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WWOOF イタリア 3日目

【2015/09/22 Tue. 】

●7:00 目覚ましがなくても自然に目覚める。超夜型の私にとっては奇跡。昨日たくさん動いたので、深く眠れたのだろう。朝ごはんには長女ヴェロニカお手製のケーキが。なんたる幸せ。。

●8:00 昨日に引き続き、赤ワイン用のブドウを摘み始める。今日は涼しくて楽ちん。午後には新しいWWOOFerがやって来るらしい。ちょっとワクワク。

●13:00 お昼ご飯。

…ミートローフ、野菜のグリル、パン、りんごと洋梨の赤ワイン煮。

↑ ミートローフどどーん!ニンジンやポテトやハーブがたっぷり入っていて、かなりの食べ応え。

↑りんごと洋梨のコンポート。お昼と夜は必ずデザートが付くという天国。

料理担当のアンドレアの妻・マウリツィアは、毎食いっぱいつくっておかわりを勧めてくる。なので、毎回こんな攻防が繰り広げられる…。

"Ancora?" (もっと?)

  .."Basta, grazie."(もう十分。ありがとう)

"Poco?"(ちょっとだけ?)

  .."Basta, basta!"(十分!十分!)

1皿だけでもたんまり盛り付けてくれるので、これが基本の流れ。

…のはずなのだが、私は流されやすい。そしてご飯は、美味しい。「2週間後にはもう食べられなくなっちゃうし…」と考えたら、すかさずこう答えてしまうのだ。

"Si, grazie." (ありがとう。いただきます)

最初は、農作業で痩せるかな?なんて思ったけど、まったくもってトントンだった(笑)。

↑ ティラミスを作るマウリツィア&興味津々のWWOOFerたち。

●14:30 農作業再開。

新しいWWOOFerを迎えに行っていたアンドレアが帰ってきた!ブラジル人のフラビアは、23歳のめちゃくちゃ元気な女の子。とにかくおしゃべりで「私、話し過ぎてたら止めてね!」と、自分で言うほど。単調な作業でみんなが無口になり始めていただけに、雰囲気が一変。そういう人って、素敵だな、と思う。私が彼女の立場だったら、空気に呑まれて(空気を読んで?)「なんか静かにした方がいいのかな」って大人しくしちゃうと思うから。

フラビアはブラジルとイタリアのハーフだかクォーター(…メモが曖昧でごめんなさい)。大学でジャーナリズムを勉強したけど、希望の仕事が見つからなくて広報の仕事に就いたらしい。だけど、それも1年で解雇になってしまい、ビザが取れたのでイタリアにやって来たのだと言う。仕事のあてはないけれど、仕事が見つかるまで、とりあえず宿と食事が保証されているWWOOFをすることにしたんだって。いやーー、タフ!

私は「自由でいいな。まぁ私も無職だけど!」なんて気軽に考えていた。

だけど。フラビアの一言で、そんなに呑気な話ではないと気付かされる。

「日本みたいに仕事がたくさんあるわけじゃないからね〜」

フラビアは、嫌味でもなんでもなく「まぁしょうがないよね」という感じでサラッと言った。ブラジルの失業率は高いのだ。特に若者が希望の仕事に就くのは難しい…。別に彼女がとりわけ自分の状況を悲観しているようには見えないけれど、色々と考えてしまった。

フラビアはポルトガル語とイタリア語、英語が話せて、誰とでも難なくコミュニケーションが取れて、仕事もテキパキこなす。

かたや私は、英語もイタリア語も下手でまともに話せるのは日本語だけ。人付き合いもうまくない。だけど、この旅が終わって日本に帰ったら、まぁ何かしら仕事は見つかる。それも、彼女が希望しているマスコミの仕事に。

私は、大学でなんとなく英文学を勉強して、就職活動せずにフリーターになった。バンドをやりながら、コールセンター、スーパー、宅配の仕分け、交通量調査、馬券売り場の案内係、事務、ライブハウスなどなど…バイトをしては1年も経たずに辞めて、職を転々としながら気ままに生活していた。そして25歳でふらっとテレビの制作会社に入って、それからは、まぁ大したことはしていなくても一応「経験」があるので食いっぱぐれることもなかった。そんな訳で、テレビを辞めて就職したウェブの会社も1年ちょっとで簡単に辞めて、この旅を始めた。どうせすぐに仕事が見つかると思ったから。

日本で働くということは、通勤ラッシュや長時間労働、それに過労死だってあるし、全くもっていいことばかりではない。だけど、日本に生まれたというだけでアドバンテージがあるというのも、また事実なのだ。

「自分が生まれた国から出て仕事を探す」というのは、みんなが持ち得る選択肢の一つだけど、そのハードルが低いことは、私からしてみれば自由で羨ましいこと。今もそう思っている。だけど、積極的に選びとっている人ばかりではない。この旅では、その後もこの当たり前のことを何度も気付かされることになる。

23歳のフラビアが若さとエネルギー、そして能力を持て余している一方で、33歳の私は簡単に仕事を辞めてお気楽に旅に出て、気が済んだら帰国してまたどこかで働き始める。フラビアはマスコミの仕事に就きたくても一度も就いたことがないから「経験」がない。いつまでもスタートラインにすら立てないのだ。

なんだかなー…うん。私はこの先もちょくちょく会社を辞めるだろう。会社に属すことは人生の一部に過ぎないと思っているから。でも、大して能力のない自分が好き勝手できていることは有難いことなのだ、と、日本に帰ってからたまに思い出そう、と思う。そんなことをフワーーっと考えてたら、ブドウを運ぶトラックがいっぱいになったので、今日の農作業は終了。

●20:00 晩ご飯

…玉ねぎとチーズのリゾット、野菜の煮物、生ハム、パン、レモンケーキ。

↑パンは、イングランドWWOOFer・トムの手作り。パン職人を目指しているトムのパンは、見た目は地味で何てことないけど、噛めば噛むほど香りと甘みが感じられて、じっくりゆっくり食べてしまう。

↑レモンケーキ。甘くてホロホロした生地にさっぱりレモンのクリームが合う。

しつこいようですが、昼と夜は必ず!デザートが!つくんですよ!(涙)。しかも!全部!手作りで!

大して取り柄もなくフラフラと生きてきた自分が、こんなに美味しいケーキをご馳走してもらっている。贅沢だな。。


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