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【摂食障害の話】お腹いっぱい食べられる幸せを、誰からも奪ってはいけない。

他人の食べ方について、なにも言ってはいけない

「最近太ったね」
「おかわり控えたほうがよくない?」
「そんな甘いもんばっかり食べたら太るよ」
「あの子痩せててかわいいね」
「あんた最近食べすぎだよ」

どんな言葉でもいいが、他人の食べ方についてはなにも言ってはいけないというのが、私の持論だ。

いくら家族だとしても、他人から言われたらどうしても気にしてしまう。

それが思春期(摂食障害の好発年齢)ならなおのことだ。

摂食障害の好発年齢は 14~18 歳(ピークは 16 歳)で思春期女性の 0.5~1.0%に発症し、男性より女性に 10~20 倍発症しやすい 1)。
診断の時期と検査法 医療機関でまず行うことは、やせをきたす身体的基礎疾患の除外であり、続いて身体的重症度を評価する。

摂食障害 - 日本小児科学会

なお、簡単に言うと、摂食障害=拒食症(食べられない)+過食症(食べ過ぎてしまう)だ。

摂食障害は大きく拒食症過食症に分類される。拒食と過食は相反するもののように捉えがちだが、拒食症から過食症に移行するケースが約60 - 70%みられたり、「極端なやせ願望」あるいは「肥満恐怖」などが共通し、病気のステージが異なるだけの同一疾患と考えられている。

摂食障害 - Wikipedia

最新版のDSM-5-TRが出てこなかったので、かなり古いDSM-4-TR(2000年)になるが、以下がその診断基準である。

DSM-IV-TR

DSM-IV-TRによる基準は以下の通りである[1]神経性無食欲症: いわゆる拒食症であるが、さらに下記の二つに分類される。
制限型:食物を口にすることを重度に制限する。
むちゃ食い・排出型: 過食後に自己誘発性嘔吐や下剤などで代償行為を行う。神経性大食症/排出型と違い、BMIによる標準体重の85%(日本は80%)以上になることの拒否などの拒食症状を伴う。
神経性大食症: いわゆる過食症であるが、さらに下記の二つに分類される。
排出型: 不適切な代償行為(自己誘発性嘔吐、下剤・利尿剤・浣腸の誤った使用、絶食、過度の運動等)を定期的に行うタイプ。
非排出型: 排出以外の代償行為(絶食、過度の運動等)のみを行うタイプ。
特定不能の摂食障害 (英: Eating disorder not otherwise specified)
吐き障害 (英: Purging disorder)
むちゃ食い障害 (英: Binge eating disorder): 過食をするが不適切な代償行為は行わない。摂食後に自己嫌悪、罪悪感、抑うつなどを呈する[17]
睡眠関連摂食障害
夜間摂食症候群 (英: Night eating syndrome)
選択的摂食障害

摂食障害 - Wikipedia

ストレスによって食べすぎたり食べられなくなったりするのは、ある程度自然なこと

たとえば、1か月まったくごはんを食べようとしない、あるいは病的に食べ過ぎるといったら病院(精神科/内科/心療内科)という選択肢があるが、数日ちょっと食生活が乱れたくらいで「注意」されていては、やっていけない。

おとなになっても、ストレスがたまってジャンクフードを大量に食べたり、あるいはまったく食べられなくなったりする。それはある程度なら自然なことだ。

敏感な思春期のこどもに、そんなことをいちいち言っていると、結局ストレスは悪化し、下手したら精神疾患になる。

多少は優しく見守ってあげたいものだ。

注釈: 「食べすぎ」と過食症(過食性障害)とは大きく異なるもの

たまに食べ過ぎたり、ストレス解消のために好物をたくさん食べるなどのことは普通でもよくあることと思いますが、『過食』と呼ばれるのはそのようなものとは異なります。
(中略)
過食の衝動は普通の食欲とは異なり、我慢しようと思ってもそれがきかず、内容や量や時間帯を選べず、異常なスピードで押し込むように食べてしまったり、目の前に食べ物があると制限がきかなくなったりします。
(中略)
人間にとって「食べる」というのは、空腹を満たすという生理的役割以外に、楽しみを与えてくれる存在でもあります。
食べるのが好きな人、食べ歩きが趣味の人、やけ食い傾向のある人などはそこら中にあふれ、「思わず食べ過ぎてしまった」という経験は多くの人が持っているでしょう。
けれど、それを「過食症」とは呼びません。

【精神科医が解説】過食性障害(むちゃ食い障害)の症状・診断・治療 |田町三田こころみクリニック

摂食障害を引き起こしそうな事例

Twitterからこの画像を拾った。

純粋に私はこの家庭環境と、娘さんのことが心配だ。なにもなければいいのだが。

成長期のこどもは、美しくなるとか、あるいはある程度痩せているといったことなんて気にせず、思いきり食べるべきだと思う。

みんながみんなKPOPアイドルやモデルになるわけじゃないし、そもそも痩せているだけだったらKPOPアイドルにはなれない。

痩せていることだけで成功する業界なんてない。持ち前の愛嬌や歌唱力や縁起の才能があってこそ、彼らは成功をつかんでいる。

痩せていたら有名人になれるなんてそんな早い話はない。あったとして、そこには健康がついてこないのだから、倒れて終わりだ。

事実、病的に痩せていることを売りにしている不健康そのもののインスタグラマーがいるが、フォロワーからいただいた「心配です」といった言葉を全部無視している。

事務所の管理がない彼らは、すぐに限界を迎えてしまいそうで、勝手に心配している。

私が言いたいのは、食べることが苦痛であってはならないし、そもそも「瘦せている」=「無条件で可愛い」という現代社会のほうにも一定の病理があるということだ。

結果、病的な肥満になったのならそれは病院(内科)の出番だし、そこにストレスがかかわっていたら、精神科などにも出番がある。

ただ、下手に食べることにプレッシャーをかけたとして、いいことはひとつもない。

食べることが楽しくなるのがみんなにとって最高の結果

ストレスで食べすぎる(菓子パンを1回に10個買うくらいの病的な過食症)のなら、食以外の方法でストレスを発散したほうがいい。

ストレスでまったく食べられなくなったら、エンシュアなどの栄養剤もある。

それ以外の正常な範囲なのであれば、食べるということは楽しいことであってほしい。

食べることは、苦行でも修行でもあってはならない。

美味しいね、と言いながら食べられることが、食べ物にとってもそれをつくったひとにとっても自分にとっても、最高の結果をもたらす。

美味しいものを美味しく食べよう

戦争でも貧困でも災害でも、食べ物が手に入らなくなり、食べられなくなるということはものすごく悲しい。

みんなが美味しいものを美味しいねと言って食べられるような世の中になってほしい。

それは摂食障害も例外ではない。

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