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探究学習とコンピテンシー

資質・能力(コンピテンシー)を育てるためには、教科の授業をコンピテンシー・ベースにしなければならないという内容で、ずっとお話をしてきましたが、ここから話の軸足を「総合」や「探究」の方へ移していきましょう。

総合的な学習の時間は、今から20年以上も前の2002年の小学校学習指導要領改訂から導入されました。目的は、「教科横断的・総合的な学習や探究的な学習を通して,自ら課題を見付け,自ら学び,自ら考え,主体的に判断し,よりよく問題を解決する資質や能力を育成、学び方やものの考え方を身に付け,問題の解決や探究活動に主体的,創造的,協同的に取り組む態度を育て,自己の生き方を考えることができるようにする」というものでした。

つまり、教科横断で、コンピテンシーを身につける授業をすることが意図されていたのです。しかし、時間だけ設定されて、内容は学校の裁量に任されていたため、なかなか意図通りには実現できず、中途半端な状態が長らく続いていました。

そこで、業を煮やした文部科学省が打ち出したコンセプトが「探究」だったのです。意図・目的としては「総合」とほとんど変わらないのですが、「探究」という言葉の元にコンセプトを明確にし再起を図ったというわけです。

今回の学習指導要領で、高校だけ「総合的な探究の時間」に名称が変わったので、高校だけが対象になっているように見えますが、小学校や中学校も探究的な学びを推進するということになっています。

探究学習とは、自ら課題を発見し、その課題を解決するためのプロセス(課題の設定→情報の収集→整理・分析→まとめ・表現→振り返り、という活動のサイクル)を体験しながら実社会に役立つような資質・能力を身につける学習のことです。

ですから、ここまで主題にしてきたコンピテンシーを育てることに特化した学習といえます。特に、教科の枠が取り払われているので、汎用的なコンピテンシーを身につけるのに最適です。

今回から数回にわたって探究学習にスポットを当てて話を進めていくことにしましょう。

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