猫とクリームパン(短編小説)
「ナァ」
と猫が言った。
「ナァ、それ食べるん?」
私は公園のベンチに腰掛け、クリームパンを頬張ろうと大きく口を開けたところだった。
口を開いたまま下を見ると猫がこちらを見上げている。
「ナァナァ、ぼく、鰹節がいい。
でも、クリームパンしかないならクリームパン食べる。」
ちょうどこの昼下がりの空のような、水色の瞳だった。
「半分こでもええよォ」
どこか嬉しそうな猫に見つめられ、私はパンを半分に割り、片方をベンチの上に置いた。
猫はぴょんとベンチに飛び乗り、目を細めながらペロペロとクリームを舐めた。
「おいしいナァ、このパン、おいしいナァ。」
日差しが心地良い昼下がり、私たちは仲良く並んでクリームパンを頬張った。
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