、けど何に自分の人生を縦積みして蓄積するか?
を十分に考えた時に

「自分が(今10年)関わってきた、エリアのプロフェッショナル」になる。という縦積みのキャリアもあっていいんではないか?という結論に行き着きました。


2.エリア単位で仕掛けている、創造的な事業者の誘致について


さて長い自己紹介が終わりまして、2つめに参ります。
これは、住んでいる「福住」というエリアで仕掛けている活動になります。

最初に福住のご紹介から。
江戸時代の宿場町の面影が残るエリアで、築200年近い古民家がずらっと街道に並び、その後ろ側には田畑が広がる景観が残り「商売(宿場町の商家群)」と「生活(裏手の田園風景)」が連なる景観を評価され、安達が移住してきた年に、国の「伝統的建造物群保存地区」に指定されました。

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立地としては、車で走ると東方向に約1時間で京都市内、南方向に約1時間で大阪市内に入ります。
兵庫県・大阪府・京都府の3府県の県境のそばにある集落です。

ここに、約5年ほど前からほとんど趣味で、あいた時間に
①空き家を把握して
②地域で事業をしたい事業者の情報をキャッチして呼び込み
③開業までのサポートをする

という取り組みをしています。(もちろん一人でやってるわけではありませんし、下記に紹介する全部を安達がサポートしたわけではありません)
現在では15件近くのお店やアーティストの拠点ができていて(ほぼ全部移住者です)
これから、このストリート全体での楽しい仕掛けを目論んでいます。

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(こちらの資料は、福住の宿場町ホテルNIPPONIAさんのために作ったもので、地図というよりは宿泊者さんへの案内MAPになります)

それぞれざっくりとご紹介すると
2.3.安達のお店「Littleaf」嫁さんのリラクゼーション「Holistic Mugwort」
4.古民家ホテルNIPPONIA
5.マウンテンバイクの世界大会「シクロクロス」に日本チームのメカニックとして参加した方の自転車工房
6.古民家のクラフトビアパブ
7.古民家のイタリアンレストラン
8.「なるほどザワールド」を撮ってたテレビディレクターの薪ストーブショールーム
9.レクサスが選ぶ全国の「匠」プロジェクトに選ばれた吹きガラスアーティストの工房
10.天然酵母で、素材や牛・卵の元になる飼料までオーガニックでこだわったパン屋さん
11.石窯ピザのお店(準備中)
12.酵母を自家培養して小ロットで多品種の飲み口をつくるクラフトブルワー
13.モンベル等のデザインをしているデザイナーさんのオフィス&ギャラリー
14.国際支援のNPOをしている方がやっているお好み焼き屋(ほとんど日本にいないから開いてない)
15.オーガニックのスペシャリティコーヒーのロースターがやっているカフェ
17.綿や染料から自然栽培で育てる染物屋さん

などなど他にも、里山と生き物を守るために、環境に負荷をかけない無農薬の農業・狩猟・里山整備までをやるご夫婦や、10年以上前に大阪で旅専門の書店をやっていた方が開業した古民家のゲストハウスが1軒、夫婦で世界一周してきた地域おこし協力隊が開業した古民家ゲストハウスが1軒 、元丹波篠山市役所のNo.3で今は「まちなみ保存会」地区の建造物を守る保存会の会長(むちゃくちゃお酒が好きな、気のいいおじさん)がやっている一棟貸しが1軒、安達が経営するシェアハウスも一軒あります。もうすぐ開業予定の農家レストランも一軒聞いています。

最近では、廃校になった小学校を地域のNPOが利活用している中に、ロックフェラー財団の基金を受けて30年近くニューヨークを拠点に自然の写真を撮っていた(150年くらい前のプラチナプリントという技法で)写真家さんが来たりしています。(一室ではシェア工房として、加工品を製造販売までもっていけるシェア加工所があったり、地元のお菓子&パン屋さんがやっているカフェがあったり、安達もその一室を借りて、シェアオフィスをしています)

特に、安達が物件を紹介する場合は明確に

「地域外からお客さんを自力で呼んでこれるプロダクトorスキルを持っている人」
を選別して、物件の紹介をするようにしていっています。


(もし案内して欲しいよ〜)という人がいたら、基本安達が経営する「NIPPONIA 後川 天空農園」にご宿泊の方は無料で案内したりしています。3月中旬までGOTO停止→緊急事態宣言を受けて冬季休業としていますが、1月中には3月以降のご予約をOPENしますので、もしご興味あれば。


3.創造的な事業集積地として、事業者をサポートするエリアPRの戦略について


そして、このエリア全体での集客力をいかに上げるか?
地域外貨をいかに獲得するか?を至上命題として

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歴史的な神社と有名な作庭家が作庭した庭園を眺めながら
クラフトビールと美味しいジビエ料理を楽しめる一夜限りのイベントを毎年、福住の移住者有志の実行委員会で開催していて

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今年はコロナで密を避ける必要があったので、街道のお店を練り歩きながら
いろんなお店で飲み歩けるストリートでのイベントや

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地域の10商店連名で、オリジナルのエコグッズを作って
外貨を獲得する、地域に集客すると同時に、エリアに落ちるゴミを減らしていこう、という取り組みもはじめました。


これは安達個人的な目標ではありますが、
自身が29歳の時(3年前)に立てたエリアの10年の目標があります。


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これは、50人の個店が、それぞれ300人を年間に呼んできて、15,000人が歩くまちにするという意味で、すごくシンプルな掛け算での計算式です。

この、50人の個店を呼んでくる と
300人の集客をするためのサポート が安達の仕事の範囲。

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もちろん、すでに1000人2000人とそれ以上の年間集客をされている事業者さんもいます。


個性的で尖った事業者さんを集めれば、自ずと地域外から集客が見込めます。


そうやって集まってきた感度の高いお客さんが、
「あれ、この店も面白くない?」
「あれ、この店の商品もめちゃくちゃ美味しくない?」
「あれ、このアーティストさんの作品ものすごい良くない??」

っていう驚きを積み重ねていけるような街道をつくっていくと
この「まち」全体が面白く、また来たい、誰かに紹介したい場所になるんじゃないかと思っています。

そうして地域からの外貨をしっかりと獲得して、事業(生活)コスト自体は限りなく無駄なく低く保っていくと
事業の利益率をしっかりと上げた状態で、創造的な事業に取り組めるようになります(実際にいてる事業者がそうなっていってます)

そしてこれは、大名行列が来た時にがっと稼いで
平時は慎ましく田畑を耕していた、この江戸時代の宿場町で営まれていたライフスタイルそのものではないかと思うのです。

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そういう、本当に豊かだったライフスタイルを、現代風にアレンジしてまちと一緒に再生していく。
これが安達のやりたいエリアマネジメント(エリア全体の戦略構築)になります。

結果として「GAP(Gross Area Products)」地域内総生産 が上がることになります。
無から有を生み出して、地域外貨を獲得できる人
また、その生み出した価値に更なる付加価値をつけて、地域外貨を獲得できる人

この人たちを選んで仲間にしていくと、地域全体の生産量(=所得)が上がります。
結果として、地域に循環するお金は「内(住む人の所得)と外(地域外からの来客)」の両面で増えていくのです。


例えばですが、移住者が開業するお店は高いから
地域の人たちを喜ばせる、安くて立ち寄りやすい店をつくろう!
って思ってる方がいたら、安達は普通にやめておいた方がいいと思います。

なぜなら、根本的な所得総量の改善をしなければ、ほぼ例外なく、地域の人口も、地域の所得も、今後さらに減るからです。


実は地域としては課題解決ではなく一時しのぎになるお店を作ってしまうと、本気でやっている事業者さんのシェアを奪うことにもなりかねません。


地域で起業!も、全てが良い影響を与えるのではなく、特に原資が税金であるなら、十分その点に気をつけないと、志とは裏腹に地域で自腹を切ってやっている事業者を間接的に弱体化させることになりかねないのです。


エリアの事業者が儲かって、その従業員や循環するお金が増えた時に
新しい選択肢として作るならまだわかりますが、人口が減少している地域では、その場限りの感謝は得られても、継続が困難になり、やがて静かに閉店せざるをえなくなっていきます。



4.幸福度の高い事業とは?利益/時間 × 仕事時間 × 満足度・納得度 = 仕事の幸福度


さて、こういった外貨獲得の話・事業の話とは別に
定義が難しいですが「幸福な」事業を集積するという抽象的な目標があります。

もちろん、幸福というのは定義がそれぞれで
・一秒だって働きたくない!不労所得で生活するんだ!という人もいれば
・一秒でも長く働きたい、次の仕事がしたい、成果を出したい、という人もいれば
・仕事はそこそこに、プライベートの趣味優先できれば何もいらないよ、という人もいれば
・家族との時間が平穏にあることこそ至上の幸せだ、という人もいるかと思います


なので、何が幸福か、という話ではなく
こういう幸福を、叶えたいと思う人にうちのまちに来て欲しい、という整理にしていて

安達は
(大好きな)仕事を好きなだけして、その仕事が誰かを幸せにしている(=稼げる)上に、価値/時間が上がっていて、時間的な余裕もある、という状態

が幸福な状態なのではないかなと思っています。
もちろん、余裕のある時間を持ちたい量も、稼ぎたい量も人それぞれでいいんだと思います。

こと福住においては、京阪神エリアの都市部に近い立地を活かして
ICTでの情報発信で日帰りの客層を掴むことが非常にやりやすくて(プル戦略での集客が可能)なおかつ地価が安い。
一定のファンがつくと、そのお客さんたちだけで十分に余剰の利益を生むことができます。


(以下、経済学や経営学を修めているわけではないので、実感値で書いていまして、結構適当ですごめんなさい。ご指摘あればぜひ教えてください)


単純に売上を増やそうと思うと
集客数が増やしやすく、所得も多いので客単価が上げやすい都市部になると思うのですが、お店で言うと、繁盛店には「集客の限界値」が出てきます。(それで客単価が上がるけれど)


集客数の限界値は、スペースの広さ(客席数)×回転数 ですが
田舎だと固定費安くスペースを広くとれるので、
同じ数を追うにしても、回転数を必死で追わなくてもよくなるんですね。


するとどうでしょう、早く食べさせたり、飲ませたり、急がせる必要が無くなるんです。
お客さんもゆったりとスペースを使って、周囲に気兼ねなく時間を過ごすことができます。

ここに、客単価を上げるひとつの要素も含まれてくるのです。
(さらに、コロナで密集の価値が減ったことで、スペースの広さに価値が生まれていますね)

整理すると

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やはり都市部で開業するメリットは十分にあります。
田舎だと人口が少ないので誘客するハードルは異様に高くなるのですが、逆に気軽に来にくい立地とスペースの広さ・景観が価値となり、客単価を上げることができます。


「わざわざ」来ている店でケチろうというお客さんは少ないんです。その代わり、お店としても高い家賃や固定費の代わりに原価やサービスに資本を投下します。

「せっかく来たのだからしっかりとお金を使って帰るお客さん」をICTの情報発信でファンにしていく作業に時間を使います。


もう10年ほど田舎で事業をやっていて、2020年からは宿業も始めたのですが
本当に田舎に「わざわざ」来るお客さんは素晴らしく優しかったりします。

そして、接客をするのも「オーナー」であることが多いので、
自然と「人と人」のつながりが紡がれやすいのです。

安い商品を価格で選んで、不備があったら叱責する なんてことはおきにくい。
高くていい商品を人で選んで、「わざわざ」買いに来て感謝する。

店主も、気心知れたお客さんに追加のサービスをしたり、
もっと喜んでもらおうと原価の割合を上げてより良いものをつくったりもする。

総じて仕事の幸福度は上がっていきます。


また、売上だけでなく、本来追求すべきは「利益」で

単純に


売上-固定経費-流動経費=利益


これが、事業者の手元に残る利益になります。
固定経費には、家賃・光熱水費・人件費 などなど
流動経費には、原価などなどがざっくりと含まれます


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お店の家賃というのは、基本的には自然流入の多寡で決まっているのではないかと思います。なので、都市部は家賃が高く、田舎は安い。

また、客席の回転率を上げると、スケールメリットで原価を安くしやすくなったり売上に占める固定費の割合を下げやすくなったりする利点もあります。

回転率を上げる→固定経費(人件費)を増やす、原価を安くしやすい(スケールメリット)
回転率を下げる→固定経費(人件費)を減らす、原価は上がりやすい(小量取引のため)

ですが、回転率を下げることで、顔が見え(オーナーが店頭に立つ)固定費(人件費)を下げられたり
田舎で顔の見える範囲の取引だと、少量取引でも成り立つことがあり(輸送コストが無いことと、人間的な関係が構築できているから)

これもまた考え方次第では、田舎で回転数が少ない方がビジネスでのメリットになる場合もあるのです。


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さてその中で、最初にタイトルに出したものに戻ると

しっかりと利益がとれる高単価な商材を売れる努力があって、田舎という立地をメリットにしっかりと活用できたなら、十分に客単価を上げて、なおかつ都市部に無い価値を提供することができます。

お店のファンがつけば、都市部ほどの頻度ではないですが何度も足を運んでくれるようにもなります。
なぜなら、「人」も「商品」も「景観」も、そこにしかないからです。
経験上、そのファンは誰か大事な人、知ってほしい人をどんどん連れて来てくれます。


仕事の時間の満足度や納得度は当然上がっていくので、
仕事の時間が増えても増えても、仕事の幸福度は上がっていきます(もちろん休みは好きにとって)

そしてここがミソなのですが、こうした人の仕事は、必ず利益を上げていきます。


好きで好きでしょうがない、誰かこの好きなことで喜んでほしい、
そういう仕事が、最も喜ばれる仕事になるからです。

「仕組みをつくって大金を得たい」という幸福ももちろんあると思いますが

「自分の好きなことで人を喜ばせて、なおかつ自分のペースで創造的に時間をたっぷりつかって、自分サイズの利益を稼いでいる状態」

を最上の価値と捉える方は、ぜひ田舎での、というよりうちのまちでの事業をおすすめします。(ぜひ連絡してください)
固定費が少ない方が、身軽ですよね。やりたくなくなったら事業転換もできる。


5.これから叶えていきたいこと


さて大変長々と文章を書いてきたのですが、ここまで読んでくださった方に、今後構想していることなどを自分勝手にも書いておこうかなと思います。(いい情報あるよ!って人がいたらバシバシ連絡ほしいです、めっちゃ喜びます)


福住と後川のエリア戦略については、
・関西の主要都市部から車で約1h で来れて、非日常な景観が広がる立地を生かした、外貨獲得の事業集積づくり
・移住「人数」で成果を測るのではなく、事業者や生産者の生産力や副次効果を意識した効果測定までの移住促進戦略

を引き続き進めていきます。


それと一緒に
・人口減を前提条件に、人口・人の手が減る中で「人の手によるバリュー」を落とさないための、テクノロジーとの共存

を、個人的には進めていきたいと思っています。
Technologyをフルに使い、なおかつ、Ecology であること。 
人間の手や、自然の個性が侵食されることなく、活かされている状態にしたい。



草刈りって、本当に大変で、景観ひとつ守るにも大変な努力があるんですね。
(ちなみに安達は、住んでいる福住と、宿をやってる後川の2つの集落で、河川の草刈りや鹿柵の点検などなど、集落の整備に関わる行事ごとに参加しています。)

この中で「人間がやらなくていいもの」をしっかりと機械に預けられるようにしていきたい。人間が丁寧に手を使って守るもの、そしてその時間をきちんと守れるようにするために。


具体的には、
・農地環境を整備する「全自動草刈りルンバ&アプリ」の実装と実現
・バイオマスを中心にした小規模発電施設と、まち単位で自給できるエネルギーシェアの事業

をやりたい。ここは、去年幸いなことに強力な仲間ができたので、じっくり進めていきます。



驕らず、はやらず、急がず、けど着実に一歩づつ進めていきます。
安達の尊敬する方が、エリア戦略には「100年の眼差し」が必要だと言っていました。


今を生きる人間が、100年先を想像するのは無理かもしれません。
100年先にどうなってるかなんて、わかる人はいないと思います。


ただ、今やっていることが、100年後どういう影響を与えるかについて
少し想いを馳せてみると、逆に100年・200年前に建てられた古民家や、日本の制度・文化・歴史、色んなものの凄さが見えてきます。


今の世の中で最上かもしれなくても
これが100年後正解か不正解かは誰にもわからない。


地球環境を無視していいのか、格差をしかたないと思っていいのか。
今を変えられなくても、100年後に想いを馳せて、自分の信念が納得出来るような一歩を、しっかりと歩んでいきたい。



誰に認められなくても、評価されなくたって「やる」と決めたことをやる。


そうして、まずは自分と家族から、地域、エリア、府県、国、世界、地球、宇宙を幸せにしていく。そのために今「自分がやりたいこと」がある。


広がる影響力と「どの範囲を幸せにするための戦略か」を見て、周囲の誰かが「まちづくり」と言ったり「国家戦略」と言ったりする。



自分はどうなりたいか、どうありたいか。
周囲へ返せる恩はなにか、未来に残せる価値はなにか。
そういう、はじまりの軸をブラさずにこれからも粛々と、凡人らしく一歩づつ進んでいくのです。



以上、大変な長文にお付き合い頂き本当にありがとうございました。

自分の頭の中を整理できて楽しかったので、また気が向いたら、noteで記事を書きたいなって思いました。


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