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STEAM学習とは

本日から数回にわたってSTEAM学習の話をしていきたいと思います。以前の私のブログからの転載の部分が多いので悪しからず。

最近、日本の初中等教育においてSTEAMという言葉をよく聞くようになりました。はじめは経済産業省が言い始めたのですが、そのうち文部科学省もこの言葉を使い始めました。いまや学校教育の本流に浸食してきて、もう先生たちも無視できない存在になってきました。

また新しいことを始めるのかよー!
STEAMって何だよー⁉︎ (蒸気か⁉)
英語やカタカナを使うなよー!
本当に子どもたちにとって良いことなのか⁉︎

現場の先生たちからは、様々な反応が聞こえてきます。
一方で、STEAMを少し知っている先生方からは、

プログラミングと何が違うんだ⁉︎
探究学習と何が違うんだ⁉︎
どの科目で学ぶんだ⁉︎

という疑問も聞こえてきます。

これから、ゆっくり説明をしていきたいと思っていますが、結論を急ぐ方のために、かなり乱暴ですが、今のところの私の答えを記しておきましょう。

STEAM学習は、総合的な学習(探究)の時間で、探究学習のバリエーションとして取り入れてください。そして、技術・家庭や情報科で行うプログラミング学習とうまく連携してください。

これが今のところの私からの提案です。

こんなに狭く捉えるとSTEAM推進派の方からは怒られてしまうかもしれませんが、曖昧にしたまま大きく捉えてしまうと、多くの先生に食わず嫌いが起こってしまいますので、まずは狭く「なんだ、そんなことか」と軽く受け止めていただきましょう。

大切なことは「創造(ものづくり)」とそれにともなう「ワクワク感」と「試行錯誤(失敗体験)」を大事にする学びだということです。それだけは覚えておいてください。

さて、さっそく説明に入ります。STEAMはスティームと読みます。言葉の定義から始めるほど冗長な説明はないのですが、頭字語なのでそこから始めないと埒があきません。

STEAMとは、Science(科学)・Technology(技術)・Engineering(工学)・Art(芸術)・Mathematics(数学)の頭文字を組み合わせた造語です。これらの分野を横断して探究的で創造的な学習を行うというコンセプトです。

と言い切りましたが、実は定義ははっきりしていません。というのも、元々はSTEMという言葉があり、そこにAを付け加えたからです。このAの解釈で定義がぶれています。

元々のSTEMは1990年代中盤に米国で生まれました。ちょうど工業社会から情報社会へと移り変わる頃です。米国で新たな科学技術の発展を担う人材を育てたいということからSTEMが言われ始めました。
2006年にはブッシュ大統領による一般教書演説の中でSTEM教育の発展がうたわれました。オバマ大統領も2013年にSTEM教育を重要な国家戦略として位置づけています。

つまり、STEMは簡単にいえば科学技術教育(特にICT)という意味ですね。

STEAMという言葉を使い始めたのは、RISD(ロードアイランド・スクール・オブ・デザイン)学長のジョン・マエダだと言われています。2008年、マエダがSTEMに芸術という意味のArtを加えSTEAMを提唱しました。つまり、Aはあくまでも「アート」や「デザイン」のことでした。

同じ頃、バージニア工科大学のジョーゼット・ヤックマンが「科学やテクノロジーは工学と一般教養を通して解釈され、これらはすべて数学を基礎とする」としてSTEAMの概念を提唱しました。こちらは、Aを「リベラル・アーツ(一般教養)」という意味で使ったのです。
つまり、スタートの時点から、STEAMのAが「芸術」と「一般教養」という2つの流儀に分かれてしまったのです。

科学技術教育に芸術を加えただけのSTEAMと、一般教養を含む幅広い統合型教育としてのSTEAMでは全然意味合いが違います。
現在の日本ではどちらかというと、ヤックマン派(広い意味)の解釈のほうが多いような気がしますが、私はどちらかというとマエダ派の考え方に近いです。その理由は・・・

というあたりで、長くなってきたので、続きは次回にしましょう。
しばらくは、私と一緒にSTEAMを探る旅に出ましょう。次回もよろしくお願いします。

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