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探究と総合型選抜入試とウェルビーイング

子どもたちに「何のために勉強するの?」と聞かれたら、何と答えますか。
私は「自分が幸せになり、周りの人、そして世界中の人たちが幸せになるためだよ」と答えます。

抽象的な上に綺麗事に聞こえるかもしれません。しかし、価値観が多様化する世界の中では、これ以外に表現のしようがありません。

「いい大学に入って、いい企業に就職して、裕福な暮らしをするためだよ」
これも1つの答えかもしれません。実際、戦後の昭和時代にはそのような価値観を持つ方が多かったと思います。その時代には、「裕福な暮らし」を「幸せ」と定義する人が多かったのでしょう。そして、世界中の人たちの幸せなんて願っている余裕がなかったのでしょう。

しかし、一定の経済的豊かさを手に入れた現在、幸せの要素は、経済的なことだけではなくなりました。また、地球レベルの問題が山積するグローバル社会の中で、自分だけの幸せを願っていることはできなくなりました。

したがって、大人に課せられた生き方は、必然的に「自分が幸せになり、周りの人、そして世界中の人たちが幸せになる」ことを追求することになったのです。そして、このことを一言でいうと「ウェルビーイング(Well-being)」というわけです。

つまり、ウェルビーイングは世界中の大人たちが追求すべきことなのです。
子どもは、このウェルビーイングを実現するために、「自分は何を果たすべきか」を考える期間です。「自分は○○をすることで周りを、そして世界中を幸せにします。そのことで自分も幸せになります」ということを宣言できるようになったら、子どもを卒業できます。幸せの追求を誰かに頼っている限り大人にはなれません。

私は探究学習のゴールはここにあると思っています。ウェルビーイング宣言が探究学習のゴールです。どういうことか、もう少し詳しく話していきましょう。

探究はよく問題解決学習だといわれます。解くべき問題を決め(課題設定)、情報を収集し、整理・分析し、まとめて表現する。この一連の取り組みを体験的に学ぶのが探究学習ですが、中でも一番大事なのは、課題設定です。自分が解くべき問題を決めることが究極の目的なのです。
人は一生かけて学んでいかなければなりません。そして学びの起点はいつも課題設定なのです。

この課題設定が、すなわちウェルビーイング宣言(自分は何で世界を幸せにするか)なのです。

いま大学入試で増えつつある形態は総合型選抜です。高校時代までに学んだことで、自分なりの課題を設定し、それを学ぶために大学に入学したいと自己アピールする入試です。つまり、高校生なりのウェルビーイング宣言が入試になっているのです。

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