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物語は、三度、進化する『竜胆の乙女』感想

さてさて。

こうしてライトノベルの感想を書くのも。

100回を超えている訳なのですが(※1)。

私の記事を追ってくださっている皆様におかれましては。

ライトノベルの知識に関して。

かなりの手練れになってきているのではないかと思います。


※1 この件につきましては、こちらから。


というわけで。

今回は、ちょっと中級者向けの作品を紹介したいと思います。

とはいっても。

厳密に定義すれば、ライトノベルではないのですけれども。

本日、ご紹介する小説は、fudaraku(ふだらく)先生の『竜胆(りんどう)の乙女』(2024年2月刊行)です。

前にご紹介したライトノベル『魔女に首輪は付けられない』(※2)と同じレーベルで。

第三十回電撃小説大賞で、「大賞」を受賞した作品となっております。


※2 『魔女に首輪は付けられない』の感想は、こちらから。


では、本日もいってみましょう!



あらすじです

今回もまた、「BOOK☆WALKER」さんより、あらすじを引用させていただきます。

物語は、三度、進化する。第30回電撃小説大賞《大賞》受賞作。

「驚愕の一行」を経て、光り輝く異形の物語。

 明治も終わりの頃である。病死した父が商っていた家業を継ぐため、東京から金沢にやってきた十七歳の菖子。どうやら父は「竜胆」という名の下で、夜の訪れと共にやってくる「おかととき」という怪異をもてなしていたようだ。
 かくして二代目竜胆を襲名した菖子は、初めての宴の夜を迎える。おかとときを悦ばせるために行われる悪夢のような「遊び」の数々。何故、父はこのような商売を始めたのだろう? 怖いけど目を逸らせない魅惑的な地獄遊戯と、驚くべき物語の真実――。
 応募総数4,467作品の頂点にして最大の問題作!!

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というわけで。

本日のテーマは、「最大の問題作」という所です。



まずは序盤をご紹介

この作品。

端的な言葉で表すのなら。

かなりの「実験的」な作品であることです。


この物語は。

明治の終わり頃の時代設定で。

父親の家業を継ぐために、はるばる実家へ舞い戻った。

少女、菖子(しょうこ)の物語として進行していきます。

父親は、「竜胆(りんどう)」という名の下に。

「おかととき」という怪異に対して。

接待をしていたようで。

その仕事を菖子は引き継ぐのですが。

商物(あきもの)として。

三人の美男子が登場します。

その美男子たちが。

「おかととき」という怪異に対して接待する訳ですが。

その接待が尋常ではありませんでした。

その内容とは。

「おかととき」が、美男子の口の中に花を入れたり。

爪を剥いだり。

果ては、肌に花を埋め込んだりと。

美男子たちが、見るも無惨なことになっていきます。

しかし、「おかととき」は、そういった人間の苦しむ姿が大好物。

その上、翌日には、美男子に刻まれた傷は、元通りになる。

そんな「おかととき」との契約で起こる、惨劇という名の「遊び」。

これこそが、父親から継いだ「もてなし」であったのです。

そんな中、果たして菖子の運命やいかに――。

というのが、序盤のあらましとなっております。



でもね……

こうして書いてみると。

かなりのホラー展開のする作品であると。

思ってしまうと思うのですが。

実は、この作品。

ポイントがそこではないのです。

端的に書くのなら。

物語のある一文によって。

それまでの物語の雰囲気が、ガラリと変化します。

その感情。その驚き。

本に付いていた帯の宣伝文句の言葉を借りるなら。

「物語は、三度、進化する」という言葉になってきます。

三度。

つまりは、三回もこの物語は変化する構造となっているのです!

私としても。

もう少し説明したいと思う所存なのですが。

ネタバレ厳禁の緘口令が敷かれているという位。

とんでもない展開が待ち構えている、この作品。

その展開と言ったら。

すさまじいものがあり。

また納得できるものでもありました!

この展開は、是非とも読んでほしいものであると。

ここでは書いておきますね。



この話の面白い所

なんといっても、「進化」の部分でしょうね。

序盤のお話から。

文章に、とある「ギミック」が施されており。

最初は、よく分からず読んでいたのですが。

後からの展開から。

「そういう意味だったのか!」という。

納得へと変わっていきます。

また、ホラーな展開から予測できない。

ハッピーエンドともなっておりますので。

この衝撃を、是非味わってみてください。



この話の欠点について

最初のホラー展開が気になるかなと思いました。

人によっては、この部分で脱落するかもしれません。

私は、若干我慢して読み進めていきましたが。

それ以上の感動が、そこには待っていました。

また、ホラー展開が好きな人に取ってみたら。

後半からの展開が。

かなり「?」なものになってくると思いますので。

そういった意味では。

どっちつかずな作品になってしまったかなと感じました。



最後に

とはいえ。

さすがは、第三十回電撃小説大賞の「大賞」受賞作品かなと思いました。

話の流れと描写はもちろんのことなのですが。

最大のポイントである、ある一文から、物語が進化する「ギミック」について。

私としては、とても驚くと共に。

そして感動が生まれた作品であると感じました。

なので、若干しつこいようですが。

この衝撃を他の人にも味わって欲しく。

こうして、作品の感想を書いているわけなのです。


さて。

最後まで、ご覧いただきありがとうございます。

この作品に、ご興味がありましたら、是非、手に取ってみてください。

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