「狭苦しい鼻の先がつかえるような所」に行ってみたおはなし。
私の出身は島根県松江市。少年時代、県庁所在地を覚えたときに、自身の住むまちと同様、県名と県庁所在地名が異なるまちに一種の親近感を覚えたりした。
その中の一つ、「松山」は「松」という漢字まで一緒ときた。そんなまちに情を持たずにいられるはずもない。加えて生粋の野球少年でもあった私。「野球王国」という響きの心地よさも深く心に刻まれている。松山商業の奇跡のバックホームなんて何度見たことか…
というわけで本記事の趣旨を。先日、初めて松山を訪れたのでその際の記録と感想を綴っていければと思います。
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余談は続く… 司馬遼太郎の『坂の上の雲』、冒頭部分である。
NHKの特別ドラマがきっかけで、少年時代にこの作品に出会った私。「まことに小さな国が、開化期をむかえようとしている。」に続いて、
がくるのがしっくりくる。というのは置いておいて。
ともかく松山城をこれほどまでに美しく描写した文章は他にないのではなかろうか。「釜を伏せたような丘」「赤松の樹間がくれ」「石垣が天にのび」「天守閣がすわっている」などなど。
小難しい表現ではなく、美しい感性で捉えた情景を書き綴ったとも言うべきか。惚れ惚れする…
因みに『坂の上の雲』と同様に松山と観光資源として活用されている漱石の『坊っちゃん』において、松山は以下のように語られる。
これもこれで凄く好きなんだよな… どこか気持ちが良い。こんな具合の『坊っちゃん』を観光資源としている松山というまちもまた一興。
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そんなわけで先ずは松山城へ。
先程の写真でも分かる通り、標高132mと割と低めの山にそびえたつこのお城。しかしながら麓からは全体像が見えないこともあり、いざ本丸の高さまで登ってみるとその大きさに驚く。
先月足を運んだ篠山城と龍野城という二つのお城跡と比べ、現存する部分も多く、規模の面からも「これぞ城郭」というような威圧感を覚えた、という個人的な印象。
それにしても配置が面白い。地形、地質に合わせてといったところか。歪な形に広がる本丸。「これでええんか?」といった感じの二の丸との接続具合。その上で石垣から導線、隠門に至るまでが戦略的に造られている点など。
一見手が加えられてなさそうに見える城山の自然も含めて、見ていて非常に興味深かった。お城の全域にわたって耳にすることが出来る鳥の囀りが心地よい。春だからかな?
時間の関係もあって、お城の内部をお目にかかることが出来なかったのが悔やまれる。いずれまた訪れるだろう。その時のお楽しみだ。
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続いて向かったのは愛媛美術館。ここでは企画展「HELLO! えひめの企業アートコレクション ひろがる美のかたち」を鑑賞。
県内の企業や団体、個人によって所蔵されている作品を展示したこの企画展。日本画、西洋画は勿論、古代ギリシャ・ローマのアンフォラから抽象絵画、ポップアート、写真に至るまでバラエティに富んだ作品たちが展示されていた。
代表的なものをいくつか。
これらの他にも奈良美智やウォーホール、小磯やタピエスなど魅力ある作品が沢山。本企画展を経て、貴重な作品が私の想像以上に様々な所に散らばっているということを身をもって実感。いろいろ鑑賞出来たということで、幸せな気持ちで退館。
美術館の次は博物館。もうan続かない…
冒頭でも挙げた『坂の上の雲』をテーマとしたこのミュージアム。人物、時代背景、松山という土地など様々な面から、作品に関する資料を展示している。また安藤忠雄氏が設計した建物の空間もまた注目すべきポイント。
この画像のスロープなんて特に。
まさにこの文章を表していると考えてもいいだろう。
本節の本題でもある展示に関して。日露戦争や明治期の日本、松山の様子を中心とした資料・史料など、興味深いもので溢れている。当時の日本という国の活気や勢いであったりを十二分に感ずることが出来た。印象に残ったのは教育関連かな…
個人的に音の出るモールス信号機を実際に打てたのが感慨深かったです。
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ミュージアムの次は隣接する萬翠荘へ。
建物自体は様々な意匠が凝らされており、見応えは抜群。内装もTHE 大正ロマンといった具合で、細部へのこだわりを見るのが楽しい。しかしながら展示品はちょびっとだけ寂しかったかな、というのが正直な感想…
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最後は宿泊先のある道後温泉街を散策。
古き良き、且つ現代の若者世代が好きそうなお店も点在するアーケード街。煌びやかながらも一歩通りの外に出ると暗闇。歪。何はともあれ知らない通りを歩くのは愉快だ。
新鮮さ、想像或いは文学的描写とのギャップ、発見。やはり自らの両足で歩くことは大事だと、そんなことを再確認できた。
連日の長距離移動で疲れ果てていことに加え、暗くなっていたこともあり、宝厳寺や湯築城跡には足を運べず。松山城と同じく次の機会においておくくらいの気持ちでいよう。
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松山。素晴らしいまちでした。また逢う日まで。
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