bonjour!🇫🇷 毎週金曜日更新のフランス滞在記をお届けします。今号から2020年3月16日のマクロン大統領のロックダウン宣言のあとについて書いていきます。
ロックダウンにより空路、陸路がどんどん閉鎖されていくのに伴い、予定よりも帰国の予定を早める決断をしたわたし達。その決断は突発的なように思われたけれど、当時の日記を読み返すと、「スーツケースの音」として、少し前からその予兆を感じていたようでした。
言語がわからない土地で暮らすと、こういうとき自分が圧倒的に情報弱者であることを思い知らされる。しかし外の情報に頼れない時、何か変だな、おかしいな、という違和感や直感めいたものが冴えてくる。その形にならない違和感をスーツケースの音として拾っていたのは、はじめは「早く安心できる場所に帰りたい」という過去からの疼きのように感じられて、「わたしの妄想かな?」とやり過ごすのだけれど、途中から「早く帰りなさい」という未来からのはっきりとした明示に聞こえてきて、帰国の背を押した。結果的にそのおかげで間一髪、日本に帰ってくることができた。
そしてまた、帰国の背を押してくれたのは、周囲の人の助けがあったから。その辺りの話を、次回から書いていきたいと思う。