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「本を売る」ことに 魅せられて

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本が好き(Book Lover)本屋が好き(Book Shop Lover)そして、本を売ることが好き(Book Seller Lover)な僕の物語です。 ジョージ・オーウェル…
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記事一覧

第23回「本を売る」ことに魅せられて 

第23回「本を売る」ことに魅せられて 

 2008年(平成20年)1月1日、風邪をひきました。それでも近所の神社へお参りに。
おみくじを引くと運勢は「末吉」でした。そして、こう記してありました。

「籠の中から放たれる」とは意味深な・・・ とは言え、今年も「世の為人の為に」本を売ります。

志夢ネットのオーナーのなかには、志夢ネットのことをVCと呼ぶ人もいます。
ボランタリー・チェーン(voluntary chain)の略です。VC

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Book Seller Assist を創業しました!

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Book Seller Assistの

ビジョン
書籍販売を持続可能とする手助けをする。

ミッション
本と読者の出会いの場を演出して、多様な本を世に広める。

代表の草彅主税(くさなぎ ちから)と申します。

当社の顧客は「本屋」「出版社」「著者」の皆様です。

Booksellerとは「本屋」「書籍を売る商人」と訳されます。
中世ヨ

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第22回「本を売る」ことに魅せられて

第22回「本を売る」ことに魅せられて

 2007年(平成19年) 10月1日、志夢ネット加盟のオーナーから昼すぎに電話がありました。
「草彅さんの指摘通りに棚のレイアウトを変えたら週刊誌の売上が2割、月刊誌の売上が1割伸びました」
連絡をくれたオーナーは興奮ぎみでした。こちらとしても、こんなに早く効果がでて嬉しい。この店を臨店したのは8月。雑誌売場が気になったので、オーナーと店長に改善点を挙げレイアウト変更を提案しました。レイアウトを

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第21回「本を売る」ことに魅せられて 

第21回「本を売る」ことに魅せられて 

 2007年7月18日、第137回 直木賞は、松井今朝子『吉原手引草』(幻冬舎)が受賞。芥川賞は、諏訪哲史『アサッテの人』(『群像』2007年6月号)が受賞しました。

7月19日、雑誌の売上が低迷しています。
先般の本の学校のシンポジウムでも「雑誌」の分科会があり、多くの人が聴講してくれました。

日本雑誌協会は「雑誌低迷という言葉に騙されてはいけない。自分の店に合う雑誌を探し出す努力、店頭陳

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第20回「本を売る」ことに魅せられて 

第20回「本を売る」ことに魅せられて 

 2007年(平成19年)1月8日、志夢ネットのオーナー会議。僕は本部からの報告事項として、①志夢ネットの売上②共同仕入れ・第三商品・共同購入の実績③主要出版社の売上・前年比④契約出版社の実績と報奨金など資料を用いて説明しました。一方、各オーナーからは2006年の総括と2007年の抱負を語ってもらいました。しかし、誰ひとりとして資料の一枚もないって、この方々は本気なのでしょうか?とても不安です。

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第19回「本を売る」ことに魅せられて 

第19回「本を売る」ことに魅せられて 

 2006年(平成18年)春。志夢ネット(株式会社会社 日本書店大学館)は、4期目に突入しました。2月の金沢で行われたオーナー会議の決定事項として、社長が近藤秀二さんから一清堂の清宮英晶さんに代わりました。
そして、懸案事項であった草彅の待遇改善については、常務会では賛成一致であったが、他の4人のオーナーから条件がついたのです。それはアルバイト禁止でした。確かに平日、ブックファーストで働いている時

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第18回「本を売る」ことに魅せられて 

第18回「本を売る」ことに魅せられて 

 2006年(平成18年)正月。長女は志望していた音大付属の高校への受験をあきらめて、推薦入試で県立高校を受験しました。僕は娘の希望を叶えることができず不甲斐ない気持ちでいっぱいでした。娘は音楽は趣味として続けると言い、大人たちに混ざって、海老名にある吹奏楽団に入団し、ババ(祖母:僕の母)からもらったクラリネットを大事にしてくれたのです。

1月9日、志夢ネットの仕事の後に渋谷のブックファーストに

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第17回「本を売る」ことに魅せられて

第17回「本を売る」ことに魅せられて

 2005年(平成17年)の元旦を迎えたのは電車の中でした(^◇^;)大晦日に遅番で、ブックファーストに出勤すると、閉店時間は23時。そこから家まで1時間以上かかります。年越しそばもなければ、紅白もない。寂しい正月の始まりです。でも、僕と同じような生活を送っている書店員は多く、除夜の鐘ではなく、「祇園精舎の鐘の声、諸行無常の響きあり」なのです。

元日だけ休み、2日からブックファーストに出勤。さて

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第16回「本を売る」ことに魅せられて

第16回「本を売る」ことに魅せられて

 2004年(平成16年)7月11日、日本書店大学の例会で僕は講演をしたのです。演題は「パソコン書の棚作りと売上UPの事例」でした。
米子の本の学校「出版業界人研修 基本教育講座」(通称:春講座)で、2000年〜2003年まで「パソコン書の販売対策」という講座の講師をしていましたので、自己紹介をかねて講演することとなったのです。

当時はパソコン書の売上スリップのボウズに分類記号が記されていました

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第15回「本を売る」ことに魅せられて

第15回「本を売る」ことに魅せられて

 2004年(平成16年)夏、僕は志夢ネットの仕事をメインとしつつ、日本書店大学の事務局の仕事も兼務し、夜は阪急ブックファースト渋谷店でアルバイトをする日々を送っていました。ブックファーストの勤務時間は23時まででした。ピークタイムを過ぎるとお客様の数も減ってきます。レジで待機状態となりますが、カバーを織ったり、備品の補充をするのは、昭和時代と同じです。もっとも異なることは、売上データの確認です。

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第14回「本を売る」ことに魅せられて

第14回「本を売る」ことに魅せられて

 2004年(平成16年)5月、どうすれば大手出版社を攻略できるのか?僕は真剣に考えていました。そもそもの話として、中小書店が出版社を訪問しても、なぜ門前払いなのか。門前払いと書くと、ちょっと大袈裟に聞こえるかもしれませんが、実際にアポがないと会えません。或いは、応接室に通されても「何をしに来たのですか?」「目的はなんですか?」
こうした出版社の高圧的な対応は、過去の書店が行ってきた行為に起因があ

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第13回「本を売る」ことに魅せられて

第13回「本を売る」ことに魅せられて

 2004年(平成16年)は、年初から大騒ぎとなりました。まず第130回 直木賞は、江國香織の『号泣する準備はできていた』(新潮社)と、京極夏彦の『後巷説百物語』(角川書店)のダブル受賞でした。昨年は「該当作なし」『半落ち』の落選で物議を醸し出しましたね。大きな反動です!

が、さらに凄いことが!芥川賞も、金原ひとみ『蛇にピアス』(集英社)と、綿矢りさ『蹴りたい背中』(河出書房新社)のダブル受賞だ

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第12回「本を売る」ことに魅せられて

第12回「本を売る」ことに魅せられて

 2003年(平成15年)夏、僕は39歳になりました。いまじんの近藤さんに仕事のオファーをいただきました。近藤さんは、基本的には、いまじんの本部がある名古屋にいらっしゃる。名古屋に通うのか?いや違う!書店大学と言っていました。
書店大学について説明します。正式名称は、日本書店大学です。かつては、法人登記していましたが、この頃は任意団体でした。もともとは、愛媛県松山市の明屋書店の創業者である安藤明さ

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第11回「本を売る」ことに魅せられて

第11回「本を売る」ことに魅せられて

 2003年(平成15年)38歳の春、僕は会社を辞めて毎日、図書館へ通っていました。
好きな歴史上の人物の本を、手にとり、吉川弘文館の『国史大辞典』を横に置き、大学ノートに書き連ねていく。こんな作業を子どもの頃からやっていたことを思い出しました。何の進歩もしていないのです。

人生におけるLong Vacationを、ひと足先に満喫していると書ければいいのですが、そんな悠長なことは、言えません。

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