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檸檬読書日記 アイスで頭は冷えるが、皮膚は燃える。 9月25日-10月1日

9月25日(月)

川口晴美『小さな詩の本』を読み終わる。

1人の詩人だけでなく、様々な詩人の詩や、詩人だけでなく、今活躍している歌手の歌なども載っていて、詩の世界が広がるとても良い本だった。

詩のことはまだまだひよっこの身としては、たくさんの詩人や詩を知れて、初心者としてピッタリな本だった。
そして、この本で金子光晴と出会えたのは、本当に僥倖。

そういえば、梶井基次郎「密やかな楽しみだ」という詩があって、これ実は檸檬について書かれた詩になっている。小説のみならず檸檬の詩まで書いているのかと、驚いた。(とはいえ、自分が無知なだけで、常識なのかもしれないけれど)檸檬、それくらい好きだったのだろうか。
檸檬に取り憑かれている身としては、分からないでもないなあ。あの色、形、くらくらするくらい良い。

これから『小さな詩の本』に出ている詩が載っている本を探して、少しずつ読んでいくのも面白そうだな。やってよう。




9月26日(火)


松崎冷菓のアイスバー。
やっと全種類(ただ、ゆず味は除く)を食べ終わった。
やはり「ほうじ茶」が一番だけれど、意外と「ミルク」も良かった。ミルク感が凄い。
「抹茶」も「あずき」も良かったけれど、自分には少し甘かった。けれど牛乳と一緒に食べると最高。つけたりするのも良き。

「ミルク」は、低温殺菌のジャージミルクを使っていたり、
「あずき」は、海洋深層水と北海道小豆を時間をかけて炊きあげていたり、
「抹茶」は、京都府の宇治抹茶を使っていたり、
「ほうじ茶」は、石川の加賀棒茶をじっくり抽出して使っていたりと、凄いこだわりよう。しかも全て100%使用。
その上、乳化剤・香料・着色料・安定剤不使用。そういうのはあまりないから、なんとも有難い。

シャリっとしているけれどどれも濃厚で、味わい深い。それぞれの良さが最大限に詰まっていて、個人的激推しアイスバー。
まだまだ暑かったりもするから、凄く助かる。また買おう。


多崎礼『レーエンデ国物語』1巻を読む。

領主であり伝説の人物である男の娘であるユリアは、自分が採取されている状況から逃げ出すために、呪われた地・レーエンデに父と赴く。
そこは彼女にとって始めて尽くしの場所だった。仕事や友達や恋。人形だった彼女は、次第に変わっていく。
だが、世界は次第に不穏になり、ユリアもその中へと組み込まれていくのだった。

壮大なファンタジーといった感じ。
呪いや独自の病気、歴史がありながらも、世界観がしっかりしていて、尚且つ読みやすかった。そして、美しい。
親子の愛や友愛、恋愛、慈愛、と、様々な愛があり、切ないけれど、とにかく愛に溢れた作品だった。

ただ少しだけ残念なのが、身近になったキャラクターたちが、2巻では出ないらしいということ…。この先出るかもしれないが、おそらくメインではない。ここまで近づけておいて、なんと無慈悲な!と思ってしまった。
まあ、それが広大な世界観を作ることのできる所以なのだろうけど…。もう少し見ていたかったなあ。
2巻はどうしようかな。世界観は抜群だし、出てくることを期待しつつ読んでみようかな。




9月27日(水)

芥川龍之介『羅生門・鼻・芋粥』を読む。
「煙管」を読み終わる。

領主である斉広は、純金で作らせた煙管を常に持っていた。何をするにも常に見せびらかし、見られることに対し悦に浸っていた。
そんなある日、1人の坊主がその煙管を欲しいと言い、斉広はあげてしまう。ただ高価なものを簡単にあげる自分、ということにまた悦に浸り、そしてそれを境に煙管を欲しいという坊主が次々とやってくることに。
煙管1本作るのにも、相当なお金を有し、家来たちは策を講じることにした。

いつの時代も、仕えるものは大変だなあ。
大概仕えるものの方が優秀なのだから、皮肉なものだな。

それにしても、価値というのは曖昧なものだなと、この作品を読んで思った。
どんなに価値があるものでも、見向きされなくなったら、そこら辺に落ちている石と同じになってしまうということだろうか。
何においても、絶対的なものはないのだろうなあ。


川上弘美『大好きな本 川上弘美書評集』を読む。

辻原登『遊動亭円木』について


わからないのだ。生きていることについて、人はなんにもわかっちゃいないのだ。その中で、それでも生きている、円木がいる。


わかっちゃいないのだ。こんなことを書かれたら、気になってしまうではないか。
あぁ、読みたいリストが増えていく。


DVDデバイスの話をしていたら、DVDデバイスを貰ってしまった。嬉しい。これで映画が観れる!
『まあだだよ』、図書館に置いてあるみたいだし、早速予約しよ。

本当は『シェルタリング・スカイ』も観たかったけれど、そっちは置いていなかった…。残念。本同様、地道に探そう。

そういえば、DVDの話をしたら、車でも観れるらしいと言われたけれど、車で2時間はどうなんだろうなあ。『まあだだよ』を観るために車で2時間閉じこもりを想像したら、少し笑ってしまった。なんだか滑稽感があって面白いな。


早速、DVDデバイスとパソコンを繋ぐべく奮闘。
だがなかなか上手くいかない。どうしても観れない。何故だろうと、説明書をもう一度良く見たら、手順1を飛ばしてやっていた…。そりゃ出来ないわ。でも、良く飛ばしてここまで出来たなあ。

インストールに結構な時間を有したのに、アンインストールして、もう一度最初からです。残念!
もう明日やろ。




9月28日(木)

火傷した。
座った状態でカップに熱々のお茶を入れて、自分の所に移そうとした際、何がどうしたのか滑って倒して、びちゃっ。
全部太腿にかかった。

慌てて冷やしたけど、未だにヒリヒリ。皮膚が燃えてるみたいに熱い。
本当、やっちまったよ。
ぷっくり水膨れになってしまった。跡にならないといいなあ。これ以上増えたら困るなあ。

そういえば、火傷したことを言ったら、呆れられてしまった。確かに阿呆だよなあ。自分でもそう思う。
でも高級茶葉でミルクティーを作って飲ませてくれた。う、うまい!
これぞ怪我の功名というやつかな。むふふ。(違うか?)少し気分上昇。(現金なヤツだな)


村雲菜月『もぬけの考察』を読み始める。

408号室に住む住人は、次々といなくなる。いなくなる前の住人の日々が描かれた、少し奇妙な4編の連続短編集。


初音の趣味は蜘蛛を飼い殺すことである。
飼うと言っても飼育用に蜘蛛を購入するのではなく、部屋に湧いた蜘蛛を捕らえて調達する。(略)
初音としては家賃を払っている世帯主に断りもなく部屋に居座るのであるから立派な住居不法侵入であるし、たとえそれが人でなくとも相応の覚悟を持って入ってきてもらわねば困ると考えている。


最初から凄い惹かれる。
淡々としている中に狂気じみたものが滲んでいて、この感じ結構好みだ。
読み進めるのが楽しみだ。


自分ではないが、感想文に批難のコメントをされた方がいて、なんだか自分まで悲しくなってしまった。
本の感想って、人それぞれだから良いんじゃないかなあ。仮に書いたことが事実ではなく本当に間違ったことを言っていたとしても、傷つけていいことにはならないんじゃないかなあ。
作者自身が、怒ってそれは違うと言うのは分かるし、それなら「はい!すみません!」って受け入れられるけど、違うんだもんなあ。

でも自分だったら、間違っていたら教えて欲しいなと思う。けど、直ぐへこたれてしまうから、優しく言って欲しいなあとも思ってしまう。へこたれてしまうから。(2回言った)

言葉って、本当に使い方次第だと感じる。知識も同様。
強い言葉は、その知識がいくら素晴らしくとも、一気に台無しにしてしまうものなんじゃないかなあ。それは、本当に勿体ない。
批判したいくらいその作品や作者を好きなのも分かる。けれどそれで悪い印象を抱かれてしまったら、その作品や作者まで悪い印象を抱かせてしまうかもしれない。それは本当に悲しいことだ。その作品や作者が素晴らしければ素晴らしいほどに。
だから本当に好きなら、好きになってもらえる方を広めたいく方がいいんじゃないかなあ。なんて、思ったり。

それにしても、自分もいつか「そんな解釈は間違ってる」とか「作者はそんなこと考えない・思っていない」とか、批判されそうと思っているけど、今のところ免れている。
特に芥川龍之介のことで、いつ言われるのではないかと、毎回そわそわしているけれど、言われない。不思議だ。(トンチンカンすぎて、呆れられてスルーされているという説が濃厚だが)
だから調子に乗って、これからもトンチンカンを突っ走ってしまうよ。(何故?)




9月29日(金)

デバイスとパソコンを漸く繋げられた。だから

黒澤明『まあだだよ』を観る。

内田百閒とその弟子の物語。

「読書記録」の方でまとめるつもりだから、ここでは詳しくは書かないけれど、個人的には凄く良かった。
単純にこういうのって良いなあと思った。
ただ、年齢というよりかは、時期を選ぶ作品だろうなとも感じた。
古き良きものに何も感じない人にとっては、琴線が震えづらいかもしれない。ただ、そういったものに少しでも関心がある人にとっては、凄く揺さぶられる作品だろうなと思った。

『まあだだよ』という本を読んで、どっぷりと黒澤明にハマってしまったけれど、今回映画を観て、今度は凄く内田百閒に興味を惹かれている。
いっそ全集がほしいくらい。(極端だな)
とりあえず、家にあるものをまず読も。

それにしても、こうやってコロコロ変わるから、自分は駄目なんだよなあ。直ぐハマってしまう浮気性だから、いつもどれも中途半端になってしまう。
せめてもっと読むのが早かったらいいのになあ。(そういう問題なのか?)


村雲菜月『もぬけの考察』を読み終わる。

あらすじを見て、住人が次々に消えていくのだから、ホラー要素があるのかと思っていたが、ホラーではなかった。けれど、ゾワゾワした。これは恐怖なのだろうか、でも少し違うような。
言うならば、しばらくの間部屋に籠っていて、ある時ふと外に出てみると違和感を感じた。近くにあった鏡を見てみると、自分の姿は映らず、実は自分は既に死んでいたんだ、と気づいた瞬間のような感じ。(説明が下手すぎて、余計に分からないな…)

とにかく奇妙で、暫くは何が起きているのか分からないのだが、気づいた瞬間に、ゾワゾワっとする。
短編だが、少しずつ繋がっていて、もしかしてこれはと深読みしてしまうところが多く、1度読んだら最後、この人の世界観から抜け出せないでいる。空っぽの部屋に閉じ込められた感じだ。

何より、これがデビュー作なのが凄い。
次作が出たら、絶対読もと思った。決意。

そして、デビュー作でありタイトルにもなっている『もぬけの考察』の出だしもいい。


私の人となりを簡単に説明するとエレベーターに乗り込む時、いつも落ちると思う側の人間である。


もうこの個性的な文書と独得な思考が堪らぬ。
早く次が出てくれないかなあ。

ちなみに、自分もいつも落ちると思う側の人間である。





9月30日(土)


アイスティー。
普段冷たいものは飲まないのだが、無性にアイスティーが飲みたくなって飲んでみたら、あまりの美味しさに震えた。

特に『BREW TEA Co』の「イングリッシュブレックファースト」で作るアイスティーが最高で、ミルクティーやホットでも飲んでいたけれど、アイスにして分かる茶葉の上手さよ。
やはりそれなりのやつは違うのだなあと改めて思った。茶葉の味が、本当に全然違う。
紅茶は結構好みがあるけれど、今のところ自分はこれが一番好み。
この紅茶に、アガベシロップたっぷりで少し甘めが何より最高。

このシリーズ、他も美味しい。アッサム、デカフェアールグレイ、チャイ。(ただチャイは結構癖が強い)


そして、見た目もお洒落で良き。置いておくにも良きでござる。


ウィリアム・H・マクニール『疫病と世界史』(上)を読み始める。


二十世紀が終わりに近づくにつれて、様々な感染症が戻って来つつあり、時には人類の生命に対する昔ながらの深刻な意味を取り戻しつつあるのは、間違いのないことらしい。医学者は、自分たちの強力な介入の手を強めればつよめるほど、病原菌の生物学的進化の速度をますます早めるという、思ってもみなかった結果を生じ、次々に現れる薬品の攻撃に耐えうる頑健さを、病原菌に与えているという事実を認め始めている。


現在(略)たいていの病気は経験ずみで、おもな感染症に対してかなり高度の免疫を獲得しているから、流行が突発してもすぐに下火になってしまう。(略)感染症なるものは大昔から(略)、いつどこにでも存在し続けたのだと考えてしまえば、疫病について言うべきことなど何もないわけだ。


疫病について知りたかったから読んでみたが、なかなかに興味深い。
いつの時代もやはり起きているんだよなあ。そしてやはり大事なのは免疫か。(書いていないけど、後は免疫力)
そして認めても、薬は儲かるから同じことを繰り返すのだろうか。

んー、それにしてもテーマがテーマなだけに凄く難しい。そしてやたらと言い回しが回りくどくて、頭の悪い自分には少し難易度が高い。けど、頑張って読んでみよう。




10月1日(日)

嵐山光三郎『追悼の達人』を読む。
「小林多喜二」編を読み終わる。

『蟹工船』の人。  


多喜二には、自己犠牲の精神があった。大義のためならば喜んで死ぬという姿勢は、戦士のものである。


んー、なんだか悲しい。虐殺により死んでしまったらしい。その虐殺による跡なども書かれていて、昔の日本の残酷さをヒシヒシと感じた。跡だけなのに、想像すると壮絶で、苦しくなる。
人って、正義を掲げたら、これほどまでに残酷になれるものなのだろうか。

追悼文も怒りや抗いが多く、この時代の殺伐とした雰囲気を感じる。
けれど正直、この時代の出来事を避けていたせいで、状況がよく分からない。『蟹工船』さえも読みたい気持ちはあれど、避けてしまっていた。
けれどやはり、避け続けては駄目だよなあ。これから少しずつ知っていこう。


頭が回らない。
心配事があって、寝たり起きたりして寝不足気味なのが、おそらく原因。
本を読んでも文字が滑って頭に入って来ない。
芥川龍之介を読み進めようと思ったけど、止めておこう。『疫病と世界史』などもってのほか。
『まあだだよ』を進めたかったけど、文章作ろうにも文字が固まらない。
この文章も何度も間違えては消している。仕方ないから今日はおしまい。早く寝よう。



まだ頭が回りづらいから手短に。
『まあだだよ』の記事は、今週中投稿予定。

暑くなったり寒くなったり、不安定な日々が続いて、身体を崩しやすくなっている。なんでどうかご自愛ください。皆様の健康を陰ながら祈っております。
ここまで読んで頂き、ありがとうございました。
ではでは。

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