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STEAM学習--なぜものづくりが大事なのか

STEAM学習の話の3回目です。

前回、STEAM学習はものづくりの学習過程が大事だという話をしました。今回は、なぜ初中等教育にものづくりが大事なのかをお話ししていきたいと思います。

1つは、創造力の必要性です。前回、日本はグローバルビジネスから取り残されているという話をしましたが、その原因はイノベーションを起こせる創造力豊かな人材が不足しているからです。そして今後は、持続可能な社会をつくるための諸課題を解決するためにもイノベーションは欠かせません。AIやIoTなど科学技術は発展します。でも科学技術を生み出し、それを使うのは人間です。そのために必要なのがクリエイティビティ=創造力です。机上で知識をいくら学んでも創造力は育ちません。子どもの頃からつくる経験をたくさんすることが大切です。

ものづくりが大事である理由の2つ目は、失敗経験ができることです。現在の教育現場では、失敗を経験させることが意外と難しいです。子どもたちも慎重ですし、大人たちも失敗しないように先回りしてしまう傾向にあります。その点、ものづくりには試行錯誤がつきものです。やってみて上手くいかないからやり直すということが当たり前に行われます。
失敗経験がないために、一度の失敗でくじけてしまう子どもが多いと聞きます。失敗した時に原因を考え、次は失敗しないように取り組むという前向きな姿勢が身につくことはとても大切なことです。ものづくりでは自然とその姿勢が身につきます。

3点目はワクワク感です。受け身の授業では楽しいと感じることも少ないでしょう。自分で考え、自分の手を動かして新しいものをつくるということは、とてもワクワクすることです。このワクワク感を授業に取り入れられることは、とても大切なことです。
ものづくりには何かを完成させるという目に見える明確な目標があります。それを達成した時の喜びは大きいですし、それを知っていれば、そのプロセスもワクワクします。また、目標に向けて、自ら進んで調べたり覚えたりします。興味・関心や好奇心が学びのスタートです。ものづくりこそ主体的な学びを促進するために大事な学びのスタイルなのです。

以前は、ものづくりというと、必ずリアルなモノが必要でした。つくるという行為も物理的に切ったり、付けたり、組み立てたりと、大変な作業でした。しかし現在は、デジタルなものづくりができるようになっており、プログラミングのスキルを身につければ、様々なものづくりに挑戦ができます。パソコンやタブレットが1台あれば直ぐにものづくりに取り掛かれます。創造力も失敗経験もワクワク感も手軽に手に入れられるようになりました。これがSTEAM学習が促進される理由です。手先の器用さとか、力作業は必要なく、誰もがものづくりに取り組めるのです。

そして、ものづくりの過程において、とても大切な要素があります。それはアートとデザインです。そのことについては次回にお話ししていきたいと思います。次回もお楽しみに。

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