見出し画像

ポロックから砂絵に

ジャクソン・ポロックが44歳で他界したことを、今日知った。
言葉が見つからない。

44歳は、私にとってひとまずの目標となる年齢だった。
44年なんて、どうやって生きたらいいのかよくわからなかったけれど、運が良ければ生き延びられるだろうと思っていた。

(その前に、生きていたくないと思っていた時期もある。それを経て、ひとまず生きられるものなら44歳まで生きてみようと思うようになった。)

昔、仕事でお世話になったある人物も、44歳で他界している。
(ポロック同様、私にとっては同じ時代を生きたわけではないけれど。)

かつて私は、自分自身が20歳まで生きないと思っていた。

しかし、紆余曲折を経ておかげさまで今月、44歳になった。
いつの間にか、私は生まれてきて良かったと思うようになっていた。人生、何があるかわからないけれど、もしまだ生きることができるのであれば、もう少し生きてみようと思っている。少なくとも今年の秋の個展までは。あるいはその先も・・・。

そして今日、ポロックの死を知り、精一杯生きようとあらためて思った。プレッシャーと仲良くなり、素敵な作品を生み出せるようになりたいと思った。私もあの船のように「愛だけ」になるその時まで・・・。
ポロックの人生は、おしまいのほうはとてもかなしかった。まだ生きていたら、どんな作風になっていたのだろう?

誕生日は、ちょうどに祝えないことが多いから、前後1ヶ月は誕生日期間にし、じっくり祝うことにしている。考えようによっては366日、祝ってもいいのかもしれない。この地球に生まれ、生きていることは奇跡なのだから。色々な方に様々な形でお力添えいただいていることに感謝しつつ・・・。それに、毎日生まれ直しているのかもしれない。

とりわけ誕生日期間にポロックのことを知ったのは、すごいタイミング。

ジャクソン・ポロックに興味を持ったのは、私の手法と似ているからだった。全然似てないじゃんと思う人もいるかもしれない。確かにそうだ。しかし、絵具でもキラキラたちでも、画面に対し落とすところが似ている。
少し調べてみたら、ネイティブアメリカンの砂絵にも影響を受けているらしいことを知った。なんと。砂絵。

絵具が砂に見えてきた。

ポロックが、砂を撒いているところを想像した。

とても楽しそうだ。

私は石の粉も使って制作している。

岩絵具用に販売されているものを使うことが多いけれど、そうではない石を使ったりもする。岩絵具用の粉は、天然の素材ではないものもあるけれど、私は天然のだけを使っている。石が好きだからというだけの理由で・・・。

私はこれまで、自分の手法は浮世絵の雲母摺りのうち「撒き雲母」と呼ばれる技法の応用ではないかと思っていたので、砂絵は意識したことがなかった。しかも「撒き雲母」について徹底的に研究して自分の描き方を開発したわけではなく、単なる偶然だ。始めたきっかけは、ある時優しくキラキラ光る絵を見てビックリしたからで、それは日本画だった。その後、紆余曲折を経て現在に至る。

昨年の個展をきっかけに、漸くほんのり自分らしい絵が見え始めたところだけれど、まだまだと思い、自分だけの表現に辿り着きたくて、試行錯誤している。

砂絵についてもそのうち調べてみようと思った。




今回の記事見出し画像は、2021年、初めてキラキラの儀をした時の作品です。絵具が砂の山の中で思い思いの活動をし、表面におもしろい凹凸ができました。

いつかもう一度してみたいと思いつつ、まだしていません。
今までで最も豪快なキラキラの儀をした作品でもあるため、最も「ポロックみ」があるかもしれません。完成品の見た目ではなく、制作過程の豪快さの話ですが・・・。

また、逆に、最近は色々意識して撒くようになったので、そういった意味では最近の方が「ポロックみ」があるのかもしれません。

最近は、ジョルジュ・スーラにも興味があります。スーラもまた、ぱっと見わからないかもしれませんが、共通点があるのです。

浮世絵以外についても、私は何かを徹底的に研究して、その先に新しい何かを創り出したわけではないため、後付けで共通点を探っていたりします。まだ誰もしたことがないことをするためには、共通点はあってはいけないのかもしれませんが、誰がどんなことをしてきたのか把握し理解しておくことは大事なのかもしれません。しかし、そのための時間はなかなか確保できなくて、もうとにかくつくるしかないのかもと思ったりもします。私は、アートの歴史を塗り替えることは難しいかもしれませんが、白黒ええよん史上初の何かをつくっていくことならできると思いました。偶然誰かと同じものをつくってしまうかもしれないのが怖いと思う時もあります。

それはさておき、私のキラキラの儀は、初回はとにかく量が凄くて、これを毎回するわけにはいかないと思いました。そしてこれは「山岳地帯の詩」シリーズの出発点ともなりました。

最新作を代々木に出展中です。キラキラ!

「愛だけ」になった船が、全力でカエルたちの産卵を見守っています。

今年の個展のテーマは「出産」です。
これは、私の誕生日とも関係があります。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?