【図解】発音と文法はネイティブから教わるべき、日本人から教わるべき?
適材適所という言葉がある。ネイティブは例示型。日本人の先生は解説型。
こんにちは、語学の裏設定のゆうです。今日のテーマは、日本人の先生とネイティブの先生の使い分けについてです。
最初に、大雑把な指標を書きます。
【日本人の先生】
・分からせてくれる
・大人の初学者は発音と文法を日本人の先生から学ぼう
【ネイティブの先生】
・示してくれる
・大人の中上級者以上 / 子供は発音と文法はネイティブの先生から学ぼう
というのを踏まえて、本稿の後半に出てくる、子供と大人の脳の違いを反映すると、最終的な結論は下の表のようになります。
結論だけ分かれば良い!という人はここから下は読まなくても大丈夫ですが、せっかくだから理由を知りたい、順を追って納得したい、という方はぜひ読み進めてくださいませ。
発音の勉強と文法の勉強。
英語学習の2大エリアの攻略を日本人の先生に助けてもらうか、ネイティブの先生に助けてもらうか。
これから英語の勉強を始めたい方や、語学学校に行こうとしている方にとっては悩みの種であることでしょう。
今日のお話のポイントになるのは「適材適所」という概念です。
ネイティブの先生にはネイティブだからこその強みがあって、日本人の先生には日本人だからこその強みがある。だから長所を見極め、いつ・どういう時に、どちらに頼るかを知る必要があると思うのです。
・大人の脳と子供の脳
学ぶとは何でしょうか?
知識を詰め込んだり、机に向かってカリカリ書いているイメージが先行するかもしれませんが、私は「脳を刺激すること」であると思っています。
そして、日本人の先生がわたし達の脳を刺激する方法と、ネイティブの先生がわたし達の脳を刺激する方法は違います。
日本人の先生:「説明する」という方法によって刺激
ネイティブの先生:「例示する」という方法によって刺激
そして、
脳科学的に見ると、
大人の脳の方が「説明型」の刺激を効率よく吸収し、
子供の脳の方が「例示型」の刺激を効率よく吸収するらしいのです。
脳の成長とは、脳が刺激を受けることにより起きる脳細胞の神経結合のことです。子供の脳は見たものを全て吸収し神経結合に還元する特殊能力を持っているので、たくさん例示をされたほうが脳の成長が早いのです。
恐るべし、子供の脳。
子供は皆、天才だ。
巷ではこの能力のことを「棒暗記」と呼ばれていますが、脳科学的には「単純記憶」と呼ばれています。
だから、単純にたくさん例を見せたら良い。
ネイティブの先生は、その鋭い語感により、即座に大量の例を作れるので、子供にはネイティブの先生のほうが向いているわけです。
対して大人の脳の場合は、
見たものを全て吸収できる特殊能力は失っているので例示型のアプローチはあまりよく効きません。その代わり、既に知っていることを足場にして、知識を拡張していく「複雑記憶」の能力が優れていると言われています。
だから、英語の仕組みが何も分からない大人の初学者の場合、大量の例を見せつけられても吸収できることは皆無でしょう。知識の足場が無いのですし、足場のないところで立つことはできません。
だから、分かりやすい説明を受け、少しずつ知識の土台を拡張していくのが学習の基本戦略となります。
日本人の先生は日本語を使って深い説明をすることができるので、英語の知識の土台がない大人の脳には、日本人の先生のほうが適しているという次第なのです。
英語に習熟し、英語の知識の土台がある程度構築された中級者以上の脳の場合は、たくさんの例示を受けても、既にある土台のおかげで神経結合が進み、英語の学習が捗ることでしょう。
[具体例1]:発音学習
発音は理論なのか、感覚なのか。
答えは学習者が大人であるか、子供であるかによって変わってくるでしょう。
大人の場合:発音は理論。
子供の場合:発音は感覚。
大人の場合、仕組みを理解し、その知識の土台を頼りどころにして発音技術を磨いていく戦法が、先ほどの脳科学的な話を踏まえればよいということになります。
大人にとって発音学習は下のように見えることでしょう。
母音と子音のの出し方:理論で突破
英語の音が連結する(例:one of the→ワノブザ):理論で突破
英語の音が脱落する(例:didn't →ディゥント):理論で突破
一方で、見たものをすべて吸収してしまう子供の場合、観察と真似によって発音を自然習得する流れに持っていくのが良いでしょう。
すると、子供にとって発音学習は下のように見えることでしょう。
母音と子音のの出し方:感覚で突破
英語の音が連結する(例:one of the→ワノブザ):感覚で突破
英語の音が脱落する(例:didn't →ディゥント):感覚で突破
わたしは英語を使ってオンラインで子供に日本語を教える仕事も生業の一部としているのですが、子供の発音はネイティブ並みにきれいです。まだ13歳だというのにと驚嘆したいところですが、13歳だからこそなせる技なのかもしれません。
ここまでをまとめると、
大人の発音学習は、日本人の先生が論理で支える形で、
子供の発音学習は、ネイティブの先生が例示で支える形で、
行うのがよいと結論づけられます。
余談ですが、数ある発音のメカニズムの1つとして、フォニックスのルールを参考記事として挙げておきます。興味ある方は是非一読してみてください。
[具体例2]:文法学習
文法は理論なのか、感覚なのか?
この問いだけでも記事が1つ書けますが、今日のところは話を単純にして次のように考えていきましょう。
英語で考え英語で話すためには、最終的に文法を感覚に落とし込むことが重要だ。
これに子供と大人の脳の特性を混ぜ合わせて考えてみると、こんな風に言えないでしょうか?
大人は、文法の理論的理解を、感覚的理解に昇華する学習方法が良い。
子供は、最初から感覚的理解で文法を学習するのが良い。
どのような方法をとるかと言えば、
大人に文法を教える場合、日本人の先生が、論理的な説明をおこなう。
子供に文法を教える場合、日本人の先生でもネイティブの先生でも、例示によって子供に分からせる。
子供に文法を教える場合、どちらの先生でも大丈夫だというのは、発音を教える場合ほどネイティブ・非ネイティブの差がでないと考えているからです。
ネイティブ発音を真似るか、ノンネイティブ発音を真似るかでは結果は大きく変わってきますが、日本人の先生でも英語の感覚が備わっていれば、十分学ぶに値する文章を作れると思います。
ただし、ある程度文法の下地が出来上がった大人の中級者以上の学習者の場合は、ネイティブの先生による指導が良いと考えます。
なぜなら、文法をある程度理解しており文法理解の土台が出来上がっているからです。
この段階で、大量の「例示」による指導をうけることで徐々に、文法理解の種をネイティブレベルの文法感覚にアップグレードできると思うのです。
ここまでをまとめると、
大人の初学者の場合、日本人の先生が論理的な説明で文法を教えるのが吉。
大人の中級者の場合、ネイティブの先生が例示により文法を固めるのが吉。
子供の場合、どちらの先生の場合でも、例示ができれば大丈夫。
ではないかなと思います。
文法の論理的な説明とはどのようなものを指すのか?1つの例として、be動詞の記事を参考記事として挙げたいと思います。もしよかったらこちらも合わせてどうぞ!
まとめ
大人の脳:知の土台を元に発展するから、論理的な説明が有効
子供の脳:何でも吸収するから、例示が有効
大人の発音学習:日本人の先生が、論理的な説明をおこなう。
子供の発音学習:ネイティブの先生が、大量の例示をおこなう。
大人の初学者の文法学習:日本人の先生が、論理的な説明をおこなう
大人の中級者以上の文法学習:ネイティブの先生が大量の例示をおこない、文法感覚を英語の感性にする
子供の文法学習:どちらの先生でもよい
というのが、今まで一英語学習者として英語を学んだ足跡を振り返って得た知見と、英語を教える経験を通して得た知見を、合体させて弾き出した結論です。
語学学校にこれから行こう、子供に英語を習わせようと言う方の参考になればなと思います。
本記事が皆さんの糧になったことを祈って、
それではまた!
PS
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