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週刊・フランス滞在記

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【毎週金曜日に配信中】 2019年11月から2020年3月までフランス南東部のグルノーブルという地方都市に滞在。 ストライキあり、コロナありの賑やかな現地生活を満喫しつつ、スイス…
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2022年12月の記事一覧

101.滞在記を書くことはトラウマを癒す

101.滞在記を書くことはトラウマを癒す

bonjour!🇫🇷 毎週金曜日更新のフランス滞在記をお届けします。今日は滞在記のもつ、「トラウマを癒す」という力について。

こうして長く滞在記を書いていると、人の記憶って本当に凸凹とした歪な形をしているんだなというのがよくわかる。つどつど、さまざまな体験をしていながら、いったん記憶の中に入ってしまうと、強く張り出した部分と、まったく目立たない部分とが形成されて、とても歪な形になるのです。

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102. スーツケースの予兆と帰国の決意

102. スーツケースの予兆と帰国の決意

bonjour!🇫🇷 毎週金曜日更新のフランス滞在記をお届けします。今号から2020年3月16日のマクロン大統領のロックダウン宣言のあとについて書いていきます。

ロックダウンにより空路、陸路がどんどん閉鎖されていくのに伴い、予定よりも帰国の予定を早める決断をしたわたし達。その決断は突発的なように思われたけれど、当時の日記を読み返すと、「スーツケースの音」として、少し前からその予兆を感じていた

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103.わたしの一欠片は誰かの中で生きて。

103.わたしの一欠片は誰かの中で生きて。

bonjour!🇫🇷 毎週金曜日更新のフランス滞在記をお届けします。今号は、帰国を決意し、お世話になったものに別れを告げた時のこと。

2020年3月17日。
「帰国の日程を早めて、明日の便で帰ることにしました」と日本にいる家族やずっと心配してくれていた知人に連絡する。「よかったね!」「頑張って!応援しているよ!」とみんな次々と安堵の想いやエールを送ってくれて、現地にいるわたし達よりもずっと離

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104.さようなら、わたしのグルノーブル|ロックダウンされた街を歩く

104.さようなら、わたしのグルノーブル|ロックダウンされた街を歩く

bonjour!🇫🇷 毎週金曜日更新のフランス滞在記をお届けします。今号は、外出制限下のグルノーブルの街並みの様子。人がいない、閑散とした思い出の地を、一つ一つ愛おしむかのように歩いたあの日の朝のこと。2022年最後の配信。そして、滞在記を締めくくるような大きな節目となる記事です。



2020年3月18日。
昨日の正午からロックダウンが始まり、そして大急ぎで帰国の準備に取り掛かっていた日

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