石田道行

信越境のブナの森を主な撮影フィールドに「森に学んだ自然観」を発信する写真家です。印刷媒…

石田道行

信越境のブナの森を主な撮影フィールドに「森に学んだ自然観」を発信する写真家です。印刷媒体に依らず自己で作品を完結させ全国各地で個展を開催。その過程で学んだノウハウから安曇野で写真工房 道を開設し、作品展の企画プロデュースからプリント、額縁製作など作品づくりのサポートをしています。

最近の記事

横内勝司写真展 時を超えて

こんにちは。京都での写真展まであと一週間。期間中はずっと在廊する予定です。 今日は写真展開催でのボクの考え方を書いてみます。 知られざる天才写真家? そんな大袈裟な… この白黒写真の何処が? 乾板はもちろんフイルムすら知らないデジタルで写真を始めた人から見ればそうかもしれません。 この時を超えてきた奇跡のこと、いったいどこから話せばいいのかと考えてしまいます。 素晴らしい写真にいちいち説明は不要! 見て感じる! それが写真だという意見もあると思います 感じるのが写真

    • 豪雪の森に咲く赤い花

      こんにちは。 7/9から始まる京都写真美術館の展示に向けてこのところ頭の中はモノクロモードですが、いったん通常モードに戻して今日は6月の森の話です。 晩秋に落葉して冬を越し 春に一斉に芽吹く落葉広葉樹の森で 雪解けの初夏 なぜかそこに咲く常緑の雪椿 真っ赤な花と硬く厚い緑の葉そして残雪の白といえば、そうクリスマスカラー! なのに派手さはなくとても地味〜 太陽光をもとめて他の樹々と高さを競うこともなく低い位置の僅かな木漏れ日で光合成をし、細くしなやかな幹は豪雪に埋も

      • 知られざる天才写真家 〜奇跡〜

        こんにちは。 7/9〜7/21 京都写真美術館で開催させていただく写真展の準備で、頭の中はすっかりモノクロ。今日はこの乾板群が発見されるまでの偶然と幸運について書きます。 90年も前に亡くなった人が撮影した写真が時を超えて現代に甦り、今なお人と人とを繋いでゆく… 〜時を超えて〜 それはまさに本質とも言える写真の力であり、いくつもの偶然と幸運が重なった奇跡です。 この奇跡の乾板群は2005年の横内家の改装時に勝司さんの孫の横内照治さんが天井を破って二階の屋根裏から見

        • 知られざる天才写真家 横内勝司との出逢い

          横内勝司さんと石田さんの関係は? 毎回多くの人から訊かれますが、もちろん血縁関係はなく、勝司さんはボクの母親が生まれる前年に亡くなっており、この世ではまったく接点のない人。長男の横内祐一郎さんのことも10年前に出逢うまでは知りませんでした。簡単に言えば、赤の他人ってやつです。 それが何故、その赤の他人の写真展を全国各地で開催するようになったのか?しかも自費で。個展を開催したことがある方ならわかると思いますが、もちろん毎回大赤字です😅  ま、それ以上のお金に代えられないも

        横内勝司写真展 時を超えて

          霧はフォトジェニック!

          こんにちは。 横内さんの話は一休みして、今日はボクの写真のことを書きます。 先日、森歩きが大好きな女性が「石田さんの森の写真みたいだった❣️」と、霧の森で撮った画像を見せてくれた。雰囲気のある森の写真でした。 霧はとてもフォトジェニック! 今はこんな言葉使わないのかな? 今風に言えば インスタ映え? 雑多なものを弱め背景をスッキリさせてくれ光もきれいに回る。森に限らず誰もが好んで撮る被写体です。 反面、どう撮っても霧のアシストでそれなりに映えるので撮り方が雑になり

          霧はフォトジェニック!

          知られざる天才写真家 横内勝司part2 

          こんにちは。 横内勝司さんをご紹介するにあたって、フイルムすら知らないデジカメ世代にとってガラス乾板といってもなんのことか?蛇腹カメラと乾板で写真を撮るって今とどう違うのか? この古い白黒写真のどこが天才なのかわからないって人も多いと思うので、簡単に当時の事情を説明します。 詳しい方も「何を今更…」なんて言わずに軽く流して間違いや補足があれば訂正していただけるとありがたいです。 江戸時代に長崎に伝わったとされる写真技術、当初は調合した薬剤を薄いガラス板に塗って乾かした後

          知られざる天才写真家 横内勝司part2 

          知られざる天才写真家 横内勝司

          こんにちは。 先日ご案内した写真展のことを書きます。 横内勝司写真展「時を超えて」 https://www.ishidamichiyuki.com/%E6%A8%AA%E5%86%85%E5%8B%9D%E5%8F%B8-1 10年前から各地で開催してきた写真展で森の写真展と共にボクの写真作家としての活動の両輪です。 撮影者の横内勝司は明治35年に長野県松本で生まれ昭和11年に33歳で亡くなっています。この写真群が撮影されたのは昭和初期、多くは昭和10年までの僅か数年間

          知られざる天才写真家 横内勝司

          「いい写真」の話 part5

          こんにちは。 あれ?part5ってなによ? 前回で終わりじゃなかったの? そのつもりでしたが、また思うことがあったので😅 ま、こんなこともあるよね🤗 自分の撮った写真に確信が持てないのには機材の進化による撮り方の変化もあるかもしれません。 割と最近になって知ったことで、今時のカメラマンはファインダーを覗かないで撮るってこと。 嘘〜!何で? 最初に聞いた時はビックリしたけど、確かにファインダーのないカメラも多いし、これほどカメラが進化してもファインダーの見やすさは昔の

          「いい写真」の話 part5

          「いい写真」の話 part4

          こんにちは。 これまで「いい写真」という正解のないことに、いくつか自分なりの答えを出してきたけど今日は、これが写真の本質かなって思ってること「あの時」「瞬間」そして「記憶」について、ちょっと長くなるけど一気に書きます。 掲載した白黒写真は、ずいぶん昔に自転車やオートバイで旅してた頃のもので、北海道の旅6年目のこの年、旅の相棒は借物のホンダCB750でした 実はこの年、バイクを持ってなくて、嫌がる実家の弟から半強制的に借りた50ccのHONDAモンキーに荷物を積み込んでると

          「いい写真」の話 part4

          「いい写真」の話 part3

          こんにちは。今回も「いい写真」について、思うことを書いてみます。 SNSの投稿で、なかなかいい写真が撮れないと嘆く人いるけど、機材の進化で撮影枚数は飛躍的に増えたし失敗もない。なのにいい写真が撮れないって何でなのか? みなさん、自分の撮った写真に厳しすぎませんか?それと、前にも書いたけど理想を思い描き過ぎてませんか? 撮りたい絵を強くイメージしろ!という指導もあるようですが…強すぎるのもダメで、想い描いた理想との違いを常に否定的に嘆くのは、気持ちが目の前の現場ではなく過

          「いい写真」の話 part3

          「いい写真」の話 part2

          今回もボクの思う「いい写真」についてです。もちろんその基準は人それぞれで正解はないし、ボクの中でも答えは一つではない。前回とは違う視点で「いい写真」について考えてみます。 ジャンルに関わらずみた瞬間に「いい!」と感じる写真、それは光。 光と影の芸術って、モノクロ好きの人がよく言いますが…それはカラーも同じです。影は光によって作られるもので、色もそうです。光のないところに影はなく有るのは闇。そして闇の中には色もない。 光を撮る! すべての写真は光を撮ってると言っても過言

          「いい写真」の話 part2

          「いい写真」の話

          いい写真って何? もちろんその基準は人それぞれで正解はないのですが、そんな当たり前の話じゃつまらないので、これまで長く個展活動を続けてきた中で、また工房としても多くの人の作品と関わって思うようになった「いい写真」に共通したボクの考えを書いてみます。フォトコンに入選したとか、売れたとか、SNSの人気投票とかの一般的な評価とは無関係な、あくまでボクが思う「いい写真」です。 思いつくままに長くなりそうなので、何回かに分けて書きます。言葉では伝わりにくいとは思いますが、理解よりも

          「いい写真」の話

          自然を撮る心構え

          こんにちは。久しぶりの投稿です。 燻製、カレー、珈琲と、このところ写真以外のものにハマってたり、昨日からはAmazonプライムでゴジラ-1.0の配信も始まりましたが…たまには写真のことも書きます。 大げさでエラそうなタイトルで恐縮ですが、内容は大したことないので気楽に読んでください。 撮影に出かけても天気や現場の状況が期待してたものと違って残念!とか撃沈〜!とか、そんなSNSの投稿をよく見かける。気持ちはわかるけど…それって期待しすぎですね。 ボクも予測はするし、それ

          自然を撮る心構え

          山スキーの話

          このところスキーで冬の森撮影に出かけてる。山スキーといえばカッコいいが、実はほとんど滑れない😅子供の頃はもちろん、信州に移住してからの20年もスキー場にさえ行ったことがなかったオッサンが林間を、しかも荷物背負ってスイスイと滑れるわけがなく、もっぱらスノーシュー替わりに歩くだけです。 もともと滑りを楽しむためじゃなく、冬の森撮影が目的なので安全に降りて来れたら良しとしており、たまに雪のコンディションが良ければ林道をゆっくり滑るだけでも歩きよりはずっと楽ちん! ところがこの頃

          山スキーの話

          表現すること、映画と写真展の話

          映画マニアでもないボクのつまらないゴジラ論にお付き合いいただきありがとうございます。なんで映画の話?て、思ったかな。 ずっと個展活動を続けてきて、そして写真工房 道として個展開催のサポートをしてきて思う大切なこと。 多くの評価を得ることよりも、 まずは自己満足! 自分の価値観で発信することがなにより大事で、展示作業を終えてまず初めに自分自身が観賞者として「いい展示だ!」って思えたら半分は成功!それが個展活動を続けてきたボクの考え方。その上で多くの共感をいただければ最高の

          表現すること、映画と写真展の話

          ボクのゴジラ論part3

          前回に続いてまたゴジラの話。 これで終わりになると思います😅 2000年代になるとアメリカ版のゴジラも登場しCGを駆使した迫力満点の映像が作られますが…ティラノサウルスのような俊敏な動きで人を襲うのはちょっと違うなぁって😩 人の存在など意に介さずただ移動するだけで、台風や竜巻と同じく存在そのものが自然災害、それがゴジラなんです。だから口から吐く熱線も好きじゃない。 しばらくゴジラ映画から遠ざかってたそんな時、日本でも本格的なCGを駆使したゴジラ作品が作られることを知った

          ボクのゴジラ論part3