松原和之の「教育考現学」

コアネット教育総合研究所所長の松原です。教育に携わる皆様、特に学校の先生方へ情報を提供したいと思っています。よろしくお願いします! コアネット教育総合研究所は、教育と学校経営専門のシンクタンク&コンサルティング企業です。https://core-net.net/

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    最近の記事

    教科等ならではの見方・考え方

    前回までは、コンピテンシー・ベースの授業を実現するためには「どのように評価するか」が大きな課題になるということで、「パフォーマンス評価」と「ポートフォリオ評価」の話をしてきました。 先日、中学校、高校の先生方とディスカッションをした際に、気づきがありましたので、今日はその話をしたいと思います。 それは、コンピテンシー・ベースの授業を実現するハードルの1つとして、コンピテンシーの捉え方があるのではないかとということです。 先生方は、総合的な学習(探究)の時間ではコンピテンシ

      • コンピテンシーを評価するポートフォリオ評価

        コンピテンシーを評価する方法として、パフォーマンス評価と並んでよく利用されるものに「ポートフォリオ評価」があります。 ポートフォリオとは、児童生徒が書いたり作ったりした作文、レポート、作品等の学習成果物や学習過程における様々な記録や振り返り、自己評価結果等を一括して保存・蓄積したファイルのことです。このファイルとは紙などの実物の場合もありますが、電子化してデジタル保存する場合もあります。デジタル保存した場合は、これをeポートフォリオと呼びます。 ポートフォリオ評価とは、「

        • パフォーマンス評価の具体例

          前回、コンピテンシーを評価するためには、パフォーマンス課題を設定してパフォーマンス評価を行うのがよいという話をしました。 授業におけるパフォーマンス課題では、ある問いに対して、児童・生徒が一人で、またはグループで話し合いながら、思考し、表現します。表現は、論文やレポート、壁新聞、ポスター発表、プレゼンテーションなどのパターンがあると思います。 そのような取り組みのプロセス(活動)や成果物(作品)を評価基準に照らして測定するのがパフォーマンス評価です。 パフォーマンス評価は

          • コンピテンシーを評価する「パフォーマンス評価」

            コンテンツ・ベースからコンピテンシー・ベースへの転換の一番のボトルネックは、コンピテンシーの評価だと考えています。 より質の高いコンピテンシーを世の中が求めているとしましょう。でも、その高い質というのはどうやって測るのでしょうか。 例えば、社会人にとっては「粘り強さ」はとても必要な資質・能力です。ぜひ身につけてほしいコンピテンシーです。では、高い「粘り強さ」を身につけるためには何をすればよいのでしょうか。そして、高い「粘り強さ」が身についたかどうかをどうやって測ればよいの

            大学入試改革とコンピテンシー・ベース

            社会の変化は確実にコンピテンシーを求めているのに、なぜ教育現場はコンテンツにこだわり続けるのでしょうか。 それは、  (1)以前にも書いた「実質陶冶」幻想。  (2)先生たちが持つ変化への恐れ。  (3)入試の存在。 が要因だと、私は考えています。 今回は、この「入試の存在」について考えていきましょう。 就職や社会での活躍に学歴なんて関係ないと言われ続けて久しいのですが、いまだに学歴偏重の考え方はしつこくはびこっています。 それは、小中学生の親の世代(30〜50歳代)が

            コンピテンシー・ベースへの転換を迫られる時代

            前回は「コンピテンシー・ベースとは何か」をその対照的位置付けにあるコンテンツ・ベースと比較しながらお話ししました。そして、なぜいまコンピテンシー・ベースの学びが求められるのかということを考えてきました。 知識(コンテンツ)だけをただ詰め込んでも社会では役に立たない。それらを活用してどのような問題解決ができるか。それが大事だということを話しましたが、その背景にはこのようなこともあります。 社会の変化です。 人類誕生から、私たちは、「狩猟」で生活する社会、「農耕」で生活する社

            コンピテンシー・ベース授業の実現に向けて

            中学校や高校でコンピテンシー・ベースの授業が実現するか否か、これが現在の私の最大の関心事です。 教育分野におけるコンピテンシーとは「知識や技能を活用するための思考力・判断力・表現力や主体的に学習に取り組む態度などの資質・能力」を指します。現在の学習指導要領においては、コンテンツ(知識・技能)とコンピテンシー(資質・能力)を合わせて「学力」と定義しています。 従来の学校では、教科固有の知識を覚えて再現できるようにすることに重きを置いた授業をしていました。これを「コンテンツ・