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zephyrの詩

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ひみつ

吹かれる微風、

揺れる草木はこの上なく瑞々しく、

香り始めた桜の淡紅が貴方の髪を撫でている

いつまでも秘密になんかしていないわ、

幹に寄りかかって本を読む貴方、

少しだけ微笑んでいるその顔は罪深くて、

はやく、はやく伝えにいきたいの

薄明のとき、それは泡沫

薄明のとき、それは泡沫

薄明に魅せた花は青白く

その照らされた様は水中花の如く

永遠に幻のまま

すみれから翡翠へ流れゆく

無色から派生した白昼夢

胸の内に秘めたまま

微かに、髪がなびいた

清い風は素知らぬふりをして

一粒の、ちいさな青をおとした

青白い光は瞼に触れる

それは泡沫(うたかた)

黄昏時

黄昏時

黄昏時、陽が落ちてきました

原型を失って

溶けて、溶けて

目に映る私と私を囲む風景は

朧げです

小夜は

秒針を刻むごとに

グラデーションの如く染み渡り

手に持ったコップの液体は

一滴、また一滴と

溢れていました

ぼんやりとした頭の中に

浮かんだ言葉は確かにありました

私が私か、貴方が貴方か

それ以上のことはあるのかと、

瞬きをしてみたら

見えてくるのかしらと、

もっとみる
崇高なる美しさよ

崇高なる美しさよ

セピアの記憶と重なり

懐かしさをおもい

暮れていく空を眺めていた あの時間

浮世絵のように趣のある 山々達

色は薄れど

遠ざかるほど輝く金色の造形

崇高なる大地の美しさは

頭を空っぽにさせて

心だけを 満たしてしまって

それらを前にして

何もできることはなかった

うたたねして私、

うたたねして私、

うたたねして私、

目が覚めたら夢の中

ゆらゆらと時折

差し込む光が一筋

白は時間を掛けて

白銀へと変わって

ゆっくりと弧を描く様に

夜の手前、夕暮れの先の色の下で

泡となって、

それから消えました

そのまま体を預けて

浮かんでいれたらいいのに、

と願ってしまう程に。

溶けた蝋が

溶けた蝋が

溶けた蝋がゆっくりと流れていくのが好き
ぼんやりと照らされた追憶の光は
睫毛の影をなぞっている、安堵と空虚
相反する心の鼓動を知っているように
ゆらゆらと灯った

天使の気まぐれな声音が

天使の気まぐれな声音が

天使の気まぐれな声音がくすぐったい
ながれる雲と風がどこまでも柔いなんてね、
ひかり、
ひかりがすぐ側にまできたのは秘密にしていて
色を忘れないで、香りを覚えていて、
かさねて、どうかそのままで

美の象徴を見てしまったの
何ものにも代え難い
星々とラピスラズリの夜
且つそれは一筋の天使の光であり
おとぎ話のヴィーナスであり
ロマンチスムに溺れるポエムの様
終わりの果てには背を向けて
私は神秘に誘われたまま
消える月を惜しむように
それを見つめた
#私の作品紹介

レモンイエローに染まればいい
指をパチンと鳴らせば
取り囲む私の世界すべてが
レモンイエローに変わればいい
懐かしく香る彼等は
軽快で柔和で
爽やかな風と共に存在を知らせる
あのいろ一色に 浸っていたい
#詩のようなもの #詩 #私の作品紹介 #スキしてみて #自由詩

物語を慈しむこと
忘れたくはないの
瞼に浮かんで憧憬
星々を数えて夜
朝露の瑞々しくて香る
日が傾いて優しさを知る

多くを知ってしまった
もう後戻りはできないの
紡いでまた、愛して

















#詩のようなもの #私の作品紹介 #ポエム #詩 #慈しむ

あめのゆめ

あめのゆめ

新しいトゥーシューズは
弾けんばかりの瑞々しい赤

透けさせた雲色の傘を片手に
くるくると回って魅せて下さいね

雨粒の音
小さくて丸々として可愛らしい音

楽器がなくたって
私には音色が聴こえるんです

裾が濡れたって気にしません
今はただ踊っていたいんです

雨に包まれて歌うんです
こころのままに

記憶の中の私が今の私を救うこと、
その度にいつか見た風景に心を寄せること、咲いた薔薇も幻想ではなかった

雨上がり

雨上がり

雨上がり、白い雲の下

草木の微かな香りが鼻を掠める

確信の、緑の上

幸福の香りが蕾をひらく

水が滴る、昼か夜かわからない時間
あなたの鼓動が響いた
それが何かを知っていたけれど
分からないふりをして目を瞑る