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ボルネオ先住民の家庭料理4品

赤道直下に位置するボルネオ島。この島の北部には、マレーシア領のサバ州がある。私にとって第二の故郷であるこの地には、現地でお世話になっている先住民ドゥスン人のお母さんがいる。普段は奥地の村で自給自足の生活を送っているお母さんだが、私の渡航に合わせて町に降りてきてくれたので会いに行った。

料理好きで、いつも台所に立っているお母さん。私がサバへ行くと、いつもご飯を用意してくれているが、この日はお母さんの町のお家へ会いに行く前に、まずは地元の市場で買い出ししてから行くことにした(前記事「ボルネオの伝統が揃う定期市で買い出し」)。


村鶏の伝統酒スープ(sup ayam kampung lihing)

市場でお目当てだったのが、村鶏だ。マレー語で「アヤム・カンプン(ayam kampung)」と呼ばれるニワトリで、食感は若鶏より固く、親鳥よりは柔らかい。町のスーパーマーケットではほとんど手に入らないが、市場では売られているところもある。そして、若鶏や親鳥よりも値段は高い。小ぶりだが、市場で最後の一羽をゲットすることができた。

この村鶏とボルネオの伝統酒である「リヒン(lihing)」を加えて煮込んだスープを作る。まずは、丸鶏をぶつ切りにしていく。田舎では肉や魚を捌くのに鉈を使用する。お母さんの息子は、慣れた手つきでバンバンと軽快に捌いていた。

スープに加える伝統酒「リヒン」。キャッサバ製のものもあるが、こちらは米で作られたお酒である。容器はシンガポールビールのタイガーだが、中身は自家製のリヒン。お母さんの家に帰る途中の商店で購入した。

鍋に少量の油を引き、まずはニンニクとエシャロットを炒める。香りを出したら村鶏を軽く炒めて、そこに水と塩、リヒンを投入する。あとは蓋をして煮込むだけ。

スープは少し甘味があり、日本食にはないような味わい。若鶏と親鳥の間の食感は、嚙めば嚙むほど美味しい。

コイ科の魚の素揚げ(ikan sarawi goreng)

お次は田舎の定番料理。お母さんの村でよく取れる「サラウィ(sarawi)」と呼ばれるコイ科の魚の素揚げである。お魚はお母さんが村から持ってきてくれた。

サラウィは小骨が多いため、5mm幅に切り込みを入れる。味付けは塩とマレーシアで有名な調味料、マギーの「チョコップ・ラサ(cukup rasa)」のみ。馴染んだら、油で揚げる。

私がサバに行くと必ずお母さんが作ってくれる定番料理。よく揚げにしてくれるので、頭や小骨まで食べることができる。いつ食べても飽きないやみつきになる美味しさだ。

トーチジンジャーの花びら炒め(bunga kantan goreng)

肉、魚ときたら、お次はお野菜。お母さんの村でよく川岸に生えている植物だが、久しぶりに食べたくなり市場で購入した。

こちらはトーチジンジャーの蕾である。皮を剥いた蕾の柔らかい部分は、火を通して全て食べられることができる。成長した実は、生のまま食べることができる。実はとても酸味があり、村の方は塩としょうゆを混ぜたものにつけて食べているのをよく目にする。

市場に行くと、皮を剥いた状態のトーチジンジャーの花びらとワケギ、白唐辛子がセットになったものがビニール袋に入って売られている。

袋から出したら、そのまま軽く洗って炒めることができる。こちらも、油でニンニクとエシャロットを炒めてからお野菜を加える。この日、お母さんは揚げかまぼこと炒めていた。乾燥小魚などと炒めても美味しい。

全ての料理が揃ったので、ご飯といただいた。お母さんが炊飯器のスイッチを押し忘れたので、残っていた冷たいご飯と。冷蔵庫がない奥地の村では、薪で炊いて残った冷やご飯をよく食べていたので、私にとっては懐かしく感じた。

野生ショウガの葉揚げ(serunding tuhau)

料理好きで、なんでも挑戦してみるお母さん。ご飯を食べ終えのんびりしていると、最近ハマっている料理を教えてくれた。

サバの田舎でよく食べられる植物の一つに「トゥハウ(tuhau)」と呼ばれる野生のショウガがある。根茎の上の柔らかい葉の部分を採取し、周りの分厚い葉を取り除く。中の白い部分のみを細かく刻み、揚げた一品。

これがカリカリして美味しい。ついつい手が出てしまう。息子たちも大好きだそうで、作ってもすぐになくなってしまうという。

こちらをつまみに、スープに使った残りの伝統酒「リヒン」をいただく。4年ぶりの伝統酒にほろ酔い気分。

ちなみにこちらも市場で購入した。茶色の土の中には、生きたヤシオオオサゾウムシの幼虫。次回、こちらの食べ方を紹介する。


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