最近の記事

『チョコレートな人々』と障害者雇用から見る、わたしたちにできること

https://youtu.be/iIRHrmF5ulI ●あらすじ  今ではショップやラボなど52拠点を全国に展開して障害者雇用を行う久遠チョコレート。代表の夏目浩二さんの思いと足跡を、東海テレビが2003年から追ったドキュメンタリー。  久遠チョコレートを運営する一般社団法人ラバルカの代表である夏目さんは、障害者の賃金が月額1万円ということに驚き、自分で障がい者を雇うためにパン屋を立ち上げる。最低賃金を渡すことはできていたが、長くは続かずたたむことになるが、あるときトッ

    • 日本のカオスな街並みにワクワクを

       ストックホルム・ロンドンの街並みは非日常で魅力的だった。  その魅力を構築しているのは”統一感”だと思う。『魔女の宅急便』のモデルになったストックホルムのガムラスタンは、色とりどりの建物に玉石敷きの通りが並び、島々で構成されたストックホルムの各所がファンタジーの入り口のようだった。欄干に立つ水鳥は船を背景に羽ばたき、大きな古びた水路はまるで映画の一場面。ロンドンも同じく、グラフィティアートが当然のように蔓延るストリートと小さなチューブの上には、石畳や緑の広がる公園が並び、

      • 2022ベスト映画aka「人がわかり合おうともがく」映画6選

        2022年映画ベストを作ろうとした時、「これって自分の好きなシュチュエーションめちゃくちゃでてる!」と発見したので、あえてそのシュチュエーション6選にしようと思います。  まずシュチュエーションといえば、TBSラジオアフターシックスジャンクション山本匠晃アナの映画の中のフード描写。人が口に物を入れるEATシーンに興奮して、半ばサイコパスみを感じる語り口で、普段は冷静なアナウンサーが尺とパーソナリティを無視してそのシュチュエーションを描写する。ぜひ一度聴いていただきたい。

        • 30歳初海外紀行〜それぞれの国のファッションとご飯について〜

          スウェーデンのファッションは強い。 ずっと雪の中を歩き回っていたこともあり、道行く人々は厚底のサイドゴアブーツに黒のダウンが圧倒的に多かった。長身の彼らは洋服がとにかくよく似合う。160センチしかない私にとっては到底何も叶わない。ストックホルム中心部のハイソな人たちが乗る鉄道では、特にモンクレー率が高くなった。みんな黒を着てるのに様になっていて恐ろしい。 着回しのしやすい黒で良い物を持っているのは、物を大事にしているスウェーデン人だからこそなのかもしれないとも考えた。lo

        『チョコレートな人々』と障害者雇用から見る、わたしたちにできること

        • 日本のカオスな街並みにワクワクを

        • 2022ベスト映画aka「人がわかり合おうともがく」映画6選

        • 30歳初海外紀行〜それぞれの国のファッションとご飯について〜

          30歳初海外紀行〜オーバーヒートしたインプットの奴隷〜

          私は暇さえあれば何かインプットしていたい。 通勤時間はもちろん、家事をしながら絶対ラジオを聴いている。家に帰れば映画か海外ドラマかアニメを見て時間を過ごしている。街を歩けば、人々の会話を立ち聞きしてファッションチェックを行っている。外界の情報を読み解きインプットして、日本ですらあっぷあっぷしているのに、いわんや海外をや。 海外というのは本当に知っている情報が少ない。路線図ひとつとっても、一歩間違えれば逆方向に連れていかれ、これが飛行機ならいくら損するか考えただけでもゾッと

          30歳初海外紀行〜オーバーヒートしたインプットの奴隷〜

          30歳初海外紀行〜海外で自分探し〜

          海外に行って自分探しすると言う言葉に昔から違和感を覚えていた。 日本にいようが海外にいようが、自分は自分。海外に行ったからといって何かとんでもない発見をするような人間は、自分と向き合う機会がないだけなんだ。そんなことを言い訳に、海外に行かずに日本に留まること30年。ついに私にも自分を探す機会が訪れた。 なんと彼女がスウェーデンに住むこととなり、これは一度は行かねばならないと意を決したわけだ。センター英語は8割、海外ドラマと洋画は馬鹿みたいに見ている私にとって、英語はさして

          30歳初海外紀行〜海外で自分探し〜

          相手に心地よく話してもらうための、聞く技術

          前回の記事で、そもそも聞くことは目的を意識することが必要だと述べました。  今回は、聞くこと、とりわけ相手の本質的な声を聞く”傾聴”には質問する技術が必要だと言うことについて話したいと思います。  マシンガントークと言われるように、質問をしなくてもスラスラと話ができる人がいます。一方で、何を聞いても一言で返されて話が続かない人がいます。今回は、そんな会話が続かない人に、どんどん話してもらう技術について3点に絞って語りたいと思います。 ●閉じた質問と開かれた質問  あなたと

          相手に心地よく話してもらうための、聞く技術

          ”聞く力”よりもその前に

           今回は聞くことについての私なりの考えをエッセイとして書こうと思います。 「聞く」とAmazonで調べると「聞く力」や「聞く技術」、「話すよりも聞け」というビジネス書がでてきます。確かに聞くことは大事なのですが、それだけでは何か人間味がないように感じてしまいます。私もこれまでの人生で”聞く能力”を最大限に高めて、得意なものとしてきました。実際に、この技術を活かして仕事をしていますし、気難しい人でも人見知りの人でも相手に話してもらって聞く自信があります。しかしこれは技術的なこ

          ”聞く力”よりもその前に

          『激怒』2022年9月4日(日)@京都みなみ会館

           高橋ヨシキさんの初監督脚本作『激怒』を京都みなみ会館で、舞台挨拶付きで見てきました!さらに『岬の兄弟』の松浦裕也さん、『裕子の天秤』の川瀬陽太さんもいらっしゃっていて、どちらも大好きな映画の大好きな役者さんなので、嬉しさがトゥーマッチでした。ヨシキさんは、旧京都みなみ会館の『グリーン・インフェルノ公開記念ナイト』に2015年12月5日(土)に来館されて以来なので、約7年ぶり!そう考えるといろいろなことがあったなと思うと同時に、当時と変わらずヨシキさんとマザーテレサを尊敬して

          『激怒』2022年9月4日(日)@京都みなみ会館

          今に続くと思い返した『14歳の栞』

          『14歳の栞』(2021) 監督:竹林亮 企画・プロデュース:栗林和明 配給:パルコ  ドキュメンタリーとかこつけていても、映画には往々にして意図というものがあるわけで、その意図を汲み取って感想を書きたいと思います。この編集から汲み取れるのは、14歳の限界と大人になるということだと思うので、それを主軸に。  まず思ったのが、「14歳ってすぐ限界決めるやん!」。「医者は時間がかかるんで看護師でいいかなって」「続けるなら高校までです。才能ないんで。」「絵が上手い人は沢山いる

          今に続くと思い返した『14歳の栞』

          『パレードへようこそ』(2014)

          監督:マシュー・ウウォーカス 脚本:スティーブン・ペレスフォード 主演:ビル・ナイ 映画を通してマイノリティを知る  今回扱う映画はマイノリティ同士の結束を強めた映画だ。しかし私は炭坑夫でもなければ、セクシュアルマイノリティでもない。さらにどちらに対しても専門家というわけではない。では、なぜマジョリティの立場に立つ私がこの映画を見ようと決めたのか。それをまずは伝えたいと思う。  人間は知らないものに対して恐怖や敵意を向けてしまう。それは人間の持つ本能だ。だからこそ名前を

          『パレードへようこそ』(2014)

          無知の知・優しさの循環が見えてくる『こどもかいぎ』

          INTRODUCTION 保育園の年長さんを対象にして、疑問に思ったことを話し合う“こどもかいぎ”。その1年間を追ったドキュメンタリー。  子どもたちがそれぞれ、「水ってどこから来てるの?」「赤ちゃんはどこからくるの?」「大人になったら何になりたい?」と、いろんな話題に対して「海の水はなくなっちゃう」と子どもらしい答えを返したりする様子がひたすら可愛らしい。 ”こどもかいぎ”を主催する大人の態度  一方で、これを主宰する大人の立ち位置が興味深い。OPのこどもかいぎで、

          無知の知・優しさの循環が見えてくる『こどもかいぎ』

          止揚と対極主義〜「展覧会岡本太郎」をみて感じたこと〜

           「芸術は爆発だ!」そんな言葉で有名な岡本太郎。現在、大阪の中之島美術館で、彼の作品を振り返る「展覧会 岡本太郎」が開催されている。今回は、ここで考えたことについてまとめたいと思う。  岡本太郎の代表作といえば、なんといっても『太陽の塔』だろう。1970年の大阪万博の統一テーマ「人類の進歩と調和」を具体的に示すテーマ館のプロデューサーを任され、作成された作品だ。例に漏れず私もこの作品から彼の魅力に惹かれ、「座ることを拒否する椅子」「明日の神話」「犬の植木鉢」「傷ましき腕」、

          止揚と対極主義〜「展覧会岡本太郎」をみて感じたこと〜

          Jホラーとの比較から見る『呪詛』

          Twitterでホラー映画がバズってると聞いたら、ホラー映画好きとしては、反射的にみてしまうわけです。Netflixも加入しているし、時間も空いているので準備万端。しかも台湾の民族的なアジアンホラー。これまでの台湾ホラーは気になる物があっても、レビューが低くて敬遠していたので、絶好の機会! 見終わった感想は「これは、確かにバズる!」一言で言えば“不幸の手紙”をゆるくしたもの。ストーリーは、ルオナンが養子として子どもを迎えて二人で暮らすが、子どもが呪われてしまう様子と、

          Jホラーとの比較から見る『呪詛』

          現代社会のロマンティクコメディとして見る『私は最悪。』

          監督・共同脚本:ヨアキム・トリアー 共同脚本:エスキル・フォクト 主演:レナーテ・レインスヴェ、アンデルシュ・ダニエルセン・リー 監督の過去作から見る まずはヨアヒム・トリアーの作風について説明します。彼は長編を5作撮っていて、私はそのうち4作を見ているので、それを紹介したいと思います。 彼は、人間関係、家族関係の中での人の役割や生き方に着目して、その人の内面を徹底的に覗き込むのが上手い監督です。  長編2作目の『オスロ、8月31日』は、薬物依存症の男が更生プログラム

          現代社会のロマンティクコメディとして見る『私は最悪。』

          『<新版>日本語の作文技術』(本多勝一著)から

          『ゆる言語学ラジオ』で紹介されていたこの本。ずっと気になっていたのですが敷居が高そうだったのと時間がなかったので積読していました。しかし一人旅のお供に選んだことで通読できたので、感想文を書きたいと思います。    この本は、文章の修飾から句読点の位置、漢字とカナの使い分け、助詞や段落などについて例を用いながら非常にわかりやすく説明されています。そのなかでも特に勉強になったのが「第八章 無神経な文章」で紹介されていた「紋切り型」と「自分が笑ってはいけない」の項目でした。私はいわ

          『<新版>日本語の作文技術』(本多勝一著)から