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タクシーと音楽の神さま

昨日、タクシーに乗った時のことです。
慌てて乗り混んだタクシー。行き先を告げてから気づいたのですが、車内にかかっていたラジオはクラシック音楽。

モーツァルトのオーボエコンチェルトでした。

思わずタクシードライバーさんに「クラシック音楽がお好きなのですか?」と尋ねると、「そうだねー。若い頃はいろいろ聴いたけれど、最近はクラシック音楽ばかりだねえ。クラシック音楽はいいよ。オーケストラでもソロ楽器でも声楽でも、なんでも好きだね。頭も心も癒してくれる薬だと思うよ。」という答えが返ってきました。

「頭も心も癒してくれる薬、、、。やっぱり一般の聴衆の耳って素晴らしいなぁ!サラッと普通〜に無意識に、素晴らしい聴き方をしてるんだなぁ。」と感心していたら、「僕はね、バングラデシュからの難民だったんだ。もう随分前になるけれど。いろいろな仕事をやったよ、家族と生きるためにね。」とドライバーさん。

そしてドライバーさんの大変な人生をいつも救ってくれたのが、クラシック音楽だったのだそう。

「音楽はね、自然からも動物からも人からも、奪うことをしない。奪うんじゃなくて、与えるのが音楽なんだ。過去も今も未来も、音楽だけは自然にも動物にも人にも与えるんだよ。」

「!!!!」

タクシードライバーさんからこのひと言を聞いた時、時間が一瞬止まり、何かもの凄く重要な学びをもらったような気持ちがしました。

コレ、演奏家としてずっと忘れてはいけないことだ!
「音楽の神さまからのメッセージだ、きっと。」と直感的に思いました。

行き先は私のお誕生日パーティーが行われる会場だったので、この言葉は音楽の神さまからのバースデープレゼントに違いない!と。

会場に時間より早く到着し、「17ユーロです。」と料金を告げるタクシードライバーさんに20ユーロ渡し(3ユーロはドライバーさんへのチップです。)、荷物を持って降りようとすると、「良い週末をね。そしてこれからも良い演奏をしてください。」と運転席から声をかけられました。

私が演奏家だということが、どうしてタクシードライバーさんにわかったのかは今でも全く謎ですが、とても印象深い学びを頂いた出来事でした。




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