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長編小説 ロング・キャトル・ドライヴ

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連載小説   1890年代 アメリカを舞台に フェルディナンドとユーレク 少年二人の旅を描きます。
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2022年10月の記事一覧

ロング・キャトル・ドライヴ  第二部 連載4/4 「綿摘みの詩」

ロング・キャトル・ドライヴ  第二部 連載4/4 「綿摘みの詩」

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これまでのあらすじ

1862年 ルイビル

エレミヤ・"クロウ"・ジェファーソン
の話に移る。

彼はアフリカ系の純血で、ルイビル郊外のプランテーションで雇われている
いわゆる奴隷労働者であった。

ルーク・アレン・シューメイカーと言う
大地主のプランテーション経営者の下で
雇とわれていた。
エレミヤは他のアフロ・アメリカンの仲間達と
良く学び、

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ロング・キャトル・ドライヴ  第二部 連載3/4 「肝喰いクロウ」

ロング・キャトル・ドライヴ  第二部 連載3/4 「肝喰いクロウ」

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これまでのあらすじ

冷たい水滴が頬に当たる感覚で
俺は目を覚ました。

雨漏りのする納屋のようなところに居る。
一体、ここは何処なのだろうか?

昨夜、誰かに殴られてから
どれくらいの時間、意識を失ってたのか。
状況を把握することが出来ないでいた。

「おーぃ!ユーレク居るか?」

試しに呼んでみたものの返事がない。 

(やれやれ。一体どうなっ

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ロング・キャトル・ドライヴ  第二部 連載 2/4 「追跡」

ロング・キャトル・ドライヴ  第二部 連載 2/4 「追跡」

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これまでのあらすじ

「ご主人さま。お呼びでございますか?」

ランスキー邸のハウスキーパーである
オリヴィア・ミラーは長年にわたって、
この男に仕えている。

「フェルディナンドのことなんだが、
もうかれこれ半月ほど姿を見ない。
奴のことで知っている情報があれば、
俺に知らせるんだ。」
とコンスタンティは言い放つ。

オリヴィアは
「わかりました

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ロング・キャトル・ドライヴ  第二部 連載1/4 「ユニコーンの夢」

ロング・キャトル・ドライヴ  第二部 連載1/4 「ユニコーンの夢」

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第一部のあらすじ

第二部

セントルイスへと向かう途中、
イリノイ州スプリングフィールドで
俺たちは野営することに決めた。

二人での旅もようやく慣れてきた。

焚き火を囲みながら
広い草むらで大の字になって寝転がってみる。

満点の星空を眺めていると、
まるで星が降ってくるかのようで、
気分が良い。

少し離れた所に
エイブラハム・リンカーン

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ロング・キャトル・ドライヴ  第一部 連載4/4 「合流する夢」

ロング・キャトル・ドライヴ  第一部 連載4/4 「合流する夢」

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これまでのあらすじ

俺たちは、
ペンシルベニア州にある
ピッツバーグの街に到着した。

街の中心部には大きな二つの河川が流れ、
夕暮れ時には黄昏に染まる河川に
三角州の街並みが浮かぶようで印象的だった。

ピッツバーグの街は独立戦争の後、
急速に発展した。

幾つもの工場が林立し、
モクモクと煙突から煙を吐いている。

時代はまさに変わろうとして

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ロング・キャトル・ドライヴ  第一部 連載3/4 「グリズリーの親子」

ロング・キャトル・ドライヴ  第一部 連載3/4 「グリズリーの親子」

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これまでのあらすじ

俺たち2人は生まれ育った
ボルチモアから出発する。

俺は親父には、「しばらく旅に出る。」
とだけ云った。
家の女中に頼みこんで
幌馬車や旅支度の一切を段取りした。

旅の無事を祈るために
俺とユーレクはリズとキーンの四人で
教会に向かう。

教会で祈りを終えた後、
リズはユーレクに銀のロケットを渡した。

「神のご加護があら

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